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伊吹嶺叢書第53篇


 沢田充子句集『花ミモザ』
             

 この度、沢田充子さんが、伊吹嶺叢書第53篇として句集『花ミモザ』を上梓されました。心よりお喜び申し上げます。

 栗田先生の序文によりますと、充子さんは、昭和61年に「風」愛知県支部に入会されて以来、梅田葵さん指導の「瀬戸句会」で句作に励んでこられました。そして、現在は、「木影」と「ブルーム」という2つの句会を指導しておられます。このことを取りましても、充子さんの交友関係の広さと人望をうかがうことができます。
 句集の題名『花ミモザ』は、

   花ミモザ生地のマリヤ並べ干す

から採られたものです。この句のミモザは、「木影」と「ブルーム」の句会場が喫茶店で、その店の入り口にあります。春になると黄色のミモザは、日を浴びて、辺りを一層明るくします。つまりこの句は、充子さんの人柄をも表しているのです。

 句会場の喫茶店の隣地は陶器工場で、生地のマリアは、ここに干されていたのではないでしょうか。その他、

   春の水陶土の山に響きけり
   秋の野に窯出しの壺並べ置く
   窯の火を止めて辛夷の白まぶし

など、窯場を詠んだ佳句が多く見られます。

 句集『花ミモザ』の一番の特色は、何と言っても、充子さんのお母様を詠んだ句が多いということです。334句のうち34句がお母様を詠まれた句です。

   桃の花母を叱つてしまひけり
   病む母の眼潤ませ浅き春
   母の日の妣を見舞へり三姉妹


とかく母を句に詠むと感傷的になりがちですが、充子さんはご自身の気持ちを抑え、即物具象に徹した写生句で思いを季語に託しておられます。それがため読む者に深い感動を与えています。

 句集『花ミモザ』は非日常的な吟行句は少なく、友人や家族に囲まれた日々の生活の中で得た感慨を詠んだ句が多いです。つまり、充子さんの生活そのものが俳句であるということです。これは見習うべき作句姿勢だと思います。これからもますますのご健吟を期待してやみません。


   
平成30年6月

発行所:豊文社出版
発行者:石黒智子
新書版  183頁
頒価1000円  




沢田充子さん近影

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