トップページへ戻る
TOPページへ戻る

  玉井美智子第1句集『海ほほづき』

                              ふらんす堂



 この度、玉井美智子さんが、ふらんす堂より第1句集『海ほほづき』を上梓されました。心よりお喜び申し上げます。
 美智子さんは 平成17年に「伊吹嶺」に入会し、栗田やすし前主宰、河原地英武主宰、梅田葵さんに師事されました。
 句集は、平成17年から令和4年までに発表した900余句から356句をおさめたものです。
 美智子さんは入会7年目の平成24年「伊吹嶺」十五周年記念賞(俳句部門)と「新人賞」を受賞し、同年同人に推挙されました。
 熊本県天草の生まれの美智子さんは、河原地主宰が序文に書いておられるように、「生きとし生けるものへの好奇心」と「天真爛漫で大らかな心」をお持ちです。また、主宰は帯文に「多様な美智子さんの俳句世界を貫いているのは母性なのではあるまいか」と綴っておられます。
 句集名となった句です。
  海ほほづき鳴らして母を待つ夕べ 令和2年  自選句

 作者はあとがきで、虫や生き物の句が多いことを述べておられますが、どの句も生き生きと写生の効いた句で美智子さんならではの句といえるでしょう。お住まいの瀬戸市では、オオサンショウウオの観察会があります。「はんざき」の句は伊吹嶺俳句大会においても、好評を博されました。
  
靴干して蜥蜴の脱皮見てゐたり  平成19年 自選句
  はんざきの朽ち葉まみれに生け
捕らる
                  平成22
  引き馬の腹に馬虻唸りづめ    平成24年 自選句


 吟行句も多く、入会当初から色々な土地を訪れて句を詠んでおられます。その行動力と詩情ゆたかな句の数々には目を瞠るものがあります。
  盆の月二十七戸の村照らす    平成20
  揺さぶつて光こぼせり蜆掻    平成26
  花茨軍艦島に波高し       平成27


 保育士のご経験から園での句や、陶器の町、瀬戸の魅力や、棋士の藤井聡太さんを詠んでおられます。
  卒園の花道桜草あふれ      平成21
  露けしや真綿に包む古陶片    平成28
  つばめ越ゆ藤井二冠の祝幕    令和3


 また、あとがきで天草のご両親から無償の愛を注いでもらったと綴っておられます。遠い故郷へ幾たびも帰省しご家族を見舞われました。お母様、妹様とのお別れの句は心打たれます。
  冬の朝涙浮かべて母逝けり    平成28
  永き日や遺影の父と母並べ    平成29
  冴ゆる夜や駅に妹待つ気配    平成31年 自選句


 ご両親からの愛情は、さらにご自身のご家族へと受け継がれ、この度古希を迎えられました。ご家族とのあたたかい関係が浮かぶ句です。
  卒業や祖母の仕立てしスーツ着て 平成30
  をとこへしをのこばかりの孫四人 令和3
  夏服は子のプレゼント古希の宴  令和4


 最後に句集の帯の自選句12句のうち、紹介していない8句を紹介します。
  空いてゐる神より拝み初詣    平成27
  向き合うて夫と体操初日さす   令和4
  風光る単車飛び出す島フェリー  平成29
  花桐の風の中なる寝釈迦仏    平成23
  海底の闇より蛸の踊りくる    平成24
  蛸盛つて島の還暦同窓会     平成24
  つけて寝る運動会の金メダル   平成27
  凩や牛舎の灯影揺れどほし    平成22


     令和5年6月    伊藤範子記


発行所:ふらんす堂
発行人:山岡喜美子
B5版  205頁
定価:本体2,500円(税別) 

『海ほほづき』



玉井美智子さん





海酸漿


【申込み方法】
著者へ直接、葉書またはファックスでお申し込みください。
〒489−0031
愛知県瀬戸市五位塚町11−501
玉井美智子
FAX 0561−89−7368

copyright(c)2003-2007 IBUKINE All Right Reserved.