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  横井美音第1句集『加賀しぐれ』

                               角川書店



 この度、横井美音さんが、角川書店より句集『加賀しぐれ』を上梓されました。心よりお喜び申し上げます。
 美音さんは、平成13年に「伊吹嶺」に入会し、栗田やすし先生、知立句会の下里美恵子さんに師事されました。
この句集は、平成14年から令和4年までの「伊吹嶺」に掲載された千余句の中から、河原地主宰が344句を選んだものです。

 句集を手にすると、まず目を引くのがカバー絵のかわいらしい人形です。この人形は、美音さんが「中日文化センター」の人形教室で作られた桐塑人形です。そして、句集名『加賀しぐれ』は、次の句から採られています。

 
綾子句碑訪へばまた遭ふ加賀しぐれ 令和2年  自選

 お人柄なのでしょう、美音さんにお会いするといつもにこにこされています。そして、その明るく屈託のない笑顔にはほっとするものがあります。俳句にも同じことが言えて、人の死に関わる句は悲しくまとめがちですが、美音さんは違います。明るい季語を選び、それでいて素直で違和感のない句になっています。
 
日脚伸ぶ余命わづかの姉とゐて   平成15年 自選
 雛の日に集ひて姉の忌を修す    平成15
 散骨の話氷菓を食べながら     平成17年 自選
 母の忌やあめ色に煮る鰤大根    平成18
 姉逝けり今年のさくら見納めて   平成28


 句集名となった俳句もそうですが、美音さんは細見綾子先生を慕っていて、綾子先生に関わる句が随所に見られます。綾子先生といえば、誰もがそう思っていることをあっけらかんと素直に詠んでいます。その大らかさは、美音さんの人柄や句に通じているように思います。
 
時雨傘たたみて拝す綾子句碑    平成19年 自選
 早春の影やはらかき女身仏     平成20
 三粒蒔く綾子の里の棉の花     平成27
 鶏頭の種を袋に綾子の忌      令和3
 『奈良百句』読み返しをり秋の夜半 令和3

 この句集には家族を詠んだ句が多くあります。特に句集の後半にご主人を詠んだ句が出てきます。夫婦の二人暮らしが想像されますが、互いに思いやり、労う姿がそこにあります。
 
風鈴を吊り退院の夫待てり     平成26
 初生りの苺一粒夫と食ぶ      平成27
 煤逃げの夫買ひ来たり草団子    平成27
 女正月夫焼くピザに舌焦がす    平成11
 梅古木咲しと夫のメール来る    平成13年 自選


 最後に句集の帯に載っている自選15選句のうち、まだ紹介していない10句を紹介します。
 
ナイアガラの虹くぐりゆく遊覧船  平成16
 雨あとの土匂はせて牛蒡引く    平成17
 幼子の寝息やはらか毛糸編む    平成18
 峯々の蒼き稜線蕎麦の花      平成24
 紅白の梅咲き揃ふ師弟句碑     平成25
 激つ瀬に飛ぶ鮎見んと乗り出せり  平成25
 文楽の太棹響く春野かな      平成26
 パリ―祭男がうたふ「ろくでなし」 平成26
 身に入むや寺に女人の髪の綱    平成27
 鳴き交はし大白鳥の飛び翔てり   平成30


     令和5年5月    新井酔雪記


発行所:角川書店
発行者:石川一郎
B5版  211頁
定価:本体2,700円(税別) 

「加賀しぐれ」



横井美音さん
栗田顧問・河原地主宰


【申込み方法】
著者へ直接葉書でお申し込みください。
〒465-0065
愛知県名古屋市名東区梅森坂2−802
横井美音

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