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2019年7月号 俳日和(18)
 
  沖縄のこと

                             河原地英武

 6月23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園で行われた沖縄全戦没者追悼式で、玉城知事が辺野古沖の埋立問題に関して「民意を尊重」しない政府を厳しく批判した。そのあと安倍首相が演壇に立ち、沖縄の基地負担軽減に向けて全力を尽くすとスピーチすると、「うそばかり」「恥を知れ」「帰れ」という怒号が飛び交ったという。本来ならば皆が心を一つにして戦没者の犠牲に思いを致し、二度と戦争はしないことを誓うべき場所で、このような対立があらわにならざるを得ない現実をみるにつけ、やるせない気持ちになる。

 数年前、大学の教員10名ほどで沖縄の基地問題を考えるプロジェクトを立ち上げ、2年間、本腰を入れて勉強したことがある。政府代表者から琉球独立論者まで様々な立場の人をゲストに招いて意見交換し、実際に沖縄へ赴き、米軍基地のなかを視察し、翁長知事(当時)や沖縄担当特命全権大使とも会見し、辺野古で座り込みを続ける人々の意見も聞いてきた。その総仕上げとして、京都市民に公開するかたちでシンポジウムを開催し、ステージ上で学生と教師の討論会も行った。この活動を通じて痛感したのは、これは沖縄だけでなく、日本国民全体が向き合わなくてはならない課題だということである。

 このところ栗田先生の最新句集『半寿』を手元に置き、しばし時を忘れて読みふけっている。たった今も沖縄の句を改めて通読したところだ。ここには先生の沖縄への思いが凝縮されている。これらの作品のまえでは、辺野古埋立の賛成派も反対派も争いをとめ、沈黙せざるを得まい。われわれ生者がもっとしっかりしなくては、それこそ幾万の霊がいつまで経っても浮かばれないではないか。

   さわさわと風に青甘蔗嘆き合ふ            やすし