平成20年度の伊吹嶺オフ句会が10月4日〜5日に行われました。
1年半ぶりの伊吹嶺オフ句会で、今回は翌日が「伊吹嶺」全国俳句大会のため、参加しやすいように前日に計画しました。総勢28名の参加を得て、今までで最高の参加者となりました。吟行地は全国大会会場にアクセスがよいように、岐阜公園界隈としました。以下オフ句会の吟行地、句会模様を紹介します。
1日目
スタートは妙照寺。芭蕉が1ヶ月逗留した寺で〈やどりせむあかざの杖となるひまで〉の句碑がある。半月ほど前の下見の時に挨拶をしておいたおかげか、ご住職のご機嫌のよい日だったのか、芭蕉逗留の部屋に案内していただき、藜の杖や句碑の元となった加藤楸邨の掛け軸も見せていただいた。また部屋の保存や句碑建立などは松井利彦先生の奔走によるものだとお聞きして、とんだところで松井先生の名を聞き、懐かしく思った。結局ここが今回の吟行の目玉となった。
以下籠大仏の正法寺、岐阜公園の信長館跡の発掘現場(今日は土曜日のため発掘はやっていなかった)、十八楼近くの古い町並みなどを散策した。そのうち店先で岐阜団扇の製作実演を見ながら、ここで買った団扇を今日の句会の景品とする。その間、誓子、芭蕉、碧梧桐等の句碑も多いのが目についた。
旅館に到着後、投句、食事中のお祝い会、選句まで行い、その後鵜飼の終わるところを見物。戻ってから披講、選評などで今日の行程が終わる。と言ってもそのままで終わるはずがなく、入浴後2回目の句会を行う。そこですぐ寝ればよいものをまた延々と飲み会が続く。
2日目
2日目は長良川北岸の吟行。信長菩提寺の崇福寺、長良川北岸を散策、誓子・多佳子句碑、杉山鵜匠さんの庭、山下鵜匠さんの鵜小屋など次々と見て、最後は鮎雑炊でオフ句会の吟行は終わる。その足で全国大会の岐阜グランドホテルにおもむき、全国大会に合流。
今回のオフ句会は参加者が多かったこと、初めての参加者が多かったことで旅館での食事会、句会に随分と盛り上がり、盛会のうち無事終えることが出来た。今回は地元勢の幹事で矢野孝子さん、坪野洋子さん、伊藤範子さんのご協力のおかげと思う。
以下は第1回目の句会の1句と主なスナップです。
第1回句会抄(50音順) |
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城山の懐へ消ゆ秋の蝶 |
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伊藤範子 |
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どこからも岐阜城が見え素十の忌 |
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岩本千元 |
秋草のあまた優しき館跡 |
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宇野美智子 |
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秋高し山城に添ふ多宝塔 |
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梶田遊子 |
句碑の裾木瓜の紅濃き返り花 |
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加藤洋子 |
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秋江の日差散らせり屋形船 |
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河原地英武 |
色変へぬ松や誓子の句碑尖る |
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菊池佳子 |
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和尚より師の話聞くさやけしや |
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国枝隆生 |
祀られし屋根神様や秋暑し |
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古賀一弘 |
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歳時記に桜紅葉の一葉落つ |
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佐竹昌子 |
実を垂るるあかざ大黒さんの鉢 |
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佐藤とみお |
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大仏の指のびやかに萩日和 |
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鈴木未草 |
秋夕焼町家のポスト染めゆけり |
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鈴木みすず |
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大仏の数珠に秋灯の映りをり |
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砂川紀子 |
新渋の匂ふ三和土の古時計 |
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関根切子 |
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秋晴やケーブルカーの影を踏む |
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関野さゑ子 |
親子蜘蛛芭蕉手植ゑの梅に張る |
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玉井美智子 |
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秋桜三畳で売るぎふうちは |
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田嶋紅白 |
仏像の指の先過ぐ素風かな |
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陳宝来 |
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舫ひ綱ゆるみかげんに鵜飼待つ |
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辻江けい |
かまきりの斧振る信長館跡 |
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坪野洋子 |
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鮎下る鵜川日の斑のゆらめけり |
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中野一灯 |
秋の日へ弓引き絞る信長像 |
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藤田岳人 |
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藤は実にどつかと坐る碧の句碑 |
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牧啓子 |
夕日濃き長良の早瀬鳥渡る |
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武藤光晴 |
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由緒ある芭蕉の居間やそぞろ寒 |
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森垣昭一 |
身に入むや梁に鳩除け五寸釘 |
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矢野孝子 |
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ゆくりなく国盗りの城鷹渡る |
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八尋樹炎 |
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