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  川島和子 第1句集『芹摘み』     燦文舎
                                  


  の度、川島和子さんが、燦文社より第1句集『芹摘み』を上梓されました。心よりお喜び申し上げます。
 和子さんの俳句との出会いは、2002年、教職に就いていたときの職場で、野島秀子さんに出会ったことに始まります。そして、野島さんに誘われ伊吹嶺と都合ナルミさんの折戸句会に入会しました。以後、都合さんから直接俳句の指導を受け、2019年に同人に推挙されました。

 この句集は和子さんの傘寿を記念して上梓されたものです。しかし、ご本人にお会いすると、とても傘寿とは思えない若々しさです。そう思うのは私ばかりではないと思います。
 この句集には、2003年から2025年まで伊吹嶺誌に掲載された句が掲載されています。982の掲載句の中から327句を河原地英武主宰に選んでいただき、自身の思入れのある句を加えて344句を収めてあります。そして、句集名『芹摘み』は次の句から採ったものです。

  ナルミの忌修す川辺の芹摘みて  2023

 この句集の構成は、年代順に5つの章に編成されています。そして、それぞれの章に表題がつけられています。その表題となった句を紹介します。
  Ⅰ はつたい  2003年~2009
  Ⅱ 単 衣   2010年~2013
  Ⅲ 七日粥   2014年~2017
  Ⅳ 色変へぬ松 2018年~2021
  Ⅴ オリオン  2012年~2025
  
はつたいをこねをる父の指太し  2008
  忌を修す母の単衣をゆるく着て  2012
  古希となる夫にたつぷり七日粥  2014
  色変へぬ松や途切れぬ機の音   2019
  オリオンの下で献杯ナルミの忌  2023


 章の表題にあるようにご家族を詠んだ句が多く見られます。家族を詠むというのは、家族の歴史を詠むことであり、自身の人生を詠むことになります。亡くなったご両親の思い出を詠んだ句には、ある種の明るさがあります。和子さんのご家庭が、ご家族が、きっと明るく温かいからでしょう。
  
葉つき柚子浮かべて夫の長湯かな 2004
  生み終へし娘の頬照らす夏日差  2011
  神棚へ孫に貰ひしお年玉     2017
  褞袍干すかすかに父の匂いして  2022
  なじみたる母の指貫花曇     2025

 序文で主宰も紹介されていますが、この句集には、けれんみのない素朴さと、華やかで瀟洒な雰囲気を併せ持っています。そんな華やぎとお洒落な感じのする句を紹介します。これらの句は女性ならではの句で、男には詠めない句です。
  
プールサイド教師の赤き麦藁帽  2004
  縄跳びの子の胸に鳴る数珠飾り  2009
  初風呂や胸ほんのりと染まるまで 2014
  花の昼パリから届くエアメール  2018
  マヌカンの藍色の爪街薄暑    2020


 あとがきを読むと、和子さんがいかに都合ナルミさんを師として敬い、感謝しているかが分かります。今ある自身の豊かな俳句人生の恩人として、人生の先輩として、単なる師弟関係以上の深い思いを感じました。そのことが句集名や章の表題に表れているのだと思います。
  耿耿と冬満月や師よ癒えよ    2019
  師の逝きし空にくまなき寒の月  2020
  師の愛でし蕗味噌手向く七七忌  2020
  春の灯や風邪歳時記に亡き師の句 2020
  師に捧ぐ句集編み上ぐ冬銀河   2024


 吟行句も多く、佳句がたくさん並びます。そして、飾り気なく素直に詠んでいて、それがために句材が際立ちます。季語(句材)に真っ正面から向き合った一物の句、句材と作者との関りやその場の生活が見える配合の句と多彩です。主宰一押しの吟行句は3句目で、躍動感があります。
  
予科練の町に声張る寒稽古    2007
  若布選る浜に飛び交ふ島言葉   2013
  でで虫の句碑へ雲雀野駆けぬけて 2014
  祓はるる贄の鮑の動きづめ    2018
  春日ごと両手で掬ふ独鈷の湯   2023


    令和8年4月  新井酔雪記


発行所:燦文舎
発行人:廣中美和子
B5版 204頁(並製)
定価:本体1,100円(税込) 



『芹摘み』




川島和子さん

【申込み方法】
著者へ直接、葉書または電話、Eメールでお申し込みください。
〒470-0134
愛知県日進市香久山2丁目806
川島和子
電話 052-804-8191
Eメール 
kakokaguyama0305@gmail.com
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