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平成25年いぶきネットオフ句会模様
 
平成25年3月15日(金)-16日(土)
 

 遅かった春の訪れを待ち構えていたように、3月15~16日に伊吹嶺オフ句会、蒲郡・豊橋吟行が行われました。遠くは福岡、関東はじめ関西や静岡などからの大勢のみなさまの参加を得て、天候にも恵まれ、大変な盛り上がりとなった二日間でした。家をでて日常生活からしばらく離れ、知らないところへ行くと、体中が新鮮になって感覚がとぎすまされます。新しい発見を求めて総勢33名の方たちが歳時記と句帳をもって、「見るもの、触るもの、すべて吟行」を満喫されたことでしょう。

 第一日目は蒲郡竹島周辺の散策から始まりました。ゆりかもめが舞う海にはちょうど浅蜊舟が浮かび、漁師たちが馬鍬(鋤簾ともいいます)でアサリを採っていました。「渡満の碑」「宮の蔵の開扉」「竜神岬」などの句材と共に、浅蜊舟の出現は大いなる収穫だったようです。竹島をあとに蒲郡一の大寺、安楽寺での「涅槃会」への参詣へ。化粧をした稚児等といただくお斎、リヤカーで引き廻す寝釈迦像、涅槃絵、涅槃餅、涅槃幡など、限りないほどの句材に胸が躍るようです。お寺近くの公民館での句会も大変スムーズにすすみ、国枝部長、中野一灯氏の選評にも力がこもっているようでした。

 宿泊は西浦温泉「海花」で23名が賑やかに集い、深夜までお酒に酔い、お湯に酔い、そして俳句に酔って、和気藹々と共有の座を楽しみました。

 第二日目は隣の市、東海道吉田宿のあった豊橋市の牛川の渡しへ。ここは愛知県で最後の手漕ぎの渡しで有名です。10名の定員で30名の大所帯を、にこやかに運んで下さった船頭さんには頭が下がります。続いて吉田城址のある豊橋公園へタクシーで移動しました。ここでも「緋連雀」「初音」「巣組」などの句材に恵まれ、俳句をしたためるぺンの止まる時がないようでした。市電の乗車体験前に寄った「ハリストス正教会」では司祭さんの丁寧なお話に皆さんの心もしっかり洗われたようです。「きく宗」での菜飯田楽に舌鼓をうち、市民センターでの句会に臨みました。ここではネット句会の浜野秋麦さん、弓野スミ子さんに披講をお願いし、お二人のなめらかな披講ぶりに驚かされました。

 国枝部長からは「ネット句会が伊吹嶺の両輪の一方を担っていること。その力の結集としての合同句集の発刊」、一灯氏からは「佳い句に出会える感動を土産に・・・」のお言葉もいただき、無事今回のオフ句会を終えることができました。開催地の蒲郡の句会の皆様はじめ、遠くから参加してくださった皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。

 当日の一句、写真などを添えてお届けします。         (内田陽子) 


2日目の句会一同

竹島へ橋を渡る

浅蜊掻き

安楽寺

涅槃絵図

寝釈迦のお練を待つ間も句作

寝釈迦像

公民館で第1回の句会

寝る前の第2回句会

宿泊したホテルの前で

牛川の渡し
 
渡し船の皆さん

吉田城址の公園で

正ハリスト教会

2日目の句会

オフ句会の1句(1日目の50音順+2日目参加者)
涅槃会や稚児の額にぽち二つ 安藤幸子
鯱の反りゆるやかや涅槃寺 飯田 詩音
梅散るや古寺の裏に風化仏 池田 晴美
浅蜊掻く舟を離れず群鷗 伊藤 範子
涅槃会や女人の僧の紅うすく 岩﨑 喜子
お白粉の稚児よく眠る涅槃寺 内田 陽子
浅蜊舟馬鍬抉じをり潮濁す 小田 和子
腰までも汐に浸して浅蜊掻く 小田 智子
木の芽風稚児の簪揺るる音 金原 峰子
涅槃図の隅のその隅猫泣けり 国枝 隆生
塔頭の小さき涅槃図囲み見る 熊澤 和代
選別の音切れ間なし浅蜊舟 阪本 弘子
春灯す社の蔵に大金庫 佐藤 とみお
帳より覗く寝釈迦の衣紋かな 鈴木 未草
涅槃会や待ちゐる稚児の土いぢり 鈴木 みすず
涅槃図へマスクの顔を寄せ合へり 関根 切子
春光を鴎砕きて餌とれり 玉井 美智子
涅槃絵の巻きじわ深く釈迦にあり 中斎 ゆうこ
涅槃寺お斎の櫃のすぐ空に 谷口 千賀子
一湾にひかり広ごる鰆東風 坪野 洋子
腰で掻く海人の鋤簾やあさり舟 中野 一灯
じゃがらんの音響きけり涅槃寺 長崎 眞由美
竹島の風の陰なるあさり舟 浜野 秋麦
潮の香に包まれ長閑渡満の碑 廣中 みなみ
春潮にかもめ逆立ち魚捕る 藤田 岳人
涅槃図の鳥の名前を当てあへり 牧野 一古
春潮の島の岬に渡満の碑 丸山 三依
鳥帰る島の岬に渡満の碑 森垣 一成
つちふるや補陀落に向く俊成像 矢野 孝子
春の波模様映して水母寝る 弓野 スミ子
膝近き市電に揺られ町うらら 安藤 一紀
うららけし渡しに歌ふ春の歌 市川 美智子
八角の小窓に春日イコン映ゆ 岡田 佳子
首筋に春の風うけ乗船す 河村 恵光
城巡る芽吹きの空を仰ぎつつ 金原 峰子

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