遅かった春の訪れを待ち構えていたように、3月15~16日に伊吹嶺オフ句会、蒲郡・豊橋吟行が行われました。遠くは福岡、関東はじめ関西や静岡などからの大勢のみなさまの参加を得て、天候にも恵まれ、大変な盛り上がりとなった二日間でした。家をでて日常生活からしばらく離れ、知らないところへ行くと、体中が新鮮になって感覚がとぎすまされます。新しい発見を求めて総勢33名の方たちが歳時記と句帳をもって、「見るもの、触るもの、すべて吟行」を満喫されたことでしょう。
第一日目は蒲郡竹島周辺の散策から始まりました。ゆりかもめが舞う海にはちょうど浅蜊舟が浮かび、漁師たちが馬鍬(鋤簾ともいいます)でアサリを採っていました。「渡満の碑」「宮の蔵の開扉」「竜神岬」などの句材と共に、浅蜊舟の出現は大いなる収穫だったようです。竹島をあとに蒲郡一の大寺、安楽寺での「涅槃会」への参詣へ。化粧をした稚児等といただくお斎、リヤカーで引き廻す寝釈迦像、涅槃絵、涅槃餅、涅槃幡など、限りないほどの句材に胸が躍るようです。お寺近くの公民館での句会も大変スムーズにすすみ、国枝部長、中野一灯氏の選評にも力がこもっているようでした。
宿泊は西浦温泉「海花」で23名が賑やかに集い、深夜までお酒に酔い、お湯に酔い、そして俳句に酔って、和気藹々と共有の座を楽しみました。
第二日目は隣の市、東海道吉田宿のあった豊橋市の牛川の渡しへ。ここは愛知県で最後の手漕ぎの渡しで有名です。10名の定員で30名の大所帯を、にこやかに運んで下さった船頭さんには頭が下がります。続いて吉田城址のある豊橋公園へタクシーで移動しました。ここでも「緋連雀」「初音」「巣組」などの句材に恵まれ、俳句をしたためるぺンの止まる時がないようでした。市電の乗車体験前に寄った「ハリストス正教会」では司祭さんの丁寧なお話に皆さんの心もしっかり洗われたようです。「きく宗」での菜飯田楽に舌鼓をうち、市民センターでの句会に臨みました。ここではネット句会の浜野秋麦さん、弓野スミ子さんに披講をお願いし、お二人のなめらかな披講ぶりに驚かされました。
国枝部長からは「ネット句会が伊吹嶺の両輪の一方を担っていること。その力の結集としての合同句集の発刊」、一灯氏からは「佳い句に出会える感動を土産に・・・」のお言葉もいただき、無事今回のオフ句会を終えることができました。開催地の蒲郡の句会の皆様はじめ、遠くから参加してくださった皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
当日の一句、写真などを添えてお届けします。 (内田陽子)
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