9月3日、犬山にて綾子・やすし師弟句碑吟行句会が開催されました。長雨に木曽川は濁っていましたが、伊吹嶺の皆さんの心中は十分晴れ上がっていたことでしょう。
受付時間30分前には、お二人の句碑の前はすでに人だかりができていました。句碑の前には野で摘まれた吾亦紅、露草、蓼などの花たちが供えられ、緑美しい苔たちがあたかもお二人の句碑を守るかのように生えそろっていました。
句会は名鉄犬山ホテルの秋草で飾られた「彩雲南」での食事のあと、13時から始められました。6回目となった師弟句碑吟行会について、「だんだん年が経てばこの地にしっかり根付いてくることを祈っている。」との主宰のことばに、更なる発展を実感しました。研修部の小原米子さんの手際よい進行のもと、十分な選句時間にじっくりと佳句を選ぶことができ、会場内も慌ただしさもなくスムーズに皆さんとの時間を共有できました。
披講は今年度秀句賞の加藤ゆうやさんをはじめとし、松平恭代さん、松永敏枝さんの御三方が担当されました。点盛りの間には主宰のお話も組み込まれ、研修部の方たちの緻密な時間配分が感じられました。
主宰のお話は「類句・類想」についてです。最初にご自身の「疲れ鵜を労はる己が指噛ませ」の句を取り上げられ、最近は著作権という問題がはっきりしてきたので類句・類想について論議されることが多くなったことを説明されました。そして、「我々は類想を恐れない。現実に見たもので作ればよい」の信念のもとに作句に励もう!との力強いお言葉をいただきました。
表彰は主宰特選・高点句13名で、主宰、副主宰それぞれの選評がありました。
丹羽康碩同人会長の伊吹嶺二十周年に向けての会員の結束を促す力強いお言葉で、今日の吟行句会を閉じました。
主宰特選と高点句を添えて、今日の吟行句会の報告とさせていただきます。(内田陽子)
当日の主宰特選句
師弟句碑に集ふ幸せ初紅葉 溝口 洋子
当日の高点句
綾子忌の大河を跳ぬるあめんばう 河原地 英武
草の花草で結びて綾子碑へ 上田 博子
句碑囲む苔ふつくらと綾子の忌 矢野 孝子
句碑囲む声の明るし綾子の忌 小田 二三枝
萩咲いて師の句碑いよよ青みたり 矢野 孝子
句碑の辺の苔息づける秋気かな 伊藤 範子
綾子忌や桜二輪の返り咲く 福田 邦子
萩は実に盤石となり師弟句碑 小原 米子
偲びつつ〝桃は八重〟読む夜半の秋 上杉 美保子
流燈の句碑へさくらの薄もみぢ 角田 勝代
綾子師の深きまなざし秋澄めり 武田 稜子
白き文字浮き立つ今朝や綾子の忌 藤田 岳人
師の句碑と風を分け合ふ吾亦紅 国枝 洋子
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