5月9日(土)、第4回自然と親しむ吟行会が愛知県岡崎市藤川町で、66名の参加で開催されました。藤川宿は東海道37番目の宿場町で「爰(ここ)も三河むらさき麦のかきつはた はせを」の句碑が十王堂に建っています。いつ頃から藤川で紫麦が作られるようになったかは定かではありませんが、芭蕉が旅をしている時にはあったのでしょう。紫麦は戦後まで細々と作られていたようですが、やがて作られなくなり、ついに幻の麦となりました。
平成6年に「藤川まちづくり」の一環で紫麦を復活しようと苗をもらい、作付面積を増やし、平成13年、東海道五十三次宿駅制定四百年を期に「むらさき麦まつり」を立ち上げ、紫麦を藤川のシンボルとし、現在に至っています。
当日は、薄曇り、少しパラパラと雨も降りましたが、何とか傘のお世話にもならずにすみました。名鉄藤川駅に集合し、国枝部長の挨拶に始まり、岡崎在住で今回大活躍してくださった新井酔雪さんに行程の説明をしていただき、吟行は始まりました。まずは国道一号線を渡り、紫麦の広がる畑に行き、穂だけではなく、茎も葉も鮮やかな紫になった麦畑を見学しました。その後、一号線の下を通るトンネルを潜り、藤川宿にある、芭蕉句碑、十王堂、西棒鼻、本陣跡、高札場跡などを散策しました。
句会会場は藤川駅に隣接する東部地域交流センター「むらさきかん」。句会はシール方式で2句投句、3句選。美味しいお弁当をいただいた後、国枝部長の挨拶で句会は始まりました。坪野さんが句会の注意事項を説明した後、投句一覧で選句に入りました。披講は熊沢さんと長崎。
皆さんのご協力でたいへん順調に進行でき、主宰、副主宰からの選評の時間がたっぷりとれました。
河原地副主宰は「見ているだけでなく、アクションを起こしてみるのもいいですよ」と言われ、特選にとられた主宰の「麦の穂のむらさき風に流るるよ」は感嘆詞がよく、音楽的であって、格が高い句ですとおっしゃられました。
栗田主宰は紫麦畑に出かけて、ここは心安らぐ良い所だ、また来たいと思われたそうです。句材が同じなので、句の仕立がよいものを選んだと言われ、選句10句の他にも、ここを直すとよくなる句などを丁寧にご指導くださいました。
利行さんの成績発表で主宰、副主宰の特選の方にはそれぞれのご染筆の贈呈、高点句5人には図書カードが渡されました。
副主宰より染筆が主宰に送られる光景はめったに見られない光景ではないでしょうか。
今回の自然と親しむ吟行会は募集してすぐに定員いっぱいになってしまい、参加できなかった方もいらっしゃると思いますが、5月16日(土)10:00~15:00、藤川駅周辺で「むらさき麦まつり」が開催されますので、是非お出かけください。
なお、吟行会模様の写真、特選句・高点句などを以下に紹介します。(長崎眞由美記)
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