第4回「伊吹嶺」俳句鍛錬会記(知多)
去る11月20日(水)~21日(木)に第4回「伊吹嶺」俳句鍛錬会が愛知県知多半島で行われました。総勢40名の参加は、前回までの参加者数に比べ少人数になりましたが、全員が笑顔のアットホームな鍛錬会になりました。
1日目は名古屋駅集合で、時間厳守の気持ちのよいスタートをきりました。堀一之さんの先達で、一路焼き物の町常滑へ。バスの中では櫻井愛知支部長のウィットに富んだ挨拶、栗田主宰より「初心に戻り、即物具象の句を勉強しましょう」と<伊吹嶺俳句の基本>をしっかり学ぶべくお言葉をいただきました。
堀さんよりスケジュール等の説明があり、いよいよ鍛錬会最初の吟行地、常滑やきもの散歩道へ到着。コースの辻々には実行委員の方たちが立ち、林立する煙突と明治・大正の名残をとどめる家並を縫うような窯場路地も迷子になるようなことなく、俳句作りに専念することができました。そして指定文化財になっている登窯・土管坂などでは時間のたつのを忘れるほど見入っている会員の姿が多く見られました。
昼食を終え、バスは美浜町の「鵜の池」へ。カワウの生息地として知られる鵜の山の裾にある池です。ここでは鴨たちが悠然と群れをなし、鵜が水しぶきをあげ飛びたつ様子がよく見えました。また池のほとりの「碧梧桐」句碑が秋草の中でひっそりと建っていたのが印象的でした。
1日目の吟行を終えて、ホテル到着後すぐの第1回目の句会、夕食後に第2回目の句会、最後は二グループに分かれての自由参加の第3回目句会が行われ、まさに充実の鍛錬会初日となりました。
2日目、バスで野間・法山寺へ移動。源義朝が最期をとげた湯殿跡、義朝像を吟行、続いて義朝の墓・血の池等で知られる勅願寺大御堂寺へ移動しました。一名野間大坊として知られ、太刀塚、血の池と物騒な名前にも関わらず、俳人たちの絶好の吟行地として、季節を問わず訪れる人影が途絶えることはないといいます。
昼食の後はいよいよ鍛錬会締めくくりの句会が行われました。この句会は一人3句投句ということで、緊張感と満足感の中、皆さんの真剣な作句姿が一段と光って見えました。
各句会では主宰にはお疲れのところ、ご自身の選の句は勿論の事、点数の入らなかった句に対しても丁寧なご指導をいただきました。この二日間が参加者全員にとって意義のあるものとなりますことを祈って止みません。
実行委員の方たちの綿密な準備とスムーズな行程で、「伊吹晴れ」の鍛錬会を無事終えられたこと、初めてお目にかかった方々や先輩たちと親近感が持つことができたこと、そして「伊吹嶺俳句」の真髄に少し近づけたことを喜びにこれからも学んでいきたいと思います。
以下は俳句鍛錬会の模様と二日目最後の句会での主宰の特選句と、高点句を掲載いたします。また、愛知支部長の櫻井幹郎氏よりメッセージが届いていますので、あわせてここに掲載させていただきます。 (内田陽子記)
今回の伊吹嶺鍛錬会は、全員が快い充実感と感動を味わうことが出来た。実行委員の綿密な計画と、二度の下見によって、行程(吟行)と三回の句会が実施された。四十名余という規模でバス一台、同人会員半々であった。精選された吟行地で、常に全員が主宰の姿を視野に入れ、行き先々では、全ての場所場面を見届けるコンパクトな規模で、皆の運動量は均一であった。その成果が作品となり、句会では観察・発見・感覚・表現での微妙な個人差の表われた力作が揃っていた。主宰の選句や講評に共感しながらの学習であった。一人一人が主宰と濃く触れ合うことが出来、和やかな二日間であった。参加者の交流、親睦も深まり、素晴らしい鍛錬会であった。
私は今、例えば「湯殿跡」「太刀塚」「血の池」等々を詠み込んだ作に、参加しなかった人、その場を知らない人にどう受け止められるかを考えながら、普遍性を思いつつ、自作を見つめ直しているところです。 (愛知支部長 櫻井幹郎)
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