連休も明けた初夏の5月10日、11日「栗田主宰と行く伊吹嶺伊根吟行会」が行われました。伊根の舟屋と天橋立、丹波の細見綾子先生の生家を巡る吟行で、バス2台63名の参加でした。10日朝8時、名古屋の栄出発時に、参加者へ詳細な資料と投句用紙をいただき、バスに乗り込みました。バスでは栗田主宰の「お天気が心配ですが晴れ男の私と晴れ女の小原さんの力でよい天気にし、皆さんに楽しんでいただける吟行会にしたい」と力強いご挨拶がありました。次に今回の企画に特にご尽力くださった堀一之さんから行程の説明がありました。
高速を走行中「主宰への質問コーナー」があり、主宰に色々な質問に答えていただきました。1号車では、櫻井幹郎愛知支部長から、学生時代の楽しいエピソードを交えた「これは内緒だよ」というお話もお聞きしました。吟行会のテーマソングとして「高原列車は行く」と「岬めぐり」の二曲を堀さんのリードにより、皆で歌いました。パーキングエリアで主宰と堀さんは2号車へ乗り換え、同じように「質問コーナー」と「歌」で盛り上がりました。
宮津に着き、元伊勢籠神社を見学しながら、物産センターの二階で昼食後、舟屋の里へ。舟屋周辺は道が狭いので、4グループに分かれて、それぞれ地元のガイドさんによる説明を聞きながら見学しました。伊根は日本海側にありながら、南を向いた湾の中に島がひとつある地形なので、海が穏やかで、年間の干満の差が50センチしかないそうです。それで一階に舟を納める家屋ができ、湾に沿って立ち並ぶ230軒あまりの舟屋の里は、重要伝統建造物群保存地区選定地になっています。吟行途中、町に一軒の酒蔵で試飲もしながら、早くもほろ酔い気分で伊根のお酒を土産に買う人もいました。
宿泊先の宮津ロイヤルホテルに着き、会議室にて一人2句投句、一人3句選、櫻井支部長は5句選、主宰は特選1句と入選10句の句会が始まりました。河村恵光さん 玉井美智子さん 小蜥テ民子さんの披講で、主宰の特選入選11句、高点句14句の表彰は、夕食会会場にて行われました。主宰特選は小原米子さん、最高点は栗田主宰の句でした。主宰入選と高点句のみなさんには丹波の景品がつきました。
二日目、5月11日は、雨も上がり、まず天橋立を散策。廻旋橋、磯清水、与謝野鉄幹・晶子の夫婦歌碑などを見ました。浜辺へもずく採りの方が舟を寄せてくださり、採れたての潮の香のもずくを試食させてもらえました。そしていよいよ丹波路へ。青垣町東芦田に残る細見綾子先生の生家の見学です。その頃から丹波の空に青空が見えてきました。生家はとても立派なお屋敷で、昔のままの姿で残っていましたが、老朽化したためこれから資料館として改修することになると思うと感慨深いものがありました。床の間にはとても大きな50センチほどの内裏雛が桐の箱とともに飾ってありました。細見先生直筆の短冊や、箱に入った「風」誌、昔の俳句雑誌等も置いてあり、皆さん目にしっかりと焼き付けていました。
その後、高座神社の前にある「でで虫句碑」へ移動。角田さんが本物のかたつむりを見つけて句碑の上に這わせてくださいました。句碑は細見先生の生家も見える場所にあり、早苗田を越えて五月の爽やかな風が吹きぬけていきました。
昼食会場は丹波の料亭「三友楼」でした。丹波の黒豆も用いた上品な料理の数々を堪能しました。三友楼の女将さんは俳句の造詣が深い方で、宇多喜代子さんや坪内稔典さん、山田佳乃さん等を交えて句会が行われるという料亭でした。女将は「雉子鳴けり少年の朝少女の朝」の句碑建立にも協力をされたということです。食後、当初のコースに無かった「雉子句碑」のある洋館風の旧柏原高等女学校が見える道を通りながら、帰路につきました。二日目は各自2句を投句用紙に書いて提出、後日主宰に選をいただくという形でした。
二日間、とても中身の濃い吟行会、あこがれの舟屋と綾子先生のご生家訪問という嬉しい吟行に参加出来たことはこの上ない喜びでした。帰りの車中で堀さんが「バーステー」(鶴瓶の「家族に乾杯」テーマ曲)を歌ってくださり、初めから終わりまで心地よく楽しく充実した吟行の旅となりました。栗田主宰をはじめ、企画実行に携わってくださいました多くの皆様に、心から感謝いたします。
以下は吟行写真と栗田主宰選句、高点句です。なお今回は40枚近くの写真の大サービスです。(伊藤範子記)
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