1月16日(土)、平成28年伊吹嶺愛知支部新年俳句大会が中日パレスにおいて、158名の参加者で行われました。
第1部の俳句大会、司会はしっとりと和服を着こなされた松永敏枝さん。
開会のあいさつは愛知支部長の櫻井幹郎氏。
「新年大会を各支部毎で行うようになって6回目だが、今日も160名近くの多くの方が集まってくれました。一人一人と中々挨拶できないが笑み交すだけでも御慶だと実感しています」とにこやかに話されました。
主宰挨拶では「まもなく伊吹嶺は20周年を迎えますが、伊吹嶺の目指すところは即物具象。今回、俳人協会新鋭評論賞を受賞した荒川さんは夢を持ってそれを実現するということをやってくれました。自分も、もう1冊碧梧桐の本を90歳までには出したいと思っています」と夢を語ってくださいました。
入選句の披講は、横井美音さん、玉井美智子さん、内田陽子さんの3人。
河原地副主宰の講評では、「404句の中で選ばれるのは素晴らしいことですが、その選が重なるということは皆さんに選句力が付いているということです。点がたくさん入った句を自分も採っています。〈薄霜の朝や未来へ深呼吸〉の句については私はいつも抽象的な言葉は避けるように言っていますが〈未来へ深呼吸〉は惹かれました。特選の〈古酒酌むや四角四面の碧の文字〉は漢字の字面がよく特選にしました」と話されました。
主宰は「披講で名乗られるそれぞれの声を聞いていて、ああ、あの人も来てくださったんだあと思い嬉しくなりました。どれを採ってもいい句だと思いました。特選は〈小走りにくぐる校門木の実降る〉。〈小走りにくぐる校門〉は自分の実体験もあり、とても可愛くいじらしいと思いました」と講評され、特選に選ばれた水鳥悦枝さんは残念ながら欠席だったため、幹事の岸本典子さんが代わりに主宰のご染筆をいただきました。
第2部の講演は演題「子規・虚子・碧梧桐」で講師は栗田やすし主宰。
若き日の三人を知ってもらいたいとそれぞれ、どう呼び合っていたかを教えていただきました。子規は幼名「升(のぼる)」から「のぼさん」、碧梧桐は本名「秉五郎(へいごろう)」から子規は「へいこう」と呼び、虚子は本名「清(きよし)」から「せいさん」。
同時期に俳句を始めた碧梧桐、虚子を見ていた子規の感じたことを表にされ、時が経つにつれて子規の二人への評価が変わっていくこと、また遺されている子規や碧梧桐の書簡中に若き日の3人の面白い発見があることも教えていただきました。
第3部の懇親会はヴィスタホールに移動して始まりました。
司会は沢田充子さんと伊藤範子さん。
同人会長の丹羽康碩さんは「伊吹嶺20周年の来年に向けて、皆さんの力を結集して、記念事業を成功させたい。荒川さんの受賞は素晴らしいことで、その余勢を駆って20周年に向けて頑張っていきましょう」と力強く挨拶されました。
乾杯の音頭は河原地副主宰で、「栗田主宰も夢を語られたので、私も夢を今年こそ句集を出すことにしました。入会後18年間の自分の句を纏めたところ、愛着のある句とそうでもない句があり、愛着のある句とは、当時の情景がふっと浮かぶ句でそんな句を残しておきたいと思いました」と語られました。
俳人協会新鋭評論賞受賞の荒川英之さんの挨拶は初々しい中にしっかりと筋があり、「沢木研究のベースは「伊吹嶺」が「風」の伝統を継いだものであること」を強調されました。
栗田主宰から荒川さんへの大きな花束の贈呈、「花束贈呈は女性でなくてもいいの?」と照れながら渡されている主宰の顔には満面の笑みがありました。その後、和気藹々と歓談は進み、あちこちで笑みが交わされていました。
新同人、新句会、句集出版者の挨拶も、それぞれに熱のこもる、強い意気込みを語られていました。新句会は「こま草句会」「ガーデン句会」「かたかご句会」「ミロワール句会」「真帆句会」の五つ。主宰よりは新しい句会がどんどんできていることへの喜びの声をいただきました。句集出版者は『ガレの壺』の宇野美智子さんと『古谷句会合同句集』指導者の井沢陽子さんは教え子の男性ら2名に囲まれ嬉しそうでした。
最後には恒例になりました全員での合唱。服部鏡子さんの指揮で「寒い朝」「いつでも夢を」を熱唱しました。
閉会のことばは愛知副支部長の都合ナルミさん。「栗田先生の講演はわかりやすくて良かったですが、すぐに忘れてしまうので、今日のレジメは永久保存版の中に入れておいてくださいね」と呼びかけられ、最後に新年大会の幹事さん達の労をねぎらい、閉会になりました。 (長崎眞由美記)