1月21日(土)、平成29年伊吹嶺愛知支部の新年俳句大会が中日パレスにおいて、163名の参加者で行われました。
第1部の俳句大会、司会は歯切れの良い語り口の鈴木英子さん。
開会のあいさつは愛知支部長の櫻井幹郎氏。「年なんだから胸張って顎引き締めて・・」と奧様に言われたそうで、背筋を正して壇上に上がられ、「是非、近くの友人に俳句のお誘いをして伊吹嶺の裾野を広げていきましょう」と鼓舞されました。
主宰挨拶では「20周年を皆さんと共に張りのある年にしたい」とおっしゃられ、俳人協会賞の選考委員をされているが、「新しい人が出てきているが、師系をしっかりと守っている11冊が残った」と感想を述べられました。
入選句の披講は、中斎ゆうこさん、山本玲子さん、山崎文江さん、伊藤克江さんの4人。
河原地副主宰の講評で、「新年大会にはどのような句を出したらよいのかと聞かれることがあったが、日常吟でも新年の句でも、出していかん句はないが、俳句は詩である以上、気持ちの昂るような句がいい」とアドバイスを下さいました。
主宰の特選句は谷口千賀子さんの〈もみがらを一面にまき初田打〉。主宰は「誰にも採られなかったが良い句を特選に採りました。地味な句ですが、〈一面にまき〉に作者の心意気が感じられました」とおっしゃられ、壇上に上がられた谷口さんに主宰のご染筆をにこやかに渡されました。谷口さんは壇上で「最後の最後に主宰に採っていただきとても嬉しいです。自宅近くの一枚の田の景です」と言われ、主宰は「まさしく即物具象の句」と賞賛されました。
第2部の講演は演題『即物具象を考える〈夢・回想〉』で講師は栗田やすし主宰。「俳句にあっては物に即し、物を通すことによって感動が定着する」・・〈夢〉の句では沢木欣一先生や綾子先生の句を取り上げられ、〈回想〉の句では綾子先生が亡くなられた後に作られた沢木先生の句を上げられて、回想の句でありながら、まさしく即物具象の句になっていると教えていただきました。最後に沢木先生が言われたこと、
「俳句は風流人の遊びではない。あらゆる現象の奥に人間的真理を透視する逞しい、厳粛なる、積極的芸術なのだ」をしっかり噛みしめながら、繰り返して下さいました。
第3部の懇親会はヴィスタホールに移動して始まりました。
司会は横井美音さんと金原峰子さん。
同人会長の丹羽康碩さんは「今は句碑除幕式のことで頭がいっぱいです」と言われ、3月26日の句碑除幕式の出席申し込み状況をお知らせくださいました。
乾杯の音頭は河原地副主宰。「俳句をやっていなかったら、今ここにいる人たちにも出会うことはなかった。俳句の縁ですね」と和ませて下さり、その後米国第一を宣言し守りに入っているかのトランプ大統領の話も飛び出して、最後には「伊吹嶺は20周年を迎え、守りではなく攻めの姿勢で、日本文学の中で俳句の価値を上げていきましょう」と力強く語られました。
新同人、新句会、句集出版者の挨拶も、それぞれに熱のこもる、強い意気込みを語られていました。
新同人は堀一之さん、斎藤陽子さん、松岡美千代さん。
新句会は「たんぽぽ」「パピヨン」「木影」「ブルーム」「HAGURUMA」の五つ。
句集出版者は自註俳句『栗田せつ子集』のせつ子さん、『花梯梧』の都合ナルミさん、『平成秀句』・『火酒』の河原地副主宰、『三光鳥』の牧野一古さん、『碧梧桐研究ノート』の栗田主宰。
栗田主宰が選者になっておられる、犬山で3月31日に行われる「内藤丈草を偲ぶ会・俳句大会」の案内を酒井淑子さんがお知らせしてくれました。
最後には恒例になりました全員の合唱、服部鏡子さんの指揮で「ふるさと」「いつでも夢を」を熱唱しました。
閉会のことばの武田稜子さんは新年大会の幹事さん達の労をねぎらい、閉会になりました。以下は大会模様の写真と栗田主宰の選句一覧です。 (長崎眞由美記)