令和4年3月、ホテルインディゴ犬山有楽苑がオープンし、細見綾子先生、栗田やすし先生の句碑が庭園に移転、設置されました。散歩道から犬山城が見える素晴らしい場所にあります。今年は綾子先生の没後24年にあたり、記念吟行会が開催されました。
句会場は犬山交流センター「フロイデ」。会場には吾亦紅や季節の花、綾子先生の色紙、写真などが飾ってありました。投句は104名句数208句、当日の出席は74名の盛況でした。司会は同人会長の加藤ゆうやさん。河原地主宰は、先ず伊吹嶺の旗を持って町角に立ってくださった心配りをはじめとして、献身的な力添えへの感謝を述べられました。また「あらためて気持ちを引き締め、伝統を受け継ぐ師系の有難さと 細見先生への思いのこもった句会が楽しみです」と挨拶をされました。
清記一覧と選句用紙が配付され、句会の選句数は主宰と顧問は10句選(うち特選1句)、出席者が3句選で、披講を朝倉淳一さん、廣中みなみさん、市川あづきさん、点盛は酒井とし子さんと音頭惠子さんが行いました。河原地主宰は講評で特選句について「師弟句碑の場所を<つなぐ>とした言葉がキーワードで、<小径>が心に響きあたたかい気持ちになる」と述べられ、栗田顧問は、「句碑の距離感の写生の難しさがあるが<呼び合ふてをり>と感じた作者の心が良かった」とのお言葉でした。
休憩の後「綾子先生あれこれ」と題した栗田先生の講演がありました。綾子先生が昭和45年から平成5年までに東海地方を訪ねられた折の俳句の資料をもとに、丁寧な解説をしていただきました。また栗田先生が東京在住の頃「風」発行所に度々お寄りし、いつも歓迎していただいた思い出や、様々なエピソードを、ユーモアを交えてお話をされました。
表彰は、主宰と顧問の特選句には染筆色紙、特選と高点句4位まで犬山名菓「げんこつ飴」が贈られました。楽しく和気藹々とした中で、同人副会長服部鏡子さんの挨拶でお開きとなりました。
投句の取りまとめや、会場設営、各種手配と準備をしてくださった関係者の皆様有難うございました。写真は安藤一紀さん、牧野一古さん、伊藤の写真から選びました。(伊藤範子記)
★高点句(5点句まで紹介)
第1位 師弟句碑つなぐ小径や風涼し 川島和子
師の句碑に屈めば虫の声かすか 栗田せつ子
あきつ舞ふひかりの中に師弟句碑 栗田せつ子
第2位 綾子忌の近きひと日や零余子摘む 国枝隆生
げんこつ飴切る音軽き今朝の秋 野瀬ひろ
第3位 師の句碑に触れたる余韻ソーダ水 服部鏡子
新涼のひかりまとへり綾子句碑 武田稜子
句碑の背に百帝城や実むらさき 河合義和
実紫色づき初めし綾子の忌 上田博子