【19年「伊吹嶺」新年俳句大会作品抄】
栗田やすし選 秋麗志功のまろき菩薩笑む 舟橋 良
赤米の禾さはさはと登呂の秋 中村 たか
五箇山の三角切りの新豆腐 矢崎 富子
寄り添つて卒寿の夫と初日待つ 森 妙子
鵜供養の舳先に焚けり昼篝 小蜥テ民子
古書街の茶房の木椅子秋惜しむ 幸村志保美
秋雲や船で着きたる浅草寺 中川 幸子
木犀の風やはらかし産着干す 玉井美智子
草じらみつけ行商の荷を解けり 上杉美保子
特選 朝寒や富士湧水に靄立てり 清原 貞子
夏目隆夫 特選 秋澄めり日の斑きらめく川の底 田畑 龍
清水弓月 特選 火を止めし窯のさめゆく月明り 栗田せつ子
巽恵津子 特選 白朮縄綯ふや朱のさす翁の手 鈴木みや子
安藤幸子 特選 托鉢僧花野に脚半締め直す 上杉美保子
井沢陽子 特選 初蝶の音符のやうに舞ひにけり 漆畑 一枝
石原進子 特選 ごん狐駈けよ野に満つ曼珠沙華 金田 義子
伊藤旅遊 特選 秋うらら麒麟首より歩き出す 中本紀美代
上杉和雄 特選 秋うらら麒麟首より歩き出す 中本紀美代
上杉美保子特選 火を止めし窯のさめゆく月明り 栗田せつ子
梅田 葵 特選 小鳥来る十人産みし母の墓 都合ナルミ
江口ひろし特選 斑鳩の空に溶け込み松手入 角田 勝代
奥山ひろみ特選 茶の花や昼を灯して土鈴塗る 岩上 登代
小蜥テ民子特選 秋うらら麒麟首より歩き出す 中本紀美代
片山浮葉 特選 お湯割りの泡盛酌めり欣一忌 中山 敏彦
金田義子 特選 野菊晴牧の仔牛の跳ねどほし 長江 克江
河原地英武特選 小春日や竹踊らせて鵜籠編む 掛布 光子
喜地庸子 特選 お湯割りの泡盛酌めり欣一忌 中山 敏彦
国枝隆生 特選 時かけて雲脱ぎゆけり今日の月 上田 則子
国枝洋子 特選 秋うらら麒麟首より歩き出す 中本紀美代
倉田信子 特選 朝日受け母の爪切る二日かな 厚味 當子
栗田せつ子特選 寄り添つて卒寿の夫と初日待つ 森 妙子
幸村志保美特選 小春日や竹踊らせて鵜籠編む 掛布 光子
小島千鶴 特選 臥して見る空の青さや獺祭忌 坂本 操子
小長哲郎 特選 婚の荷の桐の箪笥に蛇の衣 野村 君子
小原米子 特選 荒縄で縛る真冬の塩煮小屋 都合ナルミ
坂本操子 特選 秋時雨雨笠一蓋の修行僧 夏目 悦江
櫻井幹郎 特選 見てをれば風の見えくる吾亦紅 松本 恵子
澤田正子 特選 馬小舎に馬起きてゐる十三夜 井沢 陽子
下里美恵子特選 お湯割りの泡盛酌めり欣一忌 中山 敏彦
鈴木真理子特選 綾子の忌明けて帰燕の空澄めり 澤田 正子
鈴木みや子特選 鵜供養の舳先に焚けり昼篝 小蜥テ民子
武田稜子 特選 赤米の禾さはさはと登呂の秋 中村 たか
高橋ミツエ特選 鷹柱ほぐれて渡り始まれり 武山 愛子
谷口千賀子特選 伊吹嶺へ星の韻の冴ゆるかな 金田 義子
田畑 龍 特選 火を止めし窯のさめゆく月明り 栗田せつ子
辻江けい 特選 地蔵盆地蔵を洗ふ草束子 本多 俊枝
角田勝代 特選 稗抜き女泳ぐごと田に分け入れり 山本 悦子
坪野洋子 特選 初鴨と聴けり伊吹の水の音 福田 邦子
都合ナルミ特選 襤褸市やキューピー寝かすブリキ缶 上杉 和雄
豊田紀久子特選 身に入むや手垢まみれの軍歌集 日野 圭子
長江克江 特選 托鉢僧花野に脚半締め直す 上杉美保子
中川幸子 特選 水澄むや水平に張る鯉のひげ 梅田 葵
中根多子 特選 寄り添ひて生くる喜び芋を掘る 岡部 幸子
中野一灯 特選 こほろぎや窯場の梁に産着干す 矢野 孝子
中村たか 特選 兵馬俑の数千の息冬ざるる 石原 筑波
中山敏彦 特選 廃校と決まる窓拭く鵙日和 桜井 節子
夏目悦江 特選 一つ落ちたちまち木の実時雨なる 山口 茂代
丹羽康碩 特選 競ふ鵜の修羅に波立つ総がらみ 安藤 虎杖
長谷川郁代特選 湖一つ波形のまま凍てつけり 牧田 節子
日野圭子 特選 兵馬俑の数千の息冬ざるる 石原 筑波
平松公代 特選 からつぽの窯ひぐらしの声透る 矢野 孝子
福田邦子 特選 赤米の禾さはさはと登呂の秋 中村 たか
二村美伽 特選 風呂敷の綿のぬくもり一葉忌 日野 圭子
牧野一古 特選 鵺といふ名の楽茶碗秋深し 夏目 悦江
松本恵子 特選 万歳の太夫八十路の声の張り 鈴木真理子
森靖子 特選 鷹柱ほぐれて渡り始まれり 武山 愛子
矢野愛乃 特選 子返りの母とじゃんけん冬ぬくし 奥山ひろみ
矢野孝子 特選 綾子の忌明けて帰燕の空澄めり 澤田 正子
山たけし 特選 お湯割りの泡盛酌めり欣一忌 中山 敏彦
山下智子 特選 猪の皮干す三州コロッケ屋 伊藤登美江
山本悦子 特選 廃校と決まる窓拭く鵙日和 桜井 節子
若山智子 特選 くくられて冬菊の香の衰ふる 栗田やすし