令和6年11月16日(土)、名古屋市港区の藤前干潟で第7回自然と親しむ吟行会が開催された。コロナ過で延び延びになっていたこの吟行会。河原地英武主宰にも参加していただき、46名による吟行となった。心配された雨は降ることもなく、1日中曇り。
集合場所はあおなみ線の野跡駅の改札口。出席の確認をするとすぐに移動し、吟行地への途中の広場で、配付した資料、日程、吟行地、句会場などの説明を行った。
吟行地につくと、干潟に下りる、河口沿いを歩く、周囲を散策する、野鳥観測所に行く、句会場を設営する人たちに別れた。そして、句帳を手にして、移動しながら作句していた。
空は一面雲が広がり鉛色、河口の水も濁って鉛色。そんなモノトーンの世界に浮かぶ鴨の群れ。多くの鴨が渡ってきていると聞いていたが、そんなに多くはいなかった。それでも、真鴨、尾長鴨、星羽白、鈴鴨などを見ることができた。また、Ⅴ字になって飛ぶ鴨の群れや、体の小さい鳰が潜っては、遠く離れた所に浮かぶ姿を何度も見ることができた。
河口沿いの道には釣り人が7,8人いた。バケツを覗くと鯊が3匹。15㎝ほどの鯊が尾を振っていた。「この時機の鯊は大きくてうまい。天麩羅もいいが、刺身が最高」釣り人は餌のゴカイを付けながら話し、気合とともに仕掛けを投げ入れた。
この日は大潮でだんだんと潮が引いていった。干潟に下りると枯葦があり、その根元には小さな穴がいくつもあり、たも網をもって生き物を探している若者がいた。その他にも、10数名ほどのグループがスコップを手に蜆を取っていた。
ちりぢりになっていた伊吹嶺の連中は、12時には句会場に集まり昼食をとった。句をまとめていると、東の空から干潟に向かって黒い大きな鳥の集団が飛んできた。窓いっぱいに広がった鳥の集団に声が上がった。
「あれ、何の鳥?鴨?すごいね」
「いや、あれは川鵜ですね。翼を広げた形が違うから」
句会は、野島秀子さんの司会、河原地主宰の挨拶で始まった。続いて、国枝隆生さんから藤前干潟の環境の状況報告があった。 2句投句、3句選。披講は川北康子さんと酒井とし子さん、点盛は伊藤みつ子さんと長崎マユミさん。河原地主宰と国枝さんは10句選で、選評と気になる句の説明があった。そして、閉会後、集合写真を撮って解散となった。
★河原地英武主宰の句
浮寝鳥おのづと列を正しをり 河原地英武
★主宰特選句
引き潮に負けじと潜る鳰 伊藤みつ子
★高得点句
蟹穴の泥の息づく冬干潟 林 尉 江 18点
蟹遊ぶ冬の干潟の忘れ潮 福田 邦子 9点
潮引きし中洲みさごの羽繕ひ 平松 公子 8点
ゆく秋や足裏でさぐる空貝 酒井とし子 7点
釣人の影を崩せりかいつぶり 久野 和子 6点
鴨の陣くづして川鵜割りこめり 国枝 洋子 6点