小春日和の11月16日(日)、インターネット部主催のオフ句会を開催した。吟行地は、松尾芭蕉の奥の細道むすびの地である水の都大垣。河原地英武主宰にも参加していただき、22名で吟行を行った。今日は、水門川沿いに設置されている遊歩道四季の路を散策し、目的地である船町川湊に行く。
JR大垣駅の南口で集合し、駅の東側にあるスタート地点の愛宕神社に向かった。愛宕神社には、道標を担った常夜燈があり、みんな触れたり、解説板を読んだりしていた。
愛宕神社から南に進んだ。四季の路には、芭蕉が奥の細道で詠んだ句の一部が句碑として設置されていて、句と解説を読みながら目的地に向かった。そして、水門川の水はきれいで、水草が流れになびいていた。
粟屋公園の湧水に寄り、貴船神社の広場で少し休憩した。そこには水門があって、隣には火の見櫓、そして消防車が止まっていた。みんな熱心に俳句手帳にメモしていた。
右折(西)して大垣藩校敬教堂跡の前を通り、八幡神社に向かった。水門川の堤防の壁面には、タイルがはめ込まれていて俳句が記されていた。また川沿いにはさまざまな樹木が植えられていて、野島秀子さんにいろいろと樹木の話をしてもらった。
八幡神社は、大垣まつりの神社で山車を繰り出すのだが、地元ではその「車山」を一字にして「やま」と呼んでいる。そして、この神社には湧水があって手ですくって飲んでみた。柔らかくてうまい水だった。さらに、この神社には、「折々に伊吹を見ては冬ごもり」という冬籠塚と呼ばれる芭蕉句碑がある。この句は、奥の細道で詠まれたものではなく、晩年に詠まれたもの。今は木々があって見えないが、昔はここから伊吹山が見えたそうだ。
右折(南)して目的地に向かった。大垣藩主戸田氏の菩提寺圓通寺に寄った帰り際、供花を持った老婆とすれ違い、丁寧に挨拶をされたのには頭が下がった。
さらに南進した。水門川には丸々と太った鯉が泳ぎ、鴨もいた。並木の楓(フウ)の木は、不思議なもので赤く色づくものと黄色くなるものがあった。
歩いていると檜の木香がした。寄る予定はなかったが、珍しいのかみんな「枡工房ますや」に入ってしまった。店を出て近くの四季の広場で休憩した。ここは川幅が広く四角い池のようになっていて、あちこちの造り滝が水音を立てていた。そして、芭蕉が大垣で開いた句座の連句の碑を読むと、一緒に旅をした曾良と大垣の俳人木因たちに名があった。
四季の広場から南へ200m、目的地の船町川湊に着く。川には舟がもやってあり、住吉川燈台は黒板張りで高さがあった。そして、芭蕉と木因との別れの像、蛤塚「蛤のふたみに別れ行く秋ぞ」を見て散開した。その後、奥の細道むすびの地記念館に入る人たち、句会場の総合福祉会館に行く人とそれぞれに別れた。
句会は午後1時30分から行い、3句投句、3句選。受付は野島秀子さんと熊澤和代さん、司会は伊藤範子さん、披講は玉井美智子さんと酒井とし子さん、点盛は長谷川妙好さんと伊藤みつ子さん、成績発表は長崎マユミさん。成績優秀者には記念品を贈呈した。そして、最後に河原地主宰の選評を頂いた。和やかな雰囲気の中、楽しく俳句を学ぶことができた。
【高得点句】
①冬ぬくし鬼の顔めくさざれ石 河原地英武
②水音の絶えぬ城下や冬もみぢ 服部鏡子
②鴨潜く光の影を崩しつつ 熊澤和代
④旅立ちの像に冬日のやはらかし 長谷川妙好
【主宰選句】
特選 冬ぬくし校庭隅の土俵の子 桑原玲子
無何有荘
冬うらら畳に映る色ガラス 長崎マユミ
芭蕉碑や水面に映る照紅葉 木村やゑ
冬日向枡屋に干さるる檜の香 野島秀子
しんがりを行く芭蕉忌の句碑巡り 熊澤和代
伊勢へ向く翁の像や小春凪 酒井とし子
湧き水の音まろやかに枇杷の花 恒川知子
水音の絶えぬ城下や冬もみぢ 服部鏡子
冬日差す川燈台の影淡し 長谷川妙好
鴨潜く光の影を崩しつつ 熊澤和代