令和7年10月18日(土)、名古屋千種駅近くのホテルメルパルク名古屋において、伊吹嶺全国俳句大会が開催されました。会員と同人を合わせて119名の参加があり、投句総数414句でした。
朝倉淳一さんの司会で第1部の総会が始まりました。同人会会長の栗山紘和さんの開会の言葉のあと、河原地英武主宰の挨拶がありました。「沖縄支部が立ち上がり会員数も増えて喜ばしいが、長期的に見れば会員数は減っていくだろう。これは俳句界全体のことであり、すでに風系の俳句結社2社が廃刊になることが決まっている。師系を守る意味でも、伊吹嶺の各句会が1人会員を増やせば、伊吹嶺の将来は明るいものになる。皆さん頑張ってほしい。」と話されました。続いて栗田やすし顧問からは、沢木欣一先生、細見綾子先生との思い出と伊吹嶺の由来を語りながら自身の健康について触れ、そして「昨年米寿を迎え、次は百歳までを目標に生きる。」との力強い言葉がありました。
各支部長の紹介の後、議題の審議では、奥山比呂美さんが議長を務め、無事に議題は承認されました。その後、伊吹嶺賞、新人賞、秀句賞の発表と表彰がありました。今年の伊吹嶺賞は2名同時受賞でした。
☆伊吹嶺賞 廣中みなみさん 「うりずんの風」
☆伊吹嶺賞 富田範保さん 「御饌の海」
☆新人賞 小川剛史さん
☆秀句賞 大城礼子さん 「見はるかす藍の海原島つつじ」
続いて、新同人の紹介と出席された新同人の1人1人から挨拶を頂きました。
☆新同人 大城礼子さん(花風句会)
小川剛史さん(HAGURUMA句会)
荻野恵子さん(しゃくやく句会)
野村君子さん(たんぽぽ句会)
最後に、出版物と卒寿の方の紹介がありました。栗田先生は、お祝いを贈呈するとき、「河原地主宰の句集は大変評判が良い」と評されました。
☆出版物 河原地英武主宰 第3句集『虫売』
☆卒寿祝い 森垣一成さん
第2部は俳句大会。司会は菊地富士子さん、披講は野村和甚さん、本庄鉄弥さん、アワンきえさんでした。特選の方は次のとおり。森垣さんは卒寿のお祝いと栗田顧問特選の二重の喜びでした。
☆河原地主宰特選 本多俊枝さん 「戦争を知らずに喜寿や八月来」
☆栗田顧問特選 森垣一成さん 「太陽の塔を見上げてかき氷」
第3部の講演は、荒川英之編集長による演題「欣一俳句における本歌取りについて ―能登塩田・沖縄の句を中心に―」でした。話しづらいのではないかと思うほどテーマが絞ってありました。しかし、荒川さんは、沢木先生の「自分の感覚だけでは句に膨らみが出ない。本歌取りみたいなことをよくやっている」という言葉を手掛かりに、資料を丹念に調べ、深く考察してありました。沢木先生はその土地の風土や民謡などを俳句に詠み込んでいるのですが、荒川さんはその証拠となる資料を見つけ出して、本歌取りを実証したのです。栗田先生も絶賛の講演内容で、研究発表と言ってもよいものでした。
懇親会は、河原地主宰、栗田顧問の挨拶、続いて栗山同人会長の乾杯の発声のあと、懇親会となりました。会員相互の親睦を深める楽しい会となりました。(新井酔雪)