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選句結果
     
第245回目 (2019年11月) HP俳句会 選句結果
【  長崎眞由美 選 】
  特選 小春日や白きまわしの土俵の子 小春(神戸市)
   古惚けしキネマ旬報秋灯 加藤剛司(名古屋市)
   うそ寒や影に重さのあるがごと      小林克己(総社市)
   茶の花やぷくりふくるるカルメ焼き 伊奈川富真乃(新潟県)
   老いは目に耳に足にと日向ぼこ まこと(さいたま市)
   浅沓の音の硬きや今朝の冬 とかき星(大阪)
   風に詩を紡ぎて揺るる秋桜 吉田正克(名古屋市)
   寒柝や吾子の寝息はまろやかに 鷲津誠次(岐阜県)
   石庭の白き真砂に柿落葉 惠啓(三鷹市)
   螻蛄鳴くや今日もともらぬ隣家の灯 ときこ(名古屋市)
【  高橋幸子 選 】
  特選 うそ寒や影に重さのあるがごと 小林克己(総社市)
   縄電車落ち葉の園を巡りけり 貝田ひでを(八代市)
   晩秋の黄昏に浮く裏妙義      雪絵(前橋市)
   定年はジーンズ" に決め冬支度 かつこ(東京)
   結界の青竹垣や初しぐれ 伊奈川富真乃(新潟県)
   水かさを壁に残せし秋出水 妙子(東京)
   千々に振る令和の小旗秋高し 隆昭(北名古屋市)
   瑠璃紺の小春の空を熱気球 彩楓(さいふう)(埼玉県)
   一山の紅葉映す水鏡 惠啓(三鷹市)
   螻蛄鳴くや今日もともらぬ隣家の灯 ときこ(名古屋市)
【  坪野洋子 選 】
  特選 螻蛄鳴くや今日もともらぬ隣家の灯 ときこ(名古屋市)
   縄電車落ち葉の園を巡りけり 貝田ひでを(八代市)
   荒々し裏大山の秋没日      典子(赤磐市)
   空堀を埋むる落葉や夕日影 康(東京)
   夕鐘の余韻微かや冬隣 暁孝(三重県)
   うそ寒や影に重さのあるがごと 小林克己(総社市)
   結界の青竹垣や初しぐれ 伊奈川富真乃(新潟県)
   レコードの音のかすれる夜長かな 和久(米原市)
   手に馴染む友の句集や秋ともし 蝶子(福岡県)
   秋冷や塀にくの字の影法師 うさぎ(愛知県)
【  国枝隆生 選 】
  特選 指を透く水の蒼さよ今年米 勢以子(札幌市)
   縄電車落ち葉の園を巡りけり 貝田ひでを(八代市)
   座敷まで夕日差し込み木の葉散る      正文(滋賀県)
   無住寺の小藪を灯す烏瓜 雪絵(前橋市)
   うそ寒や影に重さのあるがごと 小林克己(総社市)
   踏む音がそれぞれ違ふ落葉道 かつこ(東京)
   初時雨湖に寝息のありにけり みのる(大阪)
   レコードの音のかすれる夜長かな 和久(米原市)
   綿虫に日のゆらぎけり浮御堂 和久(米原市)
   さざ波の湖面を照らす冬の月 美由紀(長野県)

(各選者の特選は2点・並選を1点として計算し、最高点の方を最多入選賞といたします。
同点が3名以上の場合は該当者無しとさせて頂きます)

今月の最高得点者は、小林克己さん(総社市)でした。「伊吹嶺」11月号をお贈りいたします。おめでとうございます!

【講評】


講評はまだありません。

          しばらくお待ちください。

                     宜しくお願いします。

第244回目 (2019年10月) HP俳句会 選句結果
【  伊藤範子 選 】
  特選 秋灯を低く屋台の飴細工 吉沢美佐枝(千葉県)
   厚く切るロールケーキや豊の秋 加藤剛司(名古屋市)
   誰そ彼や秋の風鈴鳴り急ぐ      典子(赤磐市)
   無患子や夜雨に濡るる百度石 伊奈川富真乃(新潟県)
   鳴くほどに闇整ひて虫しぐれ 暁孝(三重県)
   蹲踞に映る青空小鳥来る ときこ(名古屋市)
   思うほど飛ばぬかわらけ秋麗 蝶子(福岡県)
   田仕舞の煙に霞む近江富士 和久(米原市)
   新調の畳のとどく秋の晴 小春(神戸市)
   黒鍵のひとつ戻らぬ暮の秋 小春(神戸市)
【  武藤光リ 選 】
  特選 無患子や夜雨に濡るる百度石 伊奈川富真乃(新潟県)
   月影や石のマリアの艶めけり 加藤剛司(名古屋市)
   いわし雲日本海の空埋めて      清風(鳥取)
   直立の守衛の影の夜寒かな ふじこ(福岡県)
   菊日和はらから集ひ母百寿 妙好(名古屋市)
   宿下駄で巡る朝市秋澄めり 惠啓(三鷹市)
   蹲踞に映る青空小鳥来る ときこ(名古屋市)
   木犀や白杖のつと立ち止まる 紅さやか(福岡県)
   田仕舞の煙に霞む近江富士 和久(米原市)
   新調の畳のとどく秋の晴 小春(神戸市)
【  奥山ひろ子 選 】
  特選 宿下駄で巡る朝市秋澄めり 惠啓(三鷹市)
   厚く切るロールケーキや豊の秋 加藤剛司(名古屋市)
   地球瓶の堅き煎餅秋没日      妙子(東京)
   そぼ降るや白馬五竜の花野道 典子(赤磐市)
   いわし雲スカイツリーを真ん中に 節彩(小平市)
   まるまると太る綿飴台風過 安来(埼玉県)
   帆を畳むマストに群るる赤とんぼ うさぎ(愛知県)
   筆の穂を噛んで下ろせり秋灯下 暁孝(三重県)
   蹲踞に映る青空小鳥来る ときこ(名古屋市)
   新調の畳のとどく秋の晴 小春(神戸市)
【  渡辺慢房 選 】
  特選 鍋底にこびりつきたる秋思かな 小川めぐる(大阪)
   地球瓶の堅き煎餅秋没日 妙子(東京)
   納豆のひかる粘糸や今朝の秋      さいらく(京都)
   大夕焼上り列車が参ります 中原壱朋(茨城県)
   夕化粧被さる無縁仏かな うさの(愛媛県)
   無患子や夜雨に濡るる百度石 伊奈川富真乃(新潟県)
   休憩のバドミントンや秋うらら 筆致俳句(岐阜市)
   火恋し翅もつ虫の地を這える 勢以子(札幌市)
   思うほど飛ばぬかわらけ秋麗 蝶子(福岡県)
   黒鍵のひとつ戻らぬ暮の秋 小春(神戸市)

(各選者の特選は2点・並選を1点として計算し、最高点の方を最多入選賞といたします。
同点が3名以上の場合は該当者無しとさせて頂きます)

今月の最高得点者は、伊奈川富真乃さん(新潟県)でした。「伊吹嶺」10月号をお贈りいたします。おめでとうございます!

【講評】


       2019年10月伊吹嶺HP句会講評        渡辺 慢房

1  秋曇り災害支援の車列過ぐ  

 時事に取材した句ですが、普遍性があります。心配と期待の混じった顔で見守る作者
の様子が浮かびます。季語の斡旋が巧みですね。


2  残菊や病の子にも矜持あり  

 「病の子にも矜持あり」が観念的です。具体的な物や動作などで表現できると良いで
すね。


3  一瞥をくれて見過ごす秋刀魚かな  

 今年は秋刀魚が不漁で高値らしいですね。そういえば私も今年はまだ食べていません。
ただ、こうした時事に取材した句は、「高い→買わない」という理屈の域を出ませんし、
一般的に、時間が経っても通用する普遍性がありません。


4  家人絶へ鈴生るままや次郎柿  

 住む人がいなくなったから→柿が鈴生り という、因果関係が明確な理屈・説明です
ね。説明的な句は、読者に「ああ、そうですか」という以上の感慨を与えることができ
ません。


5  桐一葉風車の廻る遠景色  

 「遠景色」が、現実を離れた作者の記憶・イマジネーションの世界を思わせます。桐
の葉が散る瞬間を見た作者に、忘れていた記憶が甦ったのでしょうか?


6  螺旋状に時は過ぎゆく桐の秋  

 ちょっとSF的な印象を受けました。時間が螺旋であるという説と桐の葉の落ちる軌跡
を重ねた句と思いますが、主観が勝ちすぎているように感じました。


7  役目終えいさぎよきかな一葉落つ  

 「一葉落つ」という季語を良く理解されていると思いますが、季語の説明的な句にな
ってしまいました。


8  秋深し心に沁みるサックスの音  

 一読、キャノンボール・アダレイの「枯葉」が耳に甦りました。「心に沁みる」は
「秋深し」の季語が語ってくれます。


9  厚く切るロールケーキや豊の秋  

 美味しそうですね。季語の斡旋がお上手で、満ち足りた気分が伝わります。「厚く切
る」→「豊か」という、やや付き過ぎのところを工夫されると、更に一段上の句になる
と思います。例:葡萄色(えびいろ)のロールケーキや豊の秋

 伊藤範子氏評================================

食欲の秋ならでは 美味しいものは沢山食べたいですね。

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 奥山ひろ子氏評===============================

 ロールケーキは秋でなくてもあるのですが、「豊の秋」と響き合う感じがしました。
「厚く切る」と素直な写生が、おいしそうなロールケーキを感じさせます。類句もなく
楽しい御句だと思います。

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10  月影や石のマリアの艶めけり  

 幽玄な感じがします。上五と下五に強い切れがあるのが気になりました。下五は切ら
ずに流すのも良いと思います。


11  歌ひつつ団栗拾ふ幼かな  

 微笑ましいですね。「歌ひつつ団栗拾ふ」で幼い子が見えますので、下五は場所の様
子などを写生されても良いのではないでしょうか? 「歌ひつつ拾ふどんぐりXXXXX」

12  足元の水音かそけき野路の秋  

 小さな水の音にも季節を感じる作者の感性。一句一章で詠まれていますが、中七を
「かそけし」と切ると、秋を感じた感慨がより深くなると思います。


13  椋鳥渡り過疎地の村の恙なく  

 「過疎地の村」・「恙ない」は、写真に写るような具体的なモノのある景ではなく、
多分に説明的です。目に見えるもの、肌に感じるもので、これらのことがわかるように
詠めると良いですね。


14  眼ぢからや追ひ払ひたる穴まどひ  

 眼力で蛇を追い払ったという、報告・説明に感じました。上五の「や」の切れが活き
ていません。


15 地球瓶の堅き煎餅秋没日 

 ノスタルジックな景ですね。駄菓子屋や道端でいつまでも遊んでいたいのに、すぐに
日が暮れてしまうもどかしい気持ちが思い出されます。

 奥山ひろ子氏評===============================

 ガラスの円形の瓶に入った駄菓子屋の煎餅でしょうか。昭和の風景を思い出します。
「堅き」の具体的な表現が効いています。

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16 台風禍繋がれ腫れし牛の乳 

 台風の影響で生乳の出荷が出来ず、搾乳されていないという意味でしょうか? そう
だとすると、時事問題の報告の域を出ないように思いました。


17 誰そ彼や秋の風鈴鳴り急ぐ 

 秋風に風鈴が盛んに鳴っているさまを「鳴り急ぐ」と表現したのは的確だと思いまし
た。「誰そ彼」は、言葉の語源的には正しいのだと思いますが、通常の「黄昏」という
表記で良いと思います。

 伊藤範子氏評================================

 「黄昏」 は 「誰そ彼」が語源とのこと。江戸時代になるまで「たそかれ」は「た
そかれどき」の略で「そこにいるのは誰ですか(誰そ彼)」と尋ねたことからだそうで
す。 夕風に秋の風鈴がいっそう速く鳴っている、釣瓶落としの風景も浮かびました。

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18 そぼ降るや白馬五竜の花野道 

 独特の地名なので、どんな花野なのか行ってみたくなりました。

 奥山ひろ子氏評===============================

 高山植物の宝庫白馬の少し寂しい情景ですね。夏の登山シーズンとは違った静かな山
の様子がうかがえました。

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19 納豆のひかる粘糸や今朝の秋 

 私は毎朝必ず御飯を食べるのですが、なぜか夏の暑い季節は納豆に手が伸びません。
この句は個人的に、共感できるものがあります。


20 水澄むや小四の孫覗き込む 

 上五を「や」で強く切っていますが、意味的には切れておらず、中七下五につながる
ため、切れが活きていません。また、「小四の孫」は第三者から見ると、単に「子」と
なります。「子・孫俳句に名句無し」と言われるのは、自分にとっては特別な可愛い孫
でも、読者にとっては単に一人の子であるということを忘れ、自分の思い入れで句を作
ってしまうためです。


21 大夕焼上り列車が参ります 

 駅のアナウンスを、そのまま口語で取り入れた点がユニークで、これもひとつの写生
と言えると思います。このアナウンスが流れたホームで、作者は夕焼けを見ていたので
すね。夕焼けの見えるホーム、地下鉄や都会の大型駅ではなく、郊外の小さな駅でしょ
う。上り列車ということは、用事あるいは旅を終えた家路なのでしょうか? そんなこ
とをいろいろと想像させてくれる句です。


22 愚直とはたとへば夜の捨案山子 

 五七五に慣れると、このような警句や小主観・人生訓などを詠んでみたくなりますが、
作者の自己満足の域を出ないことが多いです。


23 約束は反故になりたり十三夜 

 一葉の小説に取材されている句でしょうか? 句だけで解釈するには、理解が難しい
ように思いました。


24 菊人形一分のたましひたたづまひ 

 虫にも五分の魂があるということで、生き物ではない菊人形にも一分の魂があるとい
う意味でしょうか? 主観が勝ちすぎて、独りよがり的に感じました。


25 吾亦紅飾る描くを一抱へ 

 言葉が窮屈です。散文を無理やり五七五に押し込んだ感じがしました。


26 いわし雲スカイツリーを真ん中に 

 魚眼レンズで見た空のイメージが浮かびました。空の広さが良く表現されています。

 奥山ひろ子氏評===============================

 秋天にスカイツリーがそびえたっている様子の御句ですね。単純で大胆な構図が、空
の気持ちよさを表していると思います。何より「スカイツリー」の固有名詞がとても効
いていると感心いたしました。

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27 月明や港出てゆく捕鯨船 

 月明かりの港を静かに出てゆく大きな捕鯨船の影が目に浮かびます。船が夜に出港す
ることもあるのだと、ちょっと意外に思いました。


28 幼には遠きあさって鰯雲 

 幼い子は常に、目の前の現実に生きており、明後日などは遠い未来なのでしょうね。
観念的な句ですが、季語の斡旋が良いと思いました。


29 秋祭ゆるりと踊る母の影 

 秋祭で踊る踊りとは? 母の影はどこに映っているのか? 等、具体的な光景を想像し
ようとしましたが、浮かんできませんでした。


30 乱れ萩三十路の女人情深し 

 何やら婀娜っぽい句ですね。三段切れなのと、「三十路の女人情深し」が観念的で具
体的な情景が浮かばないのが残念に思いました。


31 秋麗くるくる回る一夜干し 

 干物が早く乾くように、モーター等で回転させているのですね。TVで見たことがあ
ります。上五は「秋うらら」と表記したほうが、全体の雰囲気に似合うと思いました。


32 秋灯を低く屋台の飴細工 

 情景が良くわかります。ただ・・・「秋灯」よりむしろ「春灯」の方が、飴細工の雰
囲気に似合うように思ってしまいました。

 伊藤範子氏評================================

 祭の出店でしょうか。夜も明かりを点して細工を続ける職人さん。「低く」により、
繊細な飴細工の丁寧な作業が目に浮かぶようです。    

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33 夕化粧被さる無縁仏かな 

 傍らに白粉花が植えられているものの、それが伸びて被さるままにされ、手入れして
くれる人の無い無縁仏が哀れです。


34 秋の蚊のサリサリサリとすり抜ける 

 句の中にオノマトペ(擬音語)を使った場合、それがその句の良し悪しを決めると言っ
ても過言ではありません。この句の「サリサリサリ」は、残念ながら今一つピンと来ま
せんでした。


35 蔵の戸の開きて闇在る柿の秋 

 青空に映える柿の色と、蔵の闇の対比が鮮やかです。秋の澄んだ空気と、蔵の中の澱
んだ空気の対比も感じます。


36 うごかざる炎の奥の闇秋祭 

 収穫に感謝する秋祭。篝火の奥にある暗闇には、古代からずっと何かが息づき、我ら
を見守っている・・・そんなことを思わせる句です。


37 窓明りパイプオルガン身に入みる 

 この窓明かりは、ステンドグラスでしょうか。パイプオルガンの調べは重厚で感動的
ですが、それを直接「身にしみる」と言ってしまうと、ストレートすぎて深みが無くな
るように思います。


38 蝋燭の一灯献ず寒露の日 

 蝋燭一灯と寒露の取り合わせが良いですね。「寒露」だけでその日であることはわか
りますので、下五は「寒露かな」と切ると更に良くなると思います。


39 うごかない猫の鼻先に蟷螂 

 一見、自由律句のようなイメージですが、季語もあり、破調ながら定型の句です。意
表を突く面白さはありますが、リズム・切れを活かした句を超えるのはなかなか難しい
ですね。


40 縁側のひとりふて寝か栗南瓜 

 南瓜を擬人化されていてユーモラスですが、擬人化した時点で作者の主観がそこに入っ
て、句の鑑賞の幅を固定してしまいます。例えば、「縁側に日は豊かなり栗南瓜」とす
れば、南瓜がふて寝をしているのが、気持ちの良い夢を見ているのかは、読者が想像し
てくれます。縁側で煮た南瓜を食べている人を想像する人がいたとしても、それはそれ
で良いと思います。


41 鍬入るる畑はいくさ場秋の風 

 「畑はいくさ」まで言っては、言い過ぎに思います。いくさと思えるほどに荒れた畑
の様子を、写生しましょう。


42 無患子や夜雨に濡るる百度石 

 句形・内容ともに完ぺきに近い句と思いました。静かに濡れ光る百度石との取り合わ
せとして、無患子以上のものは無いと思います。

 伊藤範子氏評================================

 無患子は追羽根の玉に用いますが、釈迦は数珠にしたともいわれ、子どもが病を患わ
ないという字をあてます。「百度石」と「無患子」が響き合っていると思いました。 

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 武藤光リ氏評================================

 季語 無患子の斡旋が上手い。無患子は石鹸の代用にもなる。

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43 括らずにおれば自在や風の萩 

 作者が思ったことをそのまま詠まれたのだと思いますが、「括らなければ自由に揺れ
る」という、当たり前の域を出ていません。


44 いわし雲日本海の空埋めて 

 「雲」に対し、「空埋めて」というのは、言葉がもったいないです。


45 身に入むや老犬を抱き木のベンチ 

 老犬を抱いている人も、若くはないのでしょう。それを見ている作者の気持ちを、季
語が語っています。


46 竹筒に百円二枚柿求む 

 無人販売所ですね。竹筒というひと言で、周りの様子も見えて来ます。「百円二枚」
という具体性が必要だったかどうかは、ちょっと疑問に思いました。


47 淡々と税負担増す台風来 

 時事の話題をそのまま言っただけで、深み・余韻がありません。季語の取り合わせも
安直に感じました。


48 台風も自主防衛の格差かな 

 これは俳句なのかな?というのが、一読しての正直な感想です。時事問題を、俳句の
本意である季節への挨拶に昇華するのは難しいですね。


49 スマートフォン翳す支払ひ秋澄めり 

 季語が動くように思いました。


50 騎馬戦の敗軍の将曼珠沙華 

 曼珠沙華は何かのメタファーでしょうか? よく意味がつかめませんでした。


51 オレンジ色のハロウィンケーキカフェテラス 

 下五の「カフェテラス」が、場所を説明しているだけなのが残念です。ケーキがカフェ
で供されるのは当たり前ですので、別の物との取り合わせを工夫して戴きたいところで
す。上五は「オレンジの」としても、果物と勘違いされることは無いと思います。


52 秋祭り若宗匠の献茶式 

 今年のお茶を献じる行事なのでしょうね。行事の名称だけで、具体的な様子が描かれ
ていないのが残念です。


53 七節や地球が揺れてをるやうな 

 枝が揺れているのでしょうが、ナナフシにとってみると地球が揺れているように思え
るのでしょう。視点が面白いですね。


54 新米を担ぎくぐるや大鳥居 

 奉納の新米でしょうか。「担ぎくぐるや」に逞しさと豊穣の喜びが詠まれています。


55 直立の守衛の影の夜寒かな 

 「直立」が守衛の孤独な様子を表しています。また、影に着目したところに、ひとき
わの寒さが感じられます。


56 その裏はまみゆるなしに後の月 

 月の裏側は見えないという当たり前のことを詠んだだけでは、感慨に結び付きません。


57 棚田吹く風に色あり彼岸花 

 秋風のことを「色なき風」とも言います。この句は敢えてそれをもじったのでしょう
か? 彼岸花の紅にかけて「色あり」とされたのであれば、やや安直に思いました。


58 柿紅葉かさこそ内緒話かな 

 木の葉の触れ合う音としての「かさこそ」という表現、内緒話という比喩、幼い感じ
で可愛らしいのですが、ありきたりに感じました。


59 囀りや小さく揺るるピアスかな 

 囀りと小さなピアスの取り合わせは良いですね。ただ、一句の中で「や」と「かな」
の二つの切字を使うと、句の焦点が散漫になってしまいます。よほど意識してやるので
ない限り、「や」と「かな」をうっかり同時に使わないように気をつけましょう。


60 囀りに誘われ朝の墓参り 

 囀り(春)と墓参(秋)の季重なりです。この句の場合、どちらの季語にも同じよう
な比重があるので、焦点の定まらない句となってしまいました。


61 暮れはじむ南吉生家とんぼ増え 

 生きものの童話を多数残した新見南吉の生家と、とんぼの取り合わせが良いですね。
「暮れはじむ」は文語ですので、「増え」は「増ゆ」「殖ゆ」とした方が良いと思いま
す。

62 古書街に店また消えしちちろ鳴く 

 閉店した古書店と、蟋蟀の取り合わせが、より侘しさを感じさせます。「古書街」は
「古書店街」の意味だと思いますが、やや無理があることと、「消えし」だと、店はも
うすでに無いということになり、作者が実際に見ている光景が浮かばない点を考慮して
推敲されると良いと思いました。


63 休憩のバドミントンや秋うらら 

 工場の休憩時間の一こまを想像しました。季語から、若い女工の明るい声が聞こえて
きます。


64 団欒の声外にまで秋ともし 

 どこか懐かしい景ですね。作者の胸にも小さな灯がともったのではないでしょうか。
「声外にまで」がちょっと説明的に感じました。推敲の一例として「団欒の声洩るる窓
秋ともし」。


65 手をつなぎ孫とバス待つ鰯雲 

 「孫」を出してしまうと、どうしても作者の孫可愛さの主観が前面に見えてしまいま
す。例えば、「手を繋ぎ待つ園児バス鰯雲」のように、一歩引いて客観的な景が見えて
来るようにしましょう。


66 重陽や四国巡礼全うす 

 お目出度いことが重なりましたね。句材が作者の個人的・内面的なことですので、一
般の読者にとっては、一方的な報告のように感じられてしまう面もあると思います。


67 門前の瓦斯灯揺らぎ虫の声 

 秋の雰囲気が感じられる句ですね。もっと切れを意識されると、更に締まった句にな
ると思います。例えば「門前に揺らぐ瓦斯灯虫の声」


68 まるまると太る綿飴台風過 

 綿飴が「まるまると太る」という表現を新鮮に感じました。個人的には、「綿菓子」
という表記の方が、よりふわふわ感が出るように思いますが…。

 奥山ひろ子氏評===============================

 台風あとの秋祭りでの御句かと思います。「まるまると」の表現が台風が過ぎ去った
後の安堵感をよく表していると思いました。

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69 竜胆のむらさき尖る鱗かな 

 読者は、竜胆と言えば「むらさき尖る鱗」は容易に連想できますので、言う必要はあ
りません。このような句は「季語の説明」と呼ばれます。一句一章で作句すると、往々
にしてこの「季語の説明」をしてしまいがちですので、注意しましょう。

70 コスモスの風に洗われ色なせり 

 「色をなす」は、怒って顔色を変えるという意味の慣用句です。この場合はふさわし
くないと思います。


71 過疎の村染めて華やぐ秋夕焼 

 「染めて華やぐ」は「夕焼け」のイメージに含まれます。


72 鰯雲ねと見上げゐし母遠き 

 どこにも切れが無く、宙ぶらりんな感じがします。下五は「母遠し」とはっきり切り
ましょう。


73 何もなき一日の幸やぬくめ酒 

 小市民的幸せですね。「幸や」まで言わずに、季語に語ってもらうようにすると、句
により深みが出ると思います。例えば「何もなき一日過ぎたり温め酒」


74 灯火親しカレーの匂ふ学生街 

 東京の神保町を連想しました。上五下五が字余りなのが気になりました。


75 台風にすっぽり嵌る夜の闇 

 「台風にすっぽり嵌る」とは面白い表現ですね。下五は「闇夜かな」とした方が、
「夜の闇」よりも時間・空間的に境目がはっきりした感じがして、「すっぽり嵌る」と
いう措辞によりマッチすると思います。


76 解決の糸口見えて月白し 

 「解決の糸口」が、読者には何のことがわかりません。


77 声透る心病む子の鈴虫の 

 鈴虫と心病む子との取り合わせは、響きあうものがあるように感じました。ただ、
「声透る」は、鈴虫のイメージに含まれます。


78 羽休め南に往きし秋の蝶 

 秋になると南方に渡りをする蝶の種類があるのでしょうか? そうだとすると、季語
を説明したような句と感じました。


79 旅にゆく小江戸川越ふかし芋 

 語呂が良い句ですね。でも、どちらかというと、俳句というより旅行会社のキャッチ
フレーズのように思えてしまいました。


80 ばつた死す道に貼りつくやうに死す 

 車に轢かれてしまったのでしょうか? 残念ながら、俳句の句材としては、情趣に乏
しいと思いました。


81 頬なでる逢魔が時の枯尾花 

 ドキッとしたのでしょうね。ただ、句としては、それだけの報告に終わっている気が
しました。


82 屋根を覆う青台風の爪痕 

 「青台風」とは?と思いましたが、台風で被害を受けた屋根に被せたブルーシートの
ことを詠まれているのですね。 17音に収まってはいますが、切れが無く、調べは完
全に散文です。


83 怒号渦巻く秋天の香港に 

 時事の話題に、無理やり季語を押し込んだような印象を受けました。


84 火恋し翅もつ虫の地を這える 

 上五の季語と、中七下五の措辞が絶妙に響いています。適切に評する言葉が見つかり
ませんが、上手い句だと思いました。


85 朝寒や白寿の母の手塩皿 

 凛とした朝の空気と、齢を重ねられて綺麗に枯れた婦人・その方が長年愛した手塩皿
に、清々しさが満ちています。いまだに背筋を伸ばして食卓に向かわれている様が想像
されます。


86 菊日和はらから集ひ母百寿 

 御目出度さに満ちた句ですね。慶弔の挨拶句として、ご家庭に残して戴きたいと思い
ました。


87 「わつしよい」と獅子頭ゆく秋祭 

 獅子頭を神輿のように担ぐ祭りもあるようですね。「わっしょい」は、祭りの掛け声
として、珍しくないように思いました。


88 帆を畳むマストに群るる赤とんぼ 

 接岸して繋がれている帆船だと思います。「帆を畳む」だと、今まさに畳む作業をし
ているようで、蜻蛉が近づきそうになく思えますので、「帆を下げし」等では如何でしょ
うか。


 奥山ひろ子氏評===============================

 なぜ蜻蛉がマストに群れるのかわからないのですが、そんなこともあるのかと新鮮な
感覚でした。海の赤蜻蛉は珍しい印象ですが、爽やかですね。

 ======================================


89 停電に灯すランタン柿喰へり 

 ランタンが柿を食べたように読めてしまいました。


90 宿下駄で巡る朝市秋澄めり 

 朝市の爽やかな空気が感じられます。旅情を感じるひとときですね。

 奥山ひろ子氏評===============================

 温泉街の朝市を連想いたしました。「宿下駄で巡る」という措辞にリラックスしたの
びやかさがあり、「秋澄めり」の季語と相まって気持ちの良い句だと思いました。

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91 幼子につられて欠伸秋うらら 

 お孫さんを外で遊ばせているのでしょうか? 孫と言わなくても、その子を見る作者
の視線の優しさが伝わります。


92 神のゐる小沼は風と鱗雲 

 「神のゐる小沼は風」で、なにやらただならぬ予感がしましたが、「鱗雲」でちょっ
と拍子抜けした感じです。


93 砂防垣破れし浜に秋の海 

 浜と言えば海の景であることはわかりますので、別の季語を考えてみては如何でしょ
うか?


94 秋夕焼空行く馬車やシャガール展 

 展覧会で見た作品名をそのまま句にしたのでは、報告的になってしまいます。三段切
れ、上五と下五の字余りも気になりました。


95 秋郊の昔雑貨屋今スーパー 

 「昔雑貨屋今スーパー」は、説明であり、報告です。また、「秋郊」は、秋の郊外の
野辺を指す季語であり、この句の場合、ちょっと使い方が違うように思いました。


96 枕ごと奪ひて去りぬ大台風 

 句としてはやや報告的ですが、それを上回るリアリティを感じました。作者が当事者、
または当事者の立場に立って詠んだ臨場感があります。


97 鍬担ぐ歩幅に絡む秋思かな 

 「歩幅に絡む秋思」が、物思いに耽りながら歩いている様を良く表していると思いま
す。誰にもそれぞれ、思うことはありますね。秋はことさらです。


98 目つむれば虫干の母かいがいし 

 「かいがいし」は作者の主観そのままです。「かいがいし」と言わずに、読者にそれ
が伝わるように詠みましょう。


99 風孕み動くアートや涼新た 

 風力で動く立体アート作品でしょうか? 季語と響きあうものがもう一つ欲しいと思
いました。


100 風船葛湖畔の風に揺るるまま 

 風に揺れるというのは、風船葛のイメージに含まれます。


101 隣家のいつまで掛くる秋簾    

 作者は、よその家のことが気になる質なのでしょうか? 「いつまで掛けてるんだろ
う?」と思う気持ちが伝わるように、燐家の簾の様子を写生しましょう。


102 ビルの間の更地の風やちちろ鳴く 

 都会・街の中でも、意外なところに空き地があり、虫が鳴いたりしているものですね。
そんなところの風は、ちょっと違うように感じられるのでしょう。


103 富士覆う滝めく雲や冬の雁 

 見えない富士を敢えて詠まれています。雲が無ければ富士が見えるはずの暗い空を、
冬の雁が二三羽渡っている景は、より寒々と感じられます。


104 鳴くほどに闇整ひて虫しぐれ 

 夜が深まるにつれ、虫の声が次第に盛んになってきます。「闇整ひて」という措辞か
ら、夜が深まる様子とともに、作者のじっと虫の声を聴いている姿勢が伺えます。

 伊藤範子氏評================================

 薄い闇から次第に闇が濃くなる、しばらくの間、虫の声を聴いていたのでしょう。鳴
けば鳴くほどに夜が深まる様子、「闇整ひて」とは、良い言葉を斡旋されたと思います。 

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105 筆の穂を噛んで下ろせり秋灯下 

 秋の灯の下で、心静かに書に向かう様子が伺えます。たまたま私が覚えていた類想句
を挙げてみますが、類句の指摘という意味ではなく、同じ句材で詠んだ句のバリエーショ
ンの例としてご参考になさってください。

筆の穂を噛んでおろせり涼新た, 能村研三
歯を借りて筆噛みおろす残暑かな 鷹羽狩行

 奥山ひろ子氏評===============================

 日常的に筆を使う作者なのでしょうか。そんな使い慣れた感じを「筆の穂を噛んで下
ろせり」から拝察しました。具体的な情景がわかりやすく、季語が場の雰囲気を深めて
います

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106 日照雨して渓のもみぢの耀へる 

 鮮やかな情景が良く見えます。日照雨→耀くの因果関係が直接詠まれていますが、
「耀へる」と言わずにそれが伝わるようにできると、更に奥行きのある句になると思い
ます。


107 雲海へ一歩踏み込む神の旅 

 「雲海へ一歩踏み込む」のは、神か作者か? 句意がよく汲み取れませんでした。


108 村芝居髷の似合ひし夫かな 

 秋祭の一こまでしょうか?楽しそうですね。「髷の似合ひし夫かな」は作者の主観そ
のものですので、夫の様子を客観的に写生されると、読者にも具体的な景が伝わると思
います。


109 床を蹴るちびつ子剣士秋澄めり 

 「ちびつ子XX」という表現が気になりました。小さな子を好意的に呼ぶ言葉として
定着していますが、何にでも安易に使われすぎていて、手垢がついた感じがします。詩
語として使うには、慎重さが欲しいと思います。


110 薄紅葉京の干菓子を家苞に 

 薄紅葉と御干菓子の取り合わせが良いですね。ちょっと言葉を詰め込みすぎの感があ
りますので、「家苞に」までは言わなくても良いと思います。例:「ほの甘き京の干菓
子や薄紅葉」


111 蹲踞に映る青空小鳥来る 

 木々に囲まれた静かな茶室が思われます。人が使わないときには、バードバスとして
小鳥たちの憩いの場になっているのでしょうね。

 伊藤範子氏評================================

 蹲踞の水に映った青空の清々しさと 季語の「小鳥来る」が 蹲踞の水を飲みに来た
ようで良いと思いました。 

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 奥山ひろ子氏評===============================

 基本のできた御句だと思います。「蹲踞に映る青空」で静の写生をし、そこへ動であ
る小鳥を登場させるという巧みな表現です。秋の爽やかさを感じました。

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112 思うほど飛ばぬかわらけ秋麗 

 「思うほど飛ばぬかわらけ」は、写生と言うより作者の主観ですが、季語の力もあっ
て、登山(ハイキング)仲間たちとかわらけ投げに興じている楽しそうな様子が見えて
きます。

 伊藤範子氏評================================

 遠くへ飛ばすには幾つも投げてみないと案外難しいものです。飛ばなくても笑顔の光
景が浮かびました。  

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113 キビキビと動く園児の運動会 

 園児たちの様子に感心する作者の気持ちが伝わりますが、報告の域を出ない句のよう
に感じました。「キビキビと動く」という言葉も、使い古された慣用句ですので、表現
の工夫が欲しいと思いました。


114 木犀や白杖のつと立ち止まる 

 木犀は匂いがするので、目の不自由な人でもそれに気づいて立ち止まる・・・という
ことですね。情景が良くわかります。ただ、意味・理屈がちょっと勝ちすぎているよう
にも感じました。


115 翻る紅蓮の裳裾竜田姫 

 難しい季語に挑戦されましたが、季語の説明から脱せていないように感じました。


116 田仕舞の煙に霞む近江富士 

 滋賀県の方から富士山が見えるのかな?と思いましたが、調べたところ三上山のこと
なのですね。山は地域の生活に根差していますので、地元の方にとっては、思い入れの
ある晩秋の光景なのでしょうね。

 伊藤範子氏評================================

 近江米の産地、近江富士の地名が効いていると思います。

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117 晩秋の落ち日に傾ぐ息吹山

 「息吹山」を調べたのですが、見つかりませんでした。「伊吹山」のことでしょうか?


118 甘露飴かろりと今日の天高し 

 「かろり」という言葉に工夫があるのだと思いますが、味なのか重量なのか口の中を
転がる音なのか、イメージが浮かびませんでした。


119 鍋底にこびりつきたる秋思かな 

 秋思はそんなところにもあるのですね。何気ない日常の中に、季節の気配を感じる感
性を見習いたいと思いました。また、個人的にふと「土曜日の玉ねぎ」という歌を思い
出しました。


120 天守閣登る階段冷やかに 

 階段が冷たく感じるという事実以上の、そこに秋という季節を感じる何かが欲しいと
思いました。


121 蔵町の川を新酒の香りかな 

 蔵町と新酒の句材は良いと思いますが、「川を新酒の香り」ですと、川に酒が漏れ流
れているような感じを受けました。


122 新調の畳のとどく秋の晴 

 気持ちの良い句ですね。台風禍の詠で無いことを願います。

 伊藤範子氏評================================

 長年使い込んだ畳を新しいものに、畳を替えると気分もウキウキします。お天気も良
く嬉しい一日、近く何かお祝い事がある予感がしました。

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 奥山ひろ子氏評===============================

 最近は和室がある住宅が減ってきましたが、新しい畳の匂いは気持ちがいいです。そ
んな香りが漂ってきそうな御句ですね。

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123 黒鍵のひとつ戻らぬ暮の秋 

 しばらく弾いていなかったピアノでしょうか? やるせないような気持ちが伝わって
きます。

 伊藤範子氏評================================

 古いピアノで しばらく弾いていなかったのか弾きすぎたのでしょうか。季語が気持
ちを代弁しているかのようで効いています。

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124 秋深しビルの谷間にフリージャズ 

 ビルの谷間ということは、野外のジャズコンサートでしょうか? フリージャズとい
う措辞が、ちょっと大づかみすぎる気がしますので、具体的な曲や楽器、音色などに着
目されてみては如何でしょうか。


125 林道の閉鎖告げるや鳥渡る 

 「林道の閉鎖告げる」の主語が不明なので、唐突な感じがします。


126 御粧しの母と観劇秋日和 

 お母さんもこの日を楽しみにされ、張り切ってめかしこまれたのでしょうね。ちょっ
と報告的な感じもしますので、「御粧し」という漠然とした捉え方でなしに、口紅、頬
紅、香水、スカーフ等々、できるだけ具体的に詠むとさらに良くなると思います。


127 燈火親し歳時記調べ日をまたぐ 

 やや報告的な感じを受けました。季語から、熱心な様子は伝わってきますので、使い
込んだ歳時記の様子などを詠んでみては如何でしょうか。


128 君振る手急行に行く夜半の秋 

 夜の電車に乗る人のことを詠まれたのだと思いますが、「手が急行に行く」という意
味が良く分かりませんでした。


129 面白く無きこと笑ふ夜業人 

 なぜ面白くないことを笑うのでしょうか? 意味・情景がわかるように詠んで戴きた
いと思いました。


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