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【
第320回目
(2026年8月)
HP俳句会 選句結果】
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| 【
奥山ひろ子
選 】 |
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| 特選:
作業着の汗の重さを脱ぎ捨てる
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みのる(大阪)
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打水や下駄の鼻緒の色深し
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山びこ(名古屋市)
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相撲部屋去りし土俵に蝉時雨
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政秀(愛知県)
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白髪の深き黙祷原爆忌
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みのる(大阪)
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寛解の友の毒舌ビアガーデン
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鷲津誠次(岐阜県)
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トンネルを出でて真白き夏の道
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直樹(埼玉県)
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目で合はす祭囃子の音はじめ
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後藤允孝(三重県)
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式典に弾除けの玻璃原爆忌
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近江菫花(滋賀県)
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蜩や湖畔の宿の露天風呂
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ようこ(神奈川県)
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列なして衣擦れ涼し修道女
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土璃(神奈川県)
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| 【
酒井とし子
選 】 |
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| 特選:
白髪の深き黙祷原爆忌
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みのる(大阪)
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まだ似合ふ若き日のこの夏帽子
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伊藤順女(船橋市)
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三叉路を渡れば母校夏季講座
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田村幸之助(和歌山県)
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一湾へ胸を開けば遠花火
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山びこ(名古屋市)
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寛解の友の毒舌ビアガーデン
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鷲津誠次(岐阜県)
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裏路地や遊郭跡の夕化粧
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吉沢美佐枝(千葉県)
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列なして衣擦れ涼し修道女
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土璃(神奈川県)
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涼しさや富士山頂より来るメール
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よりこ(名古屋市)
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このバスに乗れば故郷柿熟るる
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よりこ(名古屋市)
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滝しぶき浴び仄暗き札所径
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蝶子(福岡県)
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| 【
武藤光リ
選 】 |
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| 特選:
瀧一字流るる軸や夏座敷
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土璃(神奈川県)
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黒猫の金の眼や木下闇
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伊藤順女(船橋市)
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打水や下駄の鼻緒の色深し
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山びこ(名古屋市)
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作業着の汗の重さを脱ぎ捨てる
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みのる(大阪)
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寛解の友の毒舌ビアガーデン
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鷲津誠次(岐阜県)
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室外機うなる小路や蟻の塔
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吉沢美佐枝(千葉県)
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目で合はす祭囃子の音はじめ
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後藤允孝(三重県)
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改札の鳴る電子音駅残暑
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筆致俳句(岐阜市)
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蜩や湖畔の宿の露天風呂
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ようこ(神奈川県)
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一病はあれどかくしゃく生身魂
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惠啓(三鷹市)
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| 【
渡辺慢房
選 】 |
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| 特選:
作業着の汗の重さを脱ぎ捨てる
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みのる(大阪)
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浅葱色母の匂いの一重帯
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佐藤けい(神奈川県)
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黒猫の金の眼や木下闇
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伊藤順女(船橋市)
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明け易し南国行きの機内食
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ゆきえ(和歌山市)
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寛解の友の毒舌ビアガーデン
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鷲津誠次(岐阜県)
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列なして衣擦れ涼し修道女
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土璃(神奈川県)
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涼しさや富士山頂より来るメール
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よりこ(名古屋市)
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このバスに乗れば故郷柿熟るる
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よりこ(名古屋市)
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走り抜け渡すバトンや夏の雲
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石塚彩楓(埼玉県)
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夏空へ全てのシーツ預けけり
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戸口のふっこ(静岡県)
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※(各選者の特選は2点・並選を1点として計算し、最高点の方を最多入選賞といたします。
同点が3名以上の場合は該当者無しとさせて頂きます)
今月の最高得点者は、みのるさん(大阪)、次点は鷲津誠次さん(岐阜県)でした。
「伊吹嶺」8月号をお贈りいたします。おめでとうございます!
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【講評】
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2026年8月伊吹嶺HP句会講評 渡辺慢房
前回(六月)は「主観を直接述べない」ことについて触れました。今回は、「理屈を
詠まない」ということについて書きたいと思います。
理屈とは因果関係、つまり原因と結果のことです。「○○だから××」という形にな
る句は理屈の句と言えます。こうした句は、「詩」よりも「報告」や「説明」になって
しまい、読者が想像を広げる余白がありません。
例を述べましょう。「音たてて犬が水呑む大暑かな」は、大暑で暑い。「だから」犬
が水を飲む。という因果関係・理屈が感じられます。
もう一つ、「悴むやコンビニで買ふカプチーノ」は、寒くて手が悴んだ。「だから」
コンビニで温かいカプチーノを買った。という報告になります。
作句の際は、句が理屈を述べていないか? 報告や説明になっていないか?をよく考
えてみてください。それでは、個々の句を鑑賞します。
1 浅葱色母の匂いの一重帯
お母様の遺愛の夏帯でしょうか? 愛用されていた香水の移り香を懐かしく愛おしく
感じているのでしょうね。浅葱色が涼し気です。
2 川沿いの小橋渡りて夏の海
「川沿いの小橋」がよくわかりませんでした。橋は川の上に架かっているのではない
のでしょうか?
3 黒猫の金の眼や木下闇
暑い日、黒猫は涼しい木陰に逃げ込んでいるのでしょう。金色に光る瞳が印象的です。
4 まだ似合ふ若き日のこの夏帽子
「この」が、字数合わせのために無理やり付けたような感じを受けました。
5 鯉はねて山は燃ゆるなり名刹の池
季語は「燃ゆ」でしょうか? 俳句では通常「炎ゆ」と書き、真夏の太陽によるすべて
のものが焼けるような熱気のことを言います。「山は燃ゆる」ですと、山火事になって
しまいます。中七、下五の字余りも解消して欲しいと思いました。
6 河またぐ通学列車篠の雨
季語が何なのかわかりませんでした。無季の句を否定はしませんが、季語に相当する
重みがある題材でないと、単なる五七五の文字列になってしまいます。「篠の雨」は
「篠突く雨」のことかと思いますが、こうした慣用句はそのまま使わないと意味が通じ
ません。
7 きゅうり漬け冷たい味や朝の飯
「きゅうり漬け」は、きゅうりの漬物の意味なのか、「きゅうりを漬けて」という意
味なのか、解釈に戸惑いました。「冷たい味」は工夫した表現かと思いましたが、ちょっ
と無理な感じを受けました。「瓜漬のよく冷えている朝餉かな」等とすると、整うと思
います。
8 藤寝椅子細き老体すくいおり
「すくいおり」が主観的に感じました。藤寝椅子に寝ている様子などを写生すること
により、救われていると感じていることが読者に伝わるようにしましょう。
9 よろづ屋の葭簀の陰にメロンパン
よろづ屋、葭簀と懐かしい景が来て、そこにメロンパンという大袈裟でない意外性が
ちょっと面白いと思いました。
10 三叉路を渡れば母校夏季講座
母校は、出身校という意味で、卒業生が使うのが普通だと思います。夏季講座は、夏
期講座と書かれることが多く、歳時記でも夏期講座となっています。
11 死ぬ死ぬと蝉が鳴くねと吾子の言ふ
セミの鳴き声は、地上での短い生を謳歌しているように思っていましたが、そういう
捉え方もあるのですね。
12 夏暁や雲ほのぼのと紅染むる
夏暁は、寒暁、春暁、秋暁等でも良いように思いました。その中でも、「ほのぼのと」
には春暁が一番似合うと思います。
13 打水や下駄の鼻緒の色深し
鼻緒に水がかかって色が深まったように見えたのでしょうか? そうだとすると、鼻
緒と言えば下駄か草履だということはわかりますので、「濡れし鼻緒の」等とすると景
がはっきりすると思います。
奥山ひろ子氏評===============================
打水をして鼻緒を濡らしてしまったのでしょう。鼻緒の色が濃くなり深まったのだと
拝察しました。情緒のある景を想像しました。
======================================
14 一湾へ胸を開けば遠花火
「一湾」の意味が分かりませんでした。更に、「一湾へ胸を開く」というのも分かり
ませんでした。「胸を開く」をネットで検索したら体を反らすようなストレッチのポー
ズが出ましたが、それではないと思います。
15 清めらる土俵踏み締む相撲取
「清めらる」は「清めらるる」または「清められし」だと思います。また、「踏み締
む」は終止形で切れますので、ここは「踏み締むる」と連体形にすべきだと思います。
土俵を清めるのも、力士が土俵を踏むのも当然のことですので、句材としては弱いよう
に感じました。
16 意固地なる補聴器嫌ひ生身魂
ありそうな景ですね。「意固地」はやや相手を見下しているようなニュアンスもあり
ます。「頑固」の方が一徹で高潔な人柄が感じられるのではないでしょうか?
17 炎天や鳶悠々と港町
季語が動くように思いました。ぎらぎらと太陽が照っている空は、あまり見上げたく
ありません。
18 相撲部屋去りし土俵に蝉時雨
興行に来ていた相撲部屋が引き上げたという意味かと思います。中七は「や」で切っ
た方が、断然句が引き締まります。
奥山ひろ子氏評===============================
相撲部屋の稽古場になっていた土俵。部屋が去った後には「蝉時雨」がにぎやかに鳴
いていて、物寂しさを埋め合わせているようです。「蝉」は旧字体でいただきました。
======================================
19 白髪の深き黙祷原爆忌
想いが感じられますが、原爆忌と黙祷は即き過ぎに思いました。
奥山ひろ子氏評===============================
「白髪」ということは高齢の方の黙祷だと思います。「深き黙祷」から、深く頭を下
げ真剣に黙祷なさる真摯な姿が浮かびました。
======================================
20 作業着の汗の重さを脱ぎ捨てる
仕事をして汗で濡れた作業着を脱ぐ一瞬を捉えた句。ぐっしょりと濡れた重さと、そ
れを脱いだ瞬間の解放感や爽快感、安堵感が湧き上がってきます。
奥山ひろ子氏評===============================
仕事が終わったのでしょう。「汗の重さ」を「脱ぎ捨て」たとの措辞に実感がこもっ
ています。それだけ汗を沢山かいていらしたということで、酷暑の厳しさを感じました。
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21 明け易し南国行きの機内食
ハワイ便などは朝到着が多く、到着前に軽食が出ますね。面白い季語の使い方だと思
いました。
22 夏休み叔父の車のクラクション
叔父さんが車で迎えに来てくれたのでしょうか? 状況がいまいちよくわかりません
でした。
23 ああ阿蘇の釈迦涅槃像や夏の天
阿蘇五岳は、釈迦の涅槃像のように見えるのですね。ネットで写真を見ましたが、確
かにそのように見えました。ただ、それを言うだけでは、説明的な句になってしまいま
す。
24 生ビール涙出る時笑う時
観念的な句に感じました。格言、人生訓、倫理観、警句などに寄ると、独りよがりの
句になりがちです。
25 噴水のバサッと落ちて正午かな
正午になると止まる噴水でしょうか? 急に噴水が止まって、真昼の太陽が一際強く
感じられたのだと思います。
26 この暑さひと日カラスの声もなく
あまりに暑い「だから」烏も活動しない。という理屈(因果関係)が感じられます。
27 寛解の友の毒舌ビアガーデン
また懐かしい毒舌が聞けた嬉しさですね。下五の字余りが惜しいです。ビヤホール、
生ビール、黒ビール等、五音に収めたいところです。
奥山ひろ子氏評===============================
ご友人が寛解されたとのこと、良かったですね。思わずうれしさから「毒舌」にもなったのでしょうか。「寛解」と「毒舌」の取り合わせに俳諧味があるように感じました。
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28 裏路地や遊郭跡の夕化粧
季語の夕化粧(白粉花)がダブルミーニング的に使われている点に、作者の技巧を感じ
ました。
29 室外機うなる小路や蟻の塔
エアコンの室外機ですね。炎天下、人間は室内にこもらざるを得ませんが、蟻は黙々
と活動しているのですね。
30 ゲルニカの消されし拳ひでり星
ピカソのゲルニカは、初期の習作版では兵士が突き上げた拳が描かれていましたが、
完成版ではそれが消されていました。その理由について、ピカソは何も語っていないそ
うです。この句は、そのもやもや感が、うまく季語に投影されていると思います。
31 億年の羽ばたき止むる琥珀の蚊
映画ジュラシックパークでは、琥珀に封じ込められた蚊の血液から恐竜のDNAを蘇ら
せたのでしたね。この句、上五・中七はほとんど意味がなく、「琥珀の蚊」だけと感じ
ました。
32 トンネルを出でて真白き夏の道
暗いところから夏の光の中に出たので、道が白々と見えたのですね。ちょっと理屈っ
ぽくも感じましたが、高速道路を走っているような疾走感を覚えました。
奥山ひろ子氏評===============================
真夏の炎天下、トンネルを抜けるとその眩しさから「真白」の世界に感じてしまうこ
とがあると思います。夏日のまぶしさを色で表していると思いました。
======================================
33 湯上がりや白磁の皿の夏料理
温泉宿でしょうか? 白磁の皿が涼し気です。
34 ひとつ家に寝息の増える帰省かな
誰かが帰省した。「だから」その人の分の寝息が増える。という理屈の句と感じられ
ました。
35 目で合はす祭囃子の音はじめ
様子が目に浮かびます。「音はじめ」は言わなくてもわかりますので、「目で合はす
祭囃子や」と中七で切って、下五を一工夫しては如何でしょうか?
奥山ひろ子氏評===============================
練習して臨んだ祭囃子。「目で合はす」が具体的で、懸命さが出ていると思いました。
======================================
36 夏野原カブスカウトの歌笑う
意味がつかめませんでした。夏野原がカブスカウトの歌を笑ったのか?夏野原でカブ
スカウトが歌った歌が笑ったのか? 作者が夏野原でカブスカウトの歌を聴いて笑った
のか?
37 式典に弾除けの玻璃原爆忌
広島平和記念式典で壇上に設置された防弾ガラスが、ネットなどでいろいろと言われ
ていますね。それを句材として取り上げたということは、作者はこれに批判的なのでしょ
うが、そうした意見を述べたければ俳句という形ではなく、然るべき場所・方法を選ば
れた方が良いと思います。俳句は、主義主張、意見、批判などを述べるのには向いてい
ません。
奥山ひろ子氏評===============================
平和を宣言する式典であるのに、「弾除け」が必要な不穏な現代を捉えていると感じ
ました。原爆忌の残念な実情を捉えた作品。
======================================
38 クーポンに膨らむ財布螽斯
財布を膨らませるのがお札でなく、クーポンというのが侘しいですね。
39 富士の山仰ぐ八月十五日
特別な日は、特別な山を仰ぎたくなるのでしょう。
40 校庭の陽欲しいままに向日葵立つ
「欲しいままに」は「恣に」ですね。
41 地蔵盆見知らぬ顔の子もゐたり
私は地蔵盆というものを経験したことがないのですが、子供の守り神である地蔵菩薩
に導かれて、亡くなった子供も遊びに来ているのかな?と思いました。
42 改札の鳴る電子音駅残暑
電子音と言えば「鳴る」は不要ですね。
43 野分あと反物のごと草うねる
台風の後「だから」草がうねっているいう理屈を感じました。「反物のごと」の比喩
も、巻いてある反物を連想してしまい、草がうねっている様子は浮かびませんでした。
44 蜩や湖畔の宿の露天風呂
静かな雰囲気を感じる良い句ですが、「湖畔の宿」は有名な曲のタイトルなので、つ
い、安易に言葉を選んだような感じを受けてしまいました。
奥山ひろ子氏評===============================
とてものんびりした気持ちのよい作品。湖を見ながらの露天風呂で蜩を聞くなんて、
よい夏休みですね。
======================================
45 台風裡考える人身じろがず
考える人は、有名なロダンの彫刻かと思います。そうすると、身じろがないのは当然
ですね。
46 小学生の歌声しみる原爆忌
子供の歌声と原爆忌の句材は良いと思いますが、上五の字余りと、「しみる」が主観
的なのが気になりました。「XXXXX子等の歌声原爆忌」のような感じで推敲されると、
良い句に仕上がると思います。
47 大花野駆けて来る子の手が翼
のびのびと花野で遊ぶ子の元気な姿。漫画Dr.スランプのアラレちゃんの「キーン」
のポーズが浮かびました。
48 庭履きの一歩の湿り今朝の秋
まさに「小さい秋」ですね。
49 土用波テトラポットをなほ白く
「テトラポット」は「テトラポッド(tetra pod)」ですね。「なほ白く」とあります
が、コンクリートは濡れると色が濃く見えるのではないでしょうか?
50 盆用意最年長となりにけり
生身魂ですね。
51 瀧一字流るる軸や夏座敷
「瀧直下三千丈」の掛け軸でしょうか? だとすると、夏の茶席の定番で、夏座敷と
はちょっと即き過ぎに思いました。
武藤光リ氏評================================
象形文字のように書かれているのだろう。いかにも涼しげで夏座敷に相応しい。
======================================
52 列なして衣擦れ涼し修道女
背筋を伸ばして無言で歩くシスター達の様子が浮かびました。音も確かに涼しげです
ね。
奥山ひろ子氏評===============================
列をなす修道女とは海外詠でしょうか。「衣擦れ」が「涼し」との措辞から、修道女
の清廉さを感じました。
======================================
53 中元の礼を兼ねるや残暑見舞
句の中に詩情が感じられず、単なる報告と感じてしまいました。
54 盆踊り地元議員の行脚の輪
世俗的なことを報告的に述べた句と感じました。
55 涼しさや富士山頂より来るメール
今は富士山頂でもインターネットが使えるそうですから、登頂記念にメールやLINEを
送る人も多いでしょうね。山頂の涼しさも伝わりそうです。
56 このバスに乗れば故郷柿熟るる
鉄道で故郷の最寄り駅まで行き、そこからはバスを乗り継いで行くのでしょう。柿が
故郷の懐かしさを感じさせます。
57 寝返りに金の産毛や明け易し
幼子と添い寝しているのでしょう。薄明の中で産毛が金色に見えたのですね。
58 飲み干して麦茶の硝子置くからり
「置くからり」の意味が分からず、何度か読み返しましたが、おそらくグラスの中に
残った氷の音ですね。硝子とグラスは語源が同じですが、グラス(コップ)のことを硝子
とは言わないと思います。「麦茶の切子」などとするのも良いのではないでしょうか?
59 茄子の馬友の御霊も乗りて来よ
一般的には、きゅうりの馬、茄子の牛と言われていますが、歳時記には茄子の馬、茄
子の牛どちらも載っていますね。それはさておき、御友人の御霊は御友人の家族の待つ
家に帰るものと思いますが、作者の自宅の方にお誘いするのも有りなのでしょうか?
60 節々の螺子やや弛む昼寝かな
関節が弛緩してぎくしゃくしたのでしょう。昼寝の後の気怠さが伝わります。
61 生き急ぐ如く夕べの蝉しぐれ(原句では蝉は旧字)
蝉は短命(地上では)「だから」生き急いで鳴くというのは、説明的で、ありがちな発
想だと感じました。
62 露天湯やほつほつと目に初時雨
情緒を感じる句ですが、秋が立ったと言ってもまだまだ暑い時期の句会に冬の句を出
すのは、あまり得策とは思えません。当句会は「当季の句に限る」というルールはあり
ませんが、やはり季節外れの句は読者の共感を得られにくいと思います。
63 老二人昼餉は今日も冷さうめん
状況はわかりますが、ありがちなことを五七五にしただけの句と感じました。この句
の中のどの部分に「詩」があるのかを考えて戴きたいと思います。余談ですが、私は索
麺を冷水とお茶漬けの素で戴くのが好きです。
64 海の日や夜の浜辺のバーべキュー
海の日と浜辺のバーベキューが即き過ぎに思いました。
65 朝顔や江戸紫に身を染めし
江戸紫は朝顔の典型的な色の一つで、「江戸紫」という名の品種もあるようです。当
句会の四月の講評で「季語の説明をしない」ということについて書きましたが、この句
は中七下五が、上五の季語の説明になっています。
66 お手玉に小豆とこはぜ母歌ふ
お手玉には小豆を入れるのが普通だと思っていましたが、こはぜ(鞐)を入れることも
あるようですね。ただ、それはお手玉の説明なので、言う必要があるのか疑問でした。
「母歌ふ」はお手玉歌だと思いますが、こちらもお手玉と言えば自然に浮かぶイメージ
です。また、季語は「小豆」かと思いますが、お手玉に入っている小豆には季感は感じ
られないと思います。
67 逝く夏や無言のままの無精髭
無精髭の人物と作者の関係や、無言のままの理由などが読み取れず、状況がわかりま
せんでした。穿った見方をすれば、どなたかのご臨終のシーンかとも思いますが、勝手
にそのように解釈するのも失礼なようで気が引けました。
68 少女らの出でゆく街の灼けてをり
少女らが街から出てゆくのか?街へ出てゆくのか?
69 夕焼を払ひて上ぐる暖簾かな
「夕焼を払う」の意味がわかりませんでした。どのような仕草をするのでしょうか?
また、「上ぐる」も悩みました。暖簾の布を手で上げてその下を潜って店に入ったとい
うことでしょうか?
70 とんとんと葦をつつくや赤蜻蛉
「つつく」とは何かの先端で繰り返し他の物を突くということですが、蜻蛉は嘴など
のとがったものは無いので、葦にとまろうとしているところでしょうか? 「とんとん」
は擬音でしょうが、葦をどのように突いてもそういう音はしませんので、不自然に感じ
ました。
71 裏庭を虫に返して夏終る
表現を工夫されていると思いましたが、夏が終わった「だから」裏庭で虫が鳴きだし
たという理屈を感じました。虫は秋の季語ですので、季語として虫を使えば、夏が終わっ
たことは自明です。
72 背の高きオランダ人を打つ驟雨
オランダ人の平均身長は世界一で、男性184cm、女性170cmだそうです。ただそれと、
驟雨がどのように絡むのかがわかりませんでした。背が高いから一番先に雨粒に当たる
という意味ではないと思いますが…。
73 走り抜け渡すバトンや夏の雲
夏空の下の陸上リレーの練習ですね。「走り抜け」でバトンを渡すまでスピードを緩めず走る様子が浮かびまs。
74 広島や夾竹桃の咲き競ふ
夾竹桃は原爆後の焦土の広島に最初に咲いた花と言われており、広島市の花になって
います。それだけに、広島と夾竹桃だけでは即き過ぎで、もう一工夫欲しいと思いまし
た。
75 登山靴汚れに疲れ滲みをり
「汚れに疲れ滲みをり」は作者の主観です。そこまで言ってしまうと、読者の連想を
喚起する余地が無くなってしまいます。
76 滝しぶき浴び仄暗き札所径
景が目に浮かびます。「浴び」の動詞が余計な感じがしますので、例えば「仄暗き径
の札所や滝しぶき」のようにすると一層句が締まると思います。
77 鰻重を待つ間の無聊スマホ繰る
老舗の鰻屋は、注文を受けてから鰻を割いて焼くので、提供までに時間がかかります
ね。でもそこは、スマホを弄るのではなく、御新香などで酒でも飲みながらゆっくりお
待ちください。俳句をひねるのも良いと思います。
78 一病はあれどかくしゃく生身魂
無病息災と言われますが、一病位あって医者にかかっていた方が、大病を見逃すこと
が無くなって良いとも言われますね。
79 夏空へ全てのシーツ預けけり
景が大きく、爽快な句ですね。「全てのシーツ」という大胆な誇張を夏空が受け止め
ています。
80 盆過ぎの家具を戻せば吾ひとり
子や孫が帰った後の寂しさですね。「吾ひとり」まで言ってしまうと主観が出すぎて
俳句の底が浅くなりますので、そう言わずにその寂しさがそこはかとなく読者に伝わる
ようにできると良いですね。
81 白鷺や稲間に伸びる潜望鏡
「稲間に伸びる潜望鏡」は、白鷺の首が稲の上に出ていることを言っているのだと思
いますが、上五を「や」で切って中七下五で上五のことを言うと、「や」の切れが活き
ません。また、比喩や見立てはよほど上手に使わないと、作者の自己満足に終わるケー
スがほとんどです。
82 午後七時残る夕焼け飛行機雲
経度によっては午後七時まで夕焼けが残るところもあり、それは特に珍しいことでは
ないのではないでしょうか?
|
【
第319回目
(2026年7月)
HP俳句会 選句結果】
|
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| 【
松井徒歩
選 】 |
 |
| 特選:
緑陰を影の出でゆく塩の道
|
正憲(浜松市)
|
|
短夜やヒッチコックのメロドラマ
|
田村幸之助(和歌山県)
|
|
脱藩の峠の茶屋のかき氷
|
田村幸之助(和歌山県)
|
|
香水瓶半分残し夫は逝く
|
鷲津誠次(岐阜県)
|
|
ペンギンと同じ高さの夏帽子
|
大原女(京都)
|
|
標準語板につきたる夏休
|
久保田山蛾(栃木県)
|
|
ヘルメット胸に鳶職三尺寝
|
筆致俳句(岐阜市)
|
|
蹴り上げるボールの彼方雲の峰
|
ようこ(神奈川県)
|
|
夏空や半拍遅き応援歌
|
芳典(東海市)
|
|
やがて来る一人の暮らし百日紅
|
よりこ(名古屋市)
|
|
|
|
 |
 |
| 【
国枝隆生
選 】 |
 |
| 特選:
黒揚羽水を一拍打って起(た)つ
|
光雲2(千葉県)
|
|
夏の風熱気孕みてからみつく
|
政秀(愛知県)
|
|
園児らの白きあご紐夏帽子
|
大原女(京都)
|
|
石畳水打ちて風生まれけり
|
原 洋一(岡山県)
|
|
緑陰を影の出でゆく塩の道
|
正憲(浜松市)
|
|
波を切る遠泳の子の赤帽子
|
石塚彩楓(埼玉県)
|
|
蹴り上げるボールの彼方雲の峰
|
ようこ(神奈川県)
|
|
夏空や半拍遅き応援歌
|
芳典(東海市)
|
|
ランナーに魔法の効き目ある清水
|
麻里代(和歌山市)
|
|
一礼の茅の輪の葉先雨雫
|
戸口のふっこ(静岡県)
|
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| 【
関根切子
選 】 |
 |
| 特選:
ヘルメット胸に鳶職三尺寝
|
筆致俳句(岐阜市)
|
|
招かれて大名気分夏座敷
|
貝田ひでを(大阪)
|
|
黒揚羽水を一拍打って起(た)つ
|
光雲2(千葉県)
|
|
園児らの白きあご紐夏帽子
|
大原女(京都)
|
|
那須岳の峰に轟く遠花火
|
久保田山蛾(栃木県)
|
|
標準語板につきたる夏休
|
久保田山蛾(栃木県)
|
|
石畳水打ちて風生まれけり
|
原 洋一(岡山県)
|
|
波を切る遠泳の子の赤帽子
|
石塚彩楓(埼玉県)
|
|
蹴り上げるボールの彼方雲の峰
|
ようこ(神奈川県)
|
|
枝豆の莢の器に莢の山
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近江菫花(滋賀県)
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| 【
玉井美智子
選 】 |
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| 特選:
青嵐ちぎれさうなる船の旗
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伊藤順女(船橋市)
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脱藩の峠の茶屋のかき氷
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田村幸之助(和歌山県)
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香水瓶半分残し夫は逝く
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鷲津誠次(岐阜県)
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ヘルメット胸に鳶職三尺寝
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筆致俳句(岐阜市)
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石畳水打ちて風生まれけり
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原 洋一(岡山県)
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波を切る遠泳の子の赤帽子
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石塚彩楓(埼玉県)
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夏空や半拍遅き応援歌
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芳典(東海市)
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やがて来る一人の暮らし百日紅
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よりこ(名古屋市)
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夏霧や村のジビエの販売所
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ゆきえ(和歌山市)
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アルプスを背負ふ安曇野青田風
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蝶子(福岡県)
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※(各選者の特選は2点・並選を1点として計算し、最高点の方を最多入選賞といたします。
同点が3名以上の場合は該当者無しとさせて頂きます)
今月の最高得点者は、筆致俳句さん(岐阜市)でした。「伊吹嶺」七月号をお贈りいたします。おめでとうございます!
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【講評】
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2026年7月伊吹嶺HP句会講評 国枝隆生
今月はいつも講評して頂く松井徒歩さんのパソコンが不調で使えないとのことで、
国枝隆生が担当します。ただ松井さんからはスマホで個別の講評を頂いていますので、
松井さんの評を中心に講評させて頂きます。
1 青嵐ちぎれさうなる船の旗
(松井氏評) 風が強いため旗がちぎれそうという理屈を感じました。
2 六月の湿りたる風夕散歩
「夕散歩」という言い方があるのでしょうか。5音に収めるための造語のように思えま
した。
(松井氏評) 梅雨時の風の説明のように感じました。
3 帰省子やポテサラ作る母のため
下5の「母のため」がリズム的に落ち着かない感じでした。
(松井氏評) 親孝行なお子さんが目に浮かびますが、帰省子はが主語なので「や」で切
らないほうがよいように思いました。
4 病床の妻に葉桜桜餅
「葉桜桜餅」は重ね言葉で収めたのでしょうか。でも「桜餅」とあれば「葉桜」はなくても
分かるような気がしました。
(松井氏評) 葉桜で切れているのか四文字熟語なのか迷いました。葉桜は夏の季語で桜
餅は春の季語です。
5 あぜ道を細足走る綺羅の雉
「細足」が要るかどうか。あとで雉が出てきますので、単に走るで表現を考えればよかっ
たと思います。
(松井氏評) 「細足走る」はやや乱暴な表現なので「綺羅の雉」が台無しになってしま
います。
6 丸き実も黄白穂状栗の花
(松井氏評) 「黄」までが実のことで、「白穂」以降が栗の花のことでしょうか?分か
りにくい句でした。
7 あぢさゐや雨の重さをはかりかね
上5は「紫陽花の」と続けるところだと思いました。でも思いは伝わりました。
(松井氏評) 主観の強い句なので観賞しきれませんでした。
8 雨しづくあぢさゐ青く新しく
雨雫で紫陽花を表現したかったのだと思いましたが、「青く」「新しく」のリフレイン
が効いているかどうか分かりませんでした。
9 短夜やヒッチコックのメロドラマ
ヒチコックのメロドラマというと何でしょうか。あまり分かりませんが、『断崖』
『めまい』などはスリラ―+メロドラマのジャンルでしょうか。つい余計なことを言っ
てしまいました。
(松井氏評) スリラーではなくメロドラマであることの愛憎劇が、短夜の情緒と重なっ
て、良いと思いました。
10 脱藩の峠の茶屋のかき氷
坂本龍馬が土佐藩の国境を抜ける茶店ですね。今も残っているのでしょうか。
(松井氏評) 脱藩した坂本龍馬が国境の峠の茶屋で休憩しているところを想像しました。
11 前は海うしろは山や夏館
「前は海サーヨー後ろは山で」の斎太郎節ですか。宮城県の民謡を連想してしまいま
した。実際の情景を具体的に描写すればよかったと思います。
12 招かれて大名気分夏座敷
どなたかに招待されたのでしょうか。よほど大きな屋敷だったのですね。
13 散蓮華揺られあちらに白昼夢
全体的に抽象的でよく分かりませんでッした。
(松井氏評)主観が強すぎるので何のことか分かりません。
14 夏の風熱気孕みてからみつく
夏の風のむっとした印象が伝わってきました。ただ中7と下5のどちらだけで分かり
ますので、どちらかで詠めればと思いました。
(松井氏評)夏の風の一面を説明しているようです。
15 香水瓶半分残し夫は逝く
ご主人への思いがよく伝わってきます。
(松井氏評) 香水瓶が形見のようで切ないですね。
16 黒揚羽水を一拍打って起(た)つ
瞬間をよく見た句と思いました。特選で頂きました。ただ「起つ」が適切かどうか。単
純に「立つ」でもよいし、当て字にするなら、「翔つ」も考えられます。
17 炎天下鳥も声絶つ昼下り
炎天下ではまさにこの通りだと思いますが、説明のような印象でした。
18 百合ひらく手につく花粉もてあまし
(松井氏評)「もてあます」と言われても、俳味は感じられませんでした。
19 箸使いきれいな漢や夏座敷
男性は総じて箸を使うのが下手なのでしょうから,こういう句に惹かれます。ただ
「きれいな」が抽象的で具体的な箸使いを詠めればもっとよかったでしょう。
(松井氏評) 中八ですね。「漢」だけで十分切れますので、「や」は省略してはどうで
しょうか。
20 なよやかに透くる庵主の薄衣
涼しげな庵主様が見えてきますが、「なよやかな」この句の結論ですから、具体的な
描写でなよやかさを詠めればよかったと思いました。
21 姫うつぎ影ふかぶかと落暉かな
(松井氏評) 「姫うつぎ」で切れているように見えますが、姫うつぎの影ですか?
22 園児らの白きあご紐夏帽子
白きあご紐に焦点を当てたのでしょうか。ここだけで夏の園児の元気さが伝わってき
ました。
23 ペンギンと同じ高さの夏帽子
(松井氏評) ペンギンと背比べするように並ぶ子供たちの姿が目に浮かびます。
24 那須岳の峰に轟く遠花火
広い情景がよく見えてきます。ただ「遠花火」だと「轟く」ほどに聞こえるのでしょうか。
25 標準語板につきたる夏休
(松井氏評) 東京の暮らしに慣れた安堵感が伝わってきます。きっと楽しい夏休みにな
ることでしょう。
26 カサンドラ夫は知らずの片蔭り
カサンドラ症候群という病気があるのですね。でも現実の「片陰り」にどうつながる
か分かりませんでした。
(松井氏評) 奧さんのカサンドラ症候群でしょうか。ご主人はそれに気付いていない?
その悩みの気分を「片蔭り」に託している?
27 断崖のシナ海望む雲の嶺
大景が浮かんできます。ただ「断崖の」の「の」は所有格でしょうか。主格でしょう
か、どちらもうまくつながらないように見えました。「シナ海を望む断崖雲の峰」なら
情景がよく見えると思いました。
28 巣の中は子燕の口犇めけり
(松井氏評) 食欲旺盛な子燕たちが親燕に盛んにねだっている姿が目に浮かびます。
29 湧清水崩れてはまた盛りあがる
(松井氏評) 何が崩れては盛り上がっているのでしょうか?水底の砂のような気がしま
すが・・・。
30 のんびりと紫煙くゆらし夕端居
「のんびりと」といわないで、のんびりさを描写できるとよいと思いました。
31 ヘルメット胸に鳶職三尺寝
今月の最高得点でした。。「ヘルメット」だけで情景が見えてきます。
(松井氏評) 「ヘルメット胸に」に鳶職の人の実感がうかがえます。
32 袈裟懸けに切り飛ぶ夏の燕かな
(松井氏評) 「袈裟懸けに」に、生命力のある夏の燕が見えます。
33 石畳水打ちて風生まれけり
水を打って風が生まれたと詠むことにより涼しさが見えてきました。
(松井氏評) 偶然の風を、水を打ったからこそ風が生まれたかのように表現したのが
お上手だと思います。
34 緑陰を影の出でゆく塩の道
緑蔭を歩いている時には見えなかった影が緑蔭を出たら見えた表現が印象的です。
(松井氏評) 出て行った影が、昔の塩の道で働いていた人を思わせるような趣です。
35 過ぎ去りし刻をぽとりと蚊遣香
(松井氏評) 「刻をぽとりと」がよく分かりません。蚊取り線香の燃え滓が、ぽとりと
落ちるところを、自分の人生に重ねているのでしょうか。
36 ベーコンはカリカリに焼く桜桃忌
生活の一部を描くことにより桜桃忌に思いを馳せているのでしょうが、「カリカリに」
が当たり前に見えました。オノマトペは難しいですね。
37 波を切る遠泳の子の赤帽子
遠泳を見ているポイントとして、「赤帽子」を詠んだのがよかったと思いました。
38 御神木の紙垂ひらひらと山開き
山開きを詠むのに、上5,中7がよくある情景でした。もう少し山開きらしさが出て
くればよかった思います。
39 蹴り上げるボールの彼方雲の峰
ボールの彼方に雲の峰を取り合わせたのが、明るく、元気さが出ています。
(松井氏評) 蹴り上げたボールの方向感と、雲の峰の姿がよくマッチしています。
40 蝉時雨やさしき声の聞きとれず
(松井氏評) 話し相手の優しい声が、蝉の声にかき消されて、聞こえないということで
したら、理屈の句になります。
41 片蔭や会へばたがひの犬自慢
(松井氏評) 「会へば」は省略出来るような気がしました。
42 透明な傘の掛けある白牡丹
今年、当麻寺でどの牡丹にも和傘が掛けてあるのを見ました。ただそれだけでは説明
になってしまうので、もう一工夫があればよかったと思います。
(松井氏評)写生句としては評価できますが、傘がどういう意味を持っているのかが分か
りませんでした。
43 万葉の人々も観し古代蓮
よくあちこちで古代蓮の開花のニュースを見ますね。
(松井氏評) 古代から引き継がれている蓮のロマンを感じました。
44 愛用の古色滲める夏帽子
古色で古いことが分かりますが、どんな色でしょうか。具体的に描写出来ればと思い
ました。
45 初めての運動靴を朝散歩
朝散歩という詰まった言い方が気になりましたが、それより季語は何でしょうか。
46 兜虫人差し指に爪を立て
(松井氏評) 触感的な表現に実感があります。
47 夏空や半拍遅き応援歌
こういう応援もあるのですね。面白い着眼だと思いました。でも一生懸命さが見えて
きます。
(松井氏評) 夏空の下の懸命な競技に、応援歌が半拍遅れるというのが面白いです。
48 やがて来る一人の暮らし百日紅
いわゆる写生句ではありませんが、こういう感慨もありでしょうか。
(松井氏評) 一人の暮らしへの覚悟と不安を感じました。庭に静かに咲く「百日紅」が
応援しているようです。
49 夏つばめ蜂須賀二代顕彰碑
今放送中の大河ドラマの蜂須賀家ですね。もう少し「蜂須賀二代顕彰碑」を短くすれ
ば、夏燕をもっと写生出来たかと思いました。
(松井氏評) 蜂須賀家は戦国時代を生きぬいて、明治以降まで存続しています。夏燕が
祝っているようです。
50 墨太く海月発生立て看板
(松井氏評) 立て看板の前に助詞がほしいです。「墨太く海月注意の立て看板」ぐらい
でどうでしょうか。
51 初蝉やドラマの声と聞き違ふ
(松井氏評) 中七以降のイメージが掴みきれませんでした。
52 竹笊に枝豆青く山を成す
(松井氏評)報告の句のような気がします。
53 枝豆の莢の器に莢の山
沢山収穫できたのですね、それを「莢」のリフレインで表現したのですね。
54 夏霧や村のジビエの販売所
(松井氏評)夏霧の効果で山奥の販売所が目に浮かびました。珍しいジビエを想像しまし
た。
55 プロレスの宣伝カーや大西日
宣伝カーと大西日の取り合わせがいかにも暑苦しく感じさせるのに成功させています。
56 梅雨明けて地代値上げの書簡かな
梅雨明けの暑苦しさを「地上げの書簡」で感じさせますね。
(松井氏評) 梅雨が明けたと思ったら値上げの知らせ。酷暑がやって来たみたいですね。
57 ハンディーファン手鏡を見るやうに持ち
最近、よく見かける光景ですね。今は手鏡付きのファンもありますね。ハンディファン
が季語となるかどうかが気になりますが、季語はどんどん変遷する時代でしょう。
(松井氏評) 確かにそんな感じですが、ハンディファンが季語になるかどうか?私は許容
派ですが・・・。
58 なめらかに父の草笛ひびく島
(松井氏評)島が効いていますでしょうか。他の場所でもそう変わらないように思います。
59 向日葵に叛く男の影曳きて
(松井氏評)「向日葵に叛く男」がよく分かりません。
60 向日葵や男に在りぬ泣き黒子
「在りぬ」はなくてもよいような感じでした。
(松井氏評)「ぬ」は断定の終止形で、切れが入りますので三段切れですね。終止形では
なく連体形にしたいです。
61 露天湯の話弾ませ夏の蝶
(松井氏評)下五との兼ね合いで、「弾ませ」が不自然ですので、「弾めり」ではどうで
しょうか。
62 アルプスを背負ふ安曇野青田風
「背負ふ」擬人化が気になりましたが、いかにも広くて明るい安曇野が見えてきました。
63 勤務終へ憩ふ居酒屋夕薄暑
少し涼しい夕方は飲み屋に行きたくなりますね。「憩ふ」が分かっていますから、なく
てもよいので、「夕薄暑仕事帰りに居酒屋へ」で分かると思いました。
64 八ミリの舗装の割れ目夏の草
ややトリビアにこだわっている感じでした。もっと夏草の勢いを詠む方法もあると思
いました。
65 ランナーに魔法の効き目ある清水
何のランナーでしょうか。清水は山にある感じですので、クロスカントリーでしょう
か。私は「魔法の効き目ある」水から,昔,那覇マラソンで応援の方からのドリンクや
黒糖を頂いたこところが魔法のような力を得たことなど、沖縄の方の心温かさを思い出
しました。
66 冷房の部屋か散歩か迷ふ犬
(松井氏評)面白い犬ですね。うちの犬は暑くても寒くても散歩に行きましたが。
67 赤きペディキュア外反母趾の素足にも
(松井氏評)「赤き」を省略して上五にすることをお勧めします。
68 湯上りはアイスキャンディー何よりも
(松井氏評)「何よりも」の主観が俳句を弱くしていると思います。
69 一礼の茅の輪の葉先雨雫
茅の輪を潜る時の一礼に温かさを感じました。「雨雫」がよく見た写生だと思いました。
70 日盛りや切れし尻尾を見入る児等
蜥蜴の尾のように見えますが,具体的に何の尾かを分かるように詠めればと思いまし
た。
71 小競り合い止めぬ白鷺田は広し
下5の「田は広し」が付け足しのように見えました。
72 風を切る水やり後の鬼蜻蛉
水を遣ったあと蜻蛉が飛び立ったのをよく観察していると思いました。中7がやや詰
まった言い方のように見えましたので、「水打つて風の中より鬼やんま」もあるかなと
思いました。
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