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添削コーナー

いぶきネット句会に入会されると、以下のような添削指導を受けることができます。


いぶきネット句会(29 年8月分より)




原句 = 雑草に崩れし土塁夏の月
 「雑草という草は無い」と言ったのは、昭和天皇だったでしょうか? 特に種類を言う必要が無い場合は、「草」で良いと思います。
添削句 = 土塁埋む草の匂ひや夏の月




原句 = 女坂裾の茶店に氷旗

 作者の見える句 動きのある句にしてみました
添削句=女坂下り茶店のかき氷




原句=昆布採るクルーズ船を目の前に
 クルーズ船を描写しては どうでしょう。<目の前に>は見えているので、冗語でと思います。
添削句=昆布採る沖に真白きクルーズ船




原句=原爆展ただただ暑くなりにけり
 平和記念資料館でしょうか?広島忌、長崎忌は毎年本当に暑くなりますが 〈ただただ暑く〉は主観では?ただただ暑かった様子を写生できるといいですね。
添削句=原爆展出て炎天の空青し    原爆展白き館の灼けゐたり




原句=日曜の天に伸びゆく夏の薔薇
 日曜は礼拝日ということでしょうか。すると、「天」は近すぎるので、「空」の方がいいと思いました。薔薇は夏の季語なので、
添削= 礼拝日空に伸びゆく薔薇のつる・・・・・・ でもよいかと。



原句 = 蝉の殻築地の壁に爪を立て
 この句はこのままで出来ていますね。ただ「築地の壁」は「「築地塀」としてリズムを整えるとともに、切れを下五へもっていってはいかがでしょう。
添削句=蝉殻の爪たててをり築地塀




原句 = 遥かなる童に還る海の家
 海の家へ行ってみると子供時代が甦ってくる、良い感覚をお詠みになられましたね。「遥かなる」は「遠い日」のことを思っての事と思いますので、はっきりさせて「還る」は終止形よりも、この場合連用形にする方が余韻が生まれ俳句らしさが出ると思いました。
添削句=遠き日の童に還り海の家



原句 = 明易や部屋にテレビのフランス語

 ホテルのテレビをつけたらいきなりフランス語、海外へ行けば当たり前とはいえ驚きますね。ここは「明易や」と切るよりも、早々明けるパリの雰囲気として「明易の部屋に・・」とするといいと思いました。
添削句=明易の部屋にテレビのフランス語 




原句= 得意げに幼児見せくる猫じやらし
 どんなところで、<得意げ>を感じられたのでしょう。
添削句=猫じやらし掲げ幼児が駆け来たる



原句= 幼子の背をはみ出す浴衣帯
 子への眼差しが 優しいですね。ただ 背を<はみ出す>が、いろいろ解釈出来ます。ランドセルならはみ出しても良いですが・・・例えば・・・
添削句=幼子の背に揺れをり浴衣帯



原句= 燕の子巣で待ちをりて列車来る
 この句は情景が見えています。あとは燕の子の場所をはっきりさせて、リズム感をどうするかです。
添削例=列車来る駅に餌を待つ燕の子



原句 = 炉の脇に薪を積み上ぐキャンプ村
 中7は本来は「詰み上ぐる」でしょう。そうすると中8になりますので、中7にして、

添削例1=炉の脇に薪積み上ぐるキャンプ場

あと写生を強調するために、

添削例2=キャンプ場まづ炉の脇に薪を積む



原句=髪洗ひ長き一日を終はらせる
 心情がよくわかる良い句だと思います。しかし、<一日を終はらせる>は他動詞ですが<一日の終はりけり>と自動詞にすることで、作者の一日を断ち切る意思が見えてくるように思います。添削句=髪洗ひ長き一日の終はりけり 




原句 = さざれ波木曾の川面や夏の果て
 詩情豊かな句ですが、三句切れが惜しいです。言葉を入れ替えて整えてみました。

添削句=逝く夏や木曽の川面のさざれ波



原句=炎天や廃車山なす線路脇

 炎天でも良いのですがもっと直な季語「灼くる」を使ってみてはどうでしょう。

添削句=山積みの廃車の灼くる線路脇



原句= 老犬の散歩日傘の影に入れ
 愛情のこもった優しい句ですね。このままでも十分伝わりますが、散歩の主語は老犬、日傘に入れるのは作者と 紛らわしいので主語を作者一人にして、
添削例 = 老犬と散歩日傘の影に入れ




原句 = 信貴入らば青葉触れ合ふ音清し
「信貴入らば」に気合を感じましたが、もう少し肩の力を抜いて詠まれても良いですね。

添削句=信貴山の青葉触れ合ふ音清し









29 年7月分より




原句=巾二間シャッター通りを夏つばめ
 シャッター通り 全商店が廃業のようですね。シャッターの廃業店がぽつぽつ位ではないでしょうか。
添削句=廃業の多き通りを夏つばめ




原句 = 緑さす湖水臨める宿に立つ
 視点の良い句ですが、動詞の多用と三段切れが惜しいです。動詞を整理して、説明的なことば「臨める」を「眩しき」と写生してみてはどうでしょう。

添削句=緑差す湖面眩しき宿の朝



原句 = 梅雨寒や書き足す歯科の問診票

 問診票に何を書き足したのかを はっきりさせれば季語の「梅雨寒し」が効いて来るのではないでしょうか。

添削句=問診に足す病歴や梅雨寒し



原句=薫風や児は熟睡の宮参り
 お出来になっていますが、「熟睡」は 音読みなので硬い印象がしました。「深眠る」としてみました。
添削例=薫風や深眠る児の宮参り



原句=風薫る愛犬細目で眠りをり
犬を飼っていた時同じ様に眠っていたことがあります。「愛犬細目で」は八音になるので、ここを解消するため上下入れ替えてみました。
添削例=薄目して眠る愛犬風薫る



原句 = 油照りマップ片手に就活子
  最近は就職も厳しくて大変ですね。季語がよく効いていると思います。マップは日本語でもいいでしょうか?
添削例 = 油照り地図を片手に就活子



原句=五羽七羽小啄木鳥柄長も巣立鳥
 「5~7羽いる小啄木鳥も柄長もみんな巣立ち鳥である」と説明の感じがします。そこで、
添削句=賑やかに小啄木鳥柄長の巣立ちたる



原句= 明け方のざんざ降りなり手毬花
 〈ざんざ〉という言葉があるのですね。広辞苑に出ていました。 ただ手毬花との関わりが薄いですね。
 手毬花が雨に打たれて揺れている感じにしました。
添削句=手毬花打つ明け方のざんざ降り



俳句1 = 遠き日の母と下校の梅雨の道
 回想句と思いますが、俳句は一人称現在形で作ったほうが、訴求力が増します。タイムスリップをしたように、自分が昔に戻ったつもりで作ると良いと思います。
添削句=母と手を繋ぎ下校や梅雨の道




原句= 青き空映る水面に白睡蓮
 一句の意味は通っていますがリズムがよくないので上五を「白蓮」にして切れを入れてみました。
添削句=白蓮や水面に青き空映し 




原句 = 滑りつつ烏植田の餌をつつく

烏の様子がふたつあり、どちらを詠みたいのか曖昧ですね。烏が滑る、とは? とのご意見もありましたので、ここでは「滑るやうに」として状況を詠んでみました。

添削句=滑るやうに烏植田の餌をつつき




原句=大夕焼高鳴る群来の夢の果て
 群来は広辞苑にもある言葉ですが寡聞、不勉強で知りませんでした鰊群来が季語だとしってましたが 群来に頭がいかなかったのです。産卵に浜へ押し寄せる波の高鳴り そのような夢の果て 番屋も鰊大尽も今は無し北の海に大きな夕焼 生者必滅の歴史を詠みこんで大きな句ですね高鳴るという感覚が分かる人わからない人ですね番屋の句のように具体的な即物具象の句が伊吹嶺の目指す俳句でしょう。

添削句=群来の夢果てし番屋や大夕焼け



原句=貝の口粋に結ぶや藍浴衣
 「貝の口結び」のことですね?粋の部分が説明だと思いました。
添削句=貝の口結びきりりと藍浴衣

 帯を 強調して・・・添削句=貝の口きりりと結び藍浴衣



原句= 玻璃戸這ふ薄桃の腹なめくぢり
 よく 見つけられました。  ゾクゾクします。チャットの時にで 三句切れ と、意見が出ましたね。這うより 桃色の腹を強調して・・・
添削句=なめくぢの桃色の腹玻璃に透け



原句= 半夏雨色鉛筆の芯削る
  <削る>よりも、<匂ふ>のほうが  季語が生きると思います。

添削句=半夏雨色鉛筆の芯匂ふ



原句 = 少年のシャツの中には扇風機
この句の意味がよく分かりませんでした。 シャツの中に扇風機を入れたのか(そんな扇風機があるのか?)、シャツの中へ扇風機の風を入れたのかよく分かりません。仮に後者として、
添削例=扇風機へシャツ持ち上げて安らげり



原句 = 山里は青龍の舞青田波  
 「青龍の舞」がよく分かりませんでした。田んぼのある里で何かの舞を行ったのですか。それとも青田波が青龍が舞っているように見えたと言うことですか。ここは後者として、

添削例=青龍の舞のごときや青田波












29 年6月分より


原句= ゆく春を窓辺で見やる石膏像  (5月の句会分)
 ちょっとアンニュイを感じる繊細な句です。これは擬人法ですね。「ゆく春」の季語で、十分雰囲気が伝わると思います。
添削句= ゆく春やを窓辺に置きし石膏像




原句 = なぞなぞの問答つきなしソーダ-水

 微笑ましい句ですね。中七の字余りは解消したいところです。
添削句 = 尽きもせぬ子のなぞなぞやソーダ水



原句 = 浜風に浜昼顔の揺れ微か
 「浜」の重複が気になりますね。また、風があるから昼顔が揺れるという因果関係がやや説明的に感じられました。
添削句 = 潮騒や浜昼顔の揺れ微か



原句 = 故郷の味噌蔵の黴鼻覚ゆ
 良い句材ですが、「鼻覚ゆ」は、言葉遣いに無理があると思いました。「故郷」も省き味噌蔵の何かを描写して、「黴雨」(ばいう)の季語に託してみました。
添削句=味噌蔵のみそ玉匂ふ黴雨かな



原句 = 山腹の祠を包む花卯木
 情景はよく分かりますが 祠を描写して具体的に、一例ですが
添削句=角欠けし織部の祠花卯木



俳句5 = 老犬と傘さし睨む梅雨夕焼
 睨む に 主観が入っているように思いますので、先ずは 現前の景を写生するように!
添削句=老犬と傘さし眺む梅雨夕焼



俳句2 = 笛の音の失せし須磨寺梅雨寒し
 「青葉の笛」でしょうか? 寺より笛の音を強調して・・・・
添削句=須磨寺に絶へし笛の音梅雨寒し



原句
= 降ろすほど体細まる鯉幟
 なるほど面白いですね 細まるは口語[広辞苑]文語(旺文社古語辞典)にもありませんね 細る ほそるは口語、文語ともにあります。
添削句=降ろすほど身の細りけり鯉幟



 原句=生解くける芭蕉をたたく夕立かな
球解く芭蕉、夕立も季語 チャットで季重なりの指摘があったのでは? にはか雨と逃げますか
添削句=玉解ける芭蕉をたたくにはか雨 (俄か雨)



 

原句= 蓄音機のワルツかするる夏邸
 上五の字余りが残念です。〈レコード〉 ではだめでしょうか? また〈掠るるワルツ〉とすれば切れが入ると思います。
添削句=レコードの掠るるワルツ夏邸



原句 = 琴の音の流るる茶会花菖蒲
「琴の音」に対して「流るる」は常套的かなと思います。
この省略した4音でどんな場所かが見えると良いですね。
添削句=琴の音の野点茶会や花菖蒲



原句= 雲少し六月の湖碧く在り
 説明になりやすい言葉「在り」は雲に掛けるとすっきりするように思います。
添削句=風少しあり六月の湖碧し



原句=乳離れの遅し重たし柿若葉
 <遅し>の主語は赤ちゃん。<重たし>は、作者が重たいと感じているのでしょう。また形容詞が二つ並ぶのもどうでしょうか?季語はとても良いと思います。
添削句=乳離れの遅き赤子や柿若葉



原句 = 芍薬のおおりん重し壷たふる

 この句は実際に壷(花瓶?)が倒れたのですか。それとも倒れそうになったのですか。それをはっきりと写生すると分かり易くなります。
添削例=大輪の芍薬壷を溢れさう 




原句= 老鶯の夕まで鳴けり峡の宿

鶯の声を夕暮まで聞けるとは羨ましいですね。<夕まで>を<夕べまで>にして詩情をだしてみました。   

添削句=夕べまで老鶯鳴けり峡の宿




原句=母の日の返礼の文急ぎ書く
 〈母の日の返礼の文〉が概念的なので、具体的にして、
添削句=カーネーション届き早速書く手紙



原句 = SLが煙まき散らす夏の山

 情景をいい表すには「まき散らす」が少し乱暴ですね。平凡になりますが、以下のようではどうでしょう。

添削句=SLの煙たなびく夏の山














29 年5月分より




原句= 風船に息入るる児の涙かな
 風船を吹くときに涙がでるという発見の目が良いと思いました。語順を変えて 動作をあとにすれば、臨場感が出て来るのではないでしょうか。
添削句=涙して児が風船に息入るる



原句 = 遠雷や目覚めし赤子欠伸せり
 大物の赤ちゃんですね。「や」と大きな切れを入れる場合、下五は強い語尾にならないほうが良いとされています。「赤子」を「嬰」(やや)として
添削句=遠雷や目覚めし嬰の大欠伸



原句= 和服着て中国人の花見かな
 このままでも 景色はイメージ出来ますので、良いと思いますが、<中国人>の表現が ストレート過ぎるかな?と思いました。 詩的に!!
添削句=和服着て異国の人の花見かな




原句=自転車で日本一周風光る
 新聞の見出しのような感じがします。もう少し具体性があればいいなあと思いました。
そこで、
添削句=ペダル漕ぎ島一周や風光る



原句=銭湯の富士の絵褒むる昭和の日
 <褒むる>を、具体的な景色にして・・・・タイル画は高級で昭和の銭湯の絵はペンキの絵でしたね
添削句=銭湯の富士のペンキ絵昭和の日



原句=子をつれて餌をとる雀春の庭

 状況は見えてきますが「春の庭」がちょっと大雑把に感じました。春の季語「雀の子」をつかってみたらどうでしょうか?
添削句=親まねて庭の餌とる雀の子



原句= かすかなる音とこぼれし大山蓮華
 花びらに <こぼれる>はどうでしょう?? <散り> でしょうか?もう少しリズムを良くして・・・・
添削句=かすかなる音して大山蓮華散る


原句=蒲公英を摘みし子の背に陽の溜まる
  摘んでいる眼前の景色がいいのでは連用形で動きをあらわすのもいかがか??
添削句=蒲公英を摘む子の背に陽のあふれ



原句つばくらめ白き腹出し毛繕ひ
 燕の羽繕いは首を自在に動かし羽も広げて入念ですね。〈腹出し〉を〈腹見せ〉に〈毛繕ひ〉を〈羽繕ひ〉にかえてみました。
添削句=つばくらめ白き腹見せ羽繕ひ




原句= 暮れ方の湖しらじらと花の雨
 この感覚は私の好みです。「湖」を「うみ」と読ませていますができたらこれを解消したいです。

添削句=しらじらと湖面暮れゆく花の雨



原句= 春の果期限の切れし値引き券
 取り合わせの句ですね。春惜しむ気持ちを「期限の切れた値引券」に託したのは良いのですが問題があるとすれば切れの弱さと事柄俳句になってしまったところでしょうか。

添削では切れを入れ、写生句に仕立ててみました。

添削句=ポケットに無効の券や春の果



原句=広重の白き雨足聖五月
 「聖五月」はカトリックで五月を「聖母月」と呼ぶことからこの呼称があるようです。 また「五月」は若葉が萌えだし、生命力に溢れたみずみずしいイメージですよね。 広重の雨の浮世絵で五月の爽やかさを伝えるのは難しいと思います。 やすし俳句教室「季語の本情」を読んでみてください。 「迎へ梅雨」や「さつき雨」では付き過ぎかとも思いますし・・・。難しいですね。
添削句=広重の白き雨足薬降る



原句= 新緑を触るるばかりに赤電車

「新緑を」の「を」が気になります。助詞の使い方は非常に難しく、悩むところです。また下五の「触るるばかりに」の「ばかり」の濁音も強い感じがしました。ここでは自然を取り入れて、もう少し細かく観察してみたらいかがでしょうか?

添削句=新緑の風に触れゆく赤電車



原句=春曙残雪光る富士美麗
 この句は「春曙」と「残雪」の2つの季語があります。イメージの焦点を絞るため季語は1つにしましょう。また「富士美麗」の「美麗」という抽象語でなく、富士山の具体的なイメージを詠んでみましょう。
添削例=残雪の遠富士青く光りをり



原句 = 胴太き鯉のうねりや初夏の恋
 「初夏の恋」がよく分かりませんでした。もしかしたら鯉の乗っ込みのことではないでしょうか。全部は添削は出来ませんが、原句を引用して添削例のように下5をいろいろ考えて下さい。
添削例=乗っ込みの鯉のうねりの〇〇  または・・・胴太き乗っ込みの鯉〇〇



原句=発車ベルひと駅だけの花の旅
 一駅電車に乗るだけでも、気持ちの持ちようで旅を感じることができるのですね。ベルを「響く」とすることで、踊る気持ちも伝わると思います。
添削句=ベル響きひと駅だけの花の旅



原句=引越しの荷を手渡しに風薫る
 多分、バケツリレー式に荷物を渡しているところを詠まれたのだと思います。思い切って「引っ越しの」は省略し、読者の想像の幅を広げましょう。
添削句=手から手へ送る荷物や風薫る









29 年4月分



 

原句=白梅や持たせて貰ふ藜杖
 除幕式のあと妙照寺に行かれたのですか? せっかく持たせて貰らったのですから杖を持ったときに感じたこと、杖の有様などを詠んではどうでしょう。〈持たせて貰う〉では報告になってしまいませんか。
添削句=手に軽き藜の杖や梅真白



原句=石仏の供花の様に落ち椿
 供花の花 と落ち椿のがかぶるので・・・
添削句=石仏へ供ふるやうに落椿



原句 = 花々の香に囲まれて甘茶仏

 季重なりにならないようにごくろうなされたのでは?花に囲まれて は 花の香につつまれてが良いのでは?

添削句=花々の香につつまれて甘茶仏




原句=スイトピー群集のごと風に揺れ
 〈群集のごと〉は群衆のことでしょうか?スイトピーの健気な花と群集が合わないように感じました。柔らかい言葉にしたらいかがでしょうか。
添削例=嫋やかにスイートピーの風に揺れ




原句 = 咲き終へしすみれ蕾に空ゆづり
 「空を譲る」と言う表現が新鮮でした。 「咲き終へし」が音数を取ることもあり、語順を入れ替えてみました。
添削句=青空を蕾にゆづりすみれ閉づ



原句 = 指震へ肩の花びら抓みし夜
 しっとりした雰囲気がありますね。「指」と「抓む」が重複感があるので、どちらか省いても良いでしょう。
夜桜の花見として作者の描いた情景とは違うかもしれませんが次のように考えました。
添削句=そつと抓む肩の花びら宴の夜



原句= 春寒し長き廊下の長谷の寺
 少しリズムをよくして・・・・下五は長谷にある寺 と 解釈出来るので、長谷寺と 言い切っても良いですね。
添削句=長谷寺の長き廊下や春寒し




原句== 命生く小犬安堵の日向ぼこ
 即物具象の句を考えてみると、 上五が少し弱いかもしれません。 ストレートに<命生く >と言ってしまわないで、 句としての深みを出したいですね。病気の犬が 元気を取り戻して安堵されていると、解釈しました。作者の思いと違うかもしれませんが、例えば・・・・
添削句=小康の仔犬を膝に日向ぼこ



原句=豪華船立ち寄る入江朧月
 <豪華船>と<入り江>が合わないような気がします。<港>ではどうでしょうか。<入り江>と<朧月>のただ広いイメージよりも、<港>と<朧月>の方が遠近のはっきりした印象に。言葉も入れ替えると、船の動きが出てくるかと思います。
添削句=朧月港に入る豪華船  又は、 =入港の豪華客船月おぼろ



原句 = 風潤む祭の朝の初つばめ
「風潤む」に惹かれて選にと思った句でした。「祭」と「初つばめ」季重なりなので添削は季重なりを解消してみました。
添削句=湖の風の潤みや初つばめ



原句= 遅くまで灯る校舎や春の月
校舎の明かりに春の月は付きすぎており惜しい気がします。主眼の校舎の灯を活かすためには「明かり」ではない季語を使いたい。
添削例=遅くまで灯る校舎や余寒なほ




   句= 春の雪通夜に鳴きゐる牛舎かな 
 <鳴きゐる牛舎かな>では牛舎が鳴いているようにもとれます。
夜間、牛は<牛舎>で鳴きますので省略して <牛の声>が聞こえたというだけで情景が分かると思います。
添削句=  春の雪通夜に聞こゆる牛の声 




原句 = エプロンへふたつみっつと蕗の薹

 エプロンもはずさずにちょっと出かけた近所で、思いがけず蕗の薹が出ているのを見つけたのでしょうね。中七もさり気なさが出て良い感じと思いますが、ここはちゃんと「摘む」と言いたいところです。
添削句 = エプロンのポケットに摘む蕗の薹




原句 = 水郷の空の広々初つばめ
 水郷の水平方向の広がりと、空の広がり、そこを切るように飛ぶ燕のイメージが鮮やかです。 「空の広々」ですと、その後に続く言葉が省略されていて切れが弱くなります。ここは「や」ではっきりと切りましょう。

添削句 = 水郷の空の広さや初つばめ



原句=春の雷耳に残して夢の中
 夏の雷と違って、春の雷は趣があります。三句切れのようでしょうか? 夢の中で春雷を聴いたのか、夢から覚めた後に 春雷の音が残っていたのか、微妙なところですね。 夢の中で聴いていると解釈して、
添削句= 春の雷耳に響ける夢の中

 


原句 = 菜の花が岸埋め尽くす筑後川

このままでも情景見えてきますが、順番を入れ替えるともっとわかりやすくなると思いました。

「筑後川」は暴れ川として有名で、「筑紫次郎」とも呼ばれています。

添削句=菜の花が筑紫次郎の岸埋め



原句= 春夜半キー打つ指肩悲鳴上ぐ

「指肩悲鳴上ぐ」はパソコンを打っていて,指や肩が痛くなったと言うことですか。「悲鳴上ぐ」の主観をやめて客観的に表現してみましょう。

添削句=春の夜半パソコンを打つ指痛む











29 年3月分より



原句=春近し名札新たに植物園
 <春が近いので名札を新しくした>との原因・結果的にもとらえられる
ので、春の景を持ってきて、
添削句=春光や名札新たに植物園



原句== 廃線に走る電車や春の虹
   急に電車が廃線を走る??と 驚きます。先ずは・・・  <廃線に(を)電車の走る春の虹>
以下にすると、 何かの催しで 走らせたのかな?と思います。
添削句=廃線に(を)電車走らす春の虹



原句= 風上を向きて動くや鴨の陣
 景色が 見えて来て 良いと思いましたが、リズムを考えて・・・
添削句=鴨の陣 風上を向き動きだす



原句 = 金縷梅の庭教へ子の謝辞聴く
 金縷梅、庭、教え子、謝辞と材料が多すぎるかもしれませんね。句材の多い句は句意が緩みがちです。
下5の「聴く」を「受くる」としてリズムを整えてみましたが、「受くる」とすることで意味の上でも謙虚な気持ちが出ると思います。
添削句=金縷梅の花の明かりに謝辞受くる



原句= 雪残る伊吹の嶺や旅の駅
 出来ている句でこのままで見良いのですが、「眩しき」と入れることで、句の中に作者が登場し臨場感が増すと思いました。
添削句=残雪の伊吹眩しき旅の駅



原句 = 春暁や目覚めて問ひぬ熱る身
 具体的に読者に伝わるように、また三句切れにならないよう調べを工夫しましょう。作者の言いたいことと違うかもしれませんが、一例として次のように考えました。
添削例=春暁や検査終へたる身の火照り 



原句 = 味噌甕に梅の花入れ無人駅
 無人駅の情景がよく伝わってきました。無造作な活け方だったのかもしれませんが「梅の花活け」の方が心遣いが感じられると思いました。
添削句=味噌甕に梅の花活け無人駅



原句 = 音たてて湧く御手洗や梅真白

 良い雰囲気の句ですね。上五がちょっと元気が良すぎる感じもしますので、少し抑え気味にしても良いと思います。
添削句 = 音低く湧く御手洗や梅真白




原句=蜂巣箱据ゑて爺らの長話
 <爺ら>を省略して・・・ <蜂巣箱>は<蜜蜂の巣箱>に。<据え>を<囲み>としてみると
添削句=蜜蜂の巣箱を囲み長話



原句=探梅やいつしか村のはずれ迄

  句意はよく分かります。「ああこんな所まで来てしまった。」という作者の思いは伝わってきますが、欲を言えばその思いを「物」で表現できたらと思います。村のはずれの様子を写生されてはどうでしょう。
  たとえばですが・・・
添削句=探梅や村のはずれの道祖神



原句=枝先に雪解しづくの煌めけり

 このままでよいと思いますが、気になるのは「枝先に」の「に」ですね。助詞の「に」はどうしても説明的になりがちですので・・・・

添削句=枝の先雪解しづくの煌めけり



原句 = 暁や街をつつみし春の雪

 この場合の切れ字「や」は意味がありますか?「暁の街」で意味がよくわかり、無理やり切れを入れることもないような気がします。「春の雪」は溶けやすく、降るそばから消えて積もることがない、意味があります。「つつみし」は季語「春の雪」の本意と離れると思います。

添削句=暁の街に舞ひ散る春の雪  




原句 = 玉砂利の音も冴ゆるや万灯籠  
 「も」は使いやすい言葉ですが、注意しましょう。この句の場合、「も」とありますので、もう一つの何かがあるかなと余計なことを考えてしまいます。それが何かが分かりません。また「音も冴ゆる」でなく,ひっくり返した方が分かり易いと思いました。

添削例=玉砂利の冴ゆる音して万灯籠




原句 = 早春や新書の帯をそと解けり
 新しい本への期待感がうかがえます。季語も良いですね。<><けり>の強い切れ字が重なりますので、下五は<ほどく>にしてみました。
添削例 = 早春や新書の帯をそと解く


















(29 年2月分より)


   

原句 = 遠き街寒灯淡き海の色

 中七からの流れがとてもよいですね。上五の「遠き街」が唐突な感じですので、中七につなぐように考えてみました。「海の色」を生かして、海を感じさせる場所であると、なお読者の共感を呼ぶと思いました。

添削句=半島の寒燈淡き海の色



原句=淑気満つ茜に明くる九十九里
 日の出が美しい九十九里の景ですね。このままでもよいですが、言葉の位置を変えると、少し調べが違い、景に広がりが出ると思いました。
添削句=九十九里茜に明けて淑気満つ



原句 = 着ぶくれの肩で割り込む都電かな
 たいへん人気の句ですね。作者自身のことを詠まれており、臨場感がありますが、作者が割り込まれる側として詠んでみるのも、「やれやれ」という感じがにじみ出て面白いと思います。
添削句 = 着ぶくれの肩の割り込む都電かな



原句== 真昼冴ゆ女車掌の呼子かな
 事実でしょうが、<真昼>が やや説明の感じがします。
添削句=音冴ゆる女車掌の呼子笛



 

原句 = 春の雪見つめ夫の手術待つ

 実感が込められている佳句ですね。 「春の雪」ですと、歳時記によりますと「冬の雪」に比べ、明るく軽快な感じです。ここは「窓の雪」として、待合室で待っているときの落ち着かない様子を詠まれたらいかがでしょうか?

添削句=窓の雪見つめて夫の手術待つ




原句= 浅蜊貝のことり音たて夕厨
 貝は省けますね。
添削句=夕厨浅蜊ことりと音をたて



原句 = 白鳥がいるだけで沼明るかり
 「いるだけで」は作者の実感と受け取れますが、一羽とか群れているとか白鳥の情景が分ると良いと思います。一例ですが 「群れ来て」「夕明かり(時)」の情報を入れてみました。
添削句 =白鳥の群れ来て沼の夕明かり



原句== 船窓の島のうねりや寒の内
 時化の海でしょうか。荒々しさが実感として、よく伝わります。上五の<船窓の>が一見すると<船窓の島>続くように感じられます。船窓から島のうねりが見えるのですから、<><>にしてはどうでしょうか?
添削句= 船窓に島のうねりや寒の内


 



原句=大寒の犬の手術に立ち会へり

 愛犬の手術に立ち会う不安が大寒で述べられていて いいですね。大寒の犬>と続く感じもしますので・・・・

添削句=大寒や犬の手術に立ち会へる

 



原句 = 文机に折鶴飾り初句会
 平和を祈念したりする折り鶴ですが、俳句の上達を折鶴に託したきごですのでしょうか。素直な詠みぶりに好感をもちましたが、報告調なのが少し気になります。どんな折鶴なのか見えるように写生できたら良いですね。
添削句=紅白の折鶴飾る初句会



原句 = 春浅し床に転がる毛糸玉
 「春浅し」と「毛糸玉」はどちらも季語ですが、「春浅し」は主季語ですから、傍題の「毛糸玉」は物として通用できると思います。「転がる」を意思のある「転がす」として句の中に自分を登場させると「春浅し」が効いてくるように思います。
添削句=毛糸玉転がす床や春浅し



原句 = 歌留多読む調子は母の置き土産
 意味はよく分かるのですが、「母の置き土産」は一寸字数を多く採りますので、「母譲り」など短くして、その分どんな調子で読んだのかを写生出来れば臨場感が出ます。この「節まはし」のところはご自身の実感を入れて下さい。
添削例=歌留多読む母譲りなる節まはし



 

原句 = 荒畑の手はかけずとも水仙花
  手はかけてないけど水仙の花がきれいに咲いているのですね。 <手はかけずとも>に理屈を感じます。
添削句=荒畑の香りゆたかや水仙花

 



 原句=梅が香ややもめ暮らしの隣家より
  〈やもめ暮らし〉と〈ひとり暮らし〉迷うところです。また〈隣家より〉は説明になってしまいませんか? 隣家の様子を写生してみては。たとえばですが・・・。
 添削句=梅が香ややもめ暮らしの小さき庭
 



原句 = 春夕焼鶏の鶏冠の紅極む
 一寸分かりづらかったのですが、春夕焼けが鶏冠のように赤く染まっていたという比喩ですね。 また「鶏」と「鶏冠」がダブっているように感じました。比喩であることとダブりをなくして、
添削例=鶏冠のごとく紅濃き春夕焼











(29 年1分より)


原句=できばえのよろしきを子に鏡餅
  俳句らしい仕立て方ですが、もう少しリズムを良く出来そうですね。

添削句=子に持たすよきできばえの鏡餅




原句=立ち読みを見守る店主冬温し
  〈見守る〉は適当でしょうか?店主は見て見ぬ振りをしてくれたのではないですか?
 優しい店主ですね。〈見守る〉に代わる言葉を探してみました。
 添削句=立ち読みを店主横目に冬温し



 

原句 = 茶柱の立ちて初春良き予感

 いろいろ詠もうとすると、どうしてもつきすぎ、といってくどくなる傾向があります。「茶柱が立つ」は「良き予感」そのものですね。一句の中で何を一番言いたいのか考えてみましょう。例えば「茶柱が立つ」であれば、喜びが倍増するよう詠むと良いと思いました。 

添削句=茶柱の二本立ちたる春隣  または 茶柱を二本立たせて初詣



 

俳句4 = 宝引きの歓声果てし大広間
 宝引きの行事を初めて知りました。<果てし>だと<大広間>とあいまって、淋しさが感じられます。おめでたい行事なので楽しさを出してはいかがでしょぅか。
添削句 = 宝引きの歓声あがる大広間



俳句 = 海光に弓なりゑがく尾白鷲
 オジロワシも、なかなか見ることができない鳥なのでしょう。大自然の中の、とても雄大な景が伝わってきます。<弓なりゑがく>は、オジロワシが弓を描くように飛んでいるのですね。少し、表現が省略されているように思いました。
添削句 = 海光に弓ゑがきをり尾白鷲




原句= 冬至湯や幼き頃の貰ひ風呂

 良い句ですね。懐かしくもちょっぴり悲しい思い出。それでも今の人情のうすくなった世情からみるなんと幸せだったことか湯と風呂が被ると言えば被るかもしれません。

添削句=柚子躍る幼きころの貰ひ風呂




原句 = 眠る山バット収むる籠り堂
 先ず「眠る山」ではなく主季語の「山眠る」で良いのではないかと思いました。次に「眠る」と「籠る」がやや近い印象のある言葉ですので、この場合に別の季語を考えられるのも良いかと思いました。静かさの中に音が聞こえる「笹子鳴く」を考えてみました。
添削句=笹子鳴くバット収むる籠り堂



 
原句= 入り海の潮目伸び行く初日かな
「入り海」が聞き慣れない言葉ですが、分かります。それより初日は昇れば一瞬のうちに海を走りますので、勢いをつけた方がよいと思いました。
添削例=入り海の潮目を走る初日かな



原句 = 糺の森開く手帳に木の葉髪
この句は「糺の森」「手帳」「木の葉髪」の材料が一寸多いと感じました。どれかを削って分かり易くしてはいかがですか。例えば「糺の森」を省略して、手帳か木の葉髪を膨らませてはいかがですか。
添削例=黒革の句帳開けば木の葉髪 
    



原句=巫女達の白粉の手に初神籤
 「白粉の手」を見逃しませんでしたね。「巫女の手に初御籤」ですからまだ本人は受け取っていないのですね。俳句の中に作者を登場させるのもテクニックのひとつです。「白粉」は「白塗り」とすればより臨場感が生まれると思います。おみくじを渡してくれるのは巫女ということは容易に想像がつきますから省略して・・・。

添削句=白塗りの手より賜る初御籤



原句= 大正の玻璃の歪みや初景色

なかなかの名句ですね。このままでも良いのですがもう少し情報をいれて、玻璃戸から見える初景色を詠んでみてはどうでしょうか。

添削句=初景色歪む玻璃戸の豪商家




原句 = 拍手の響く神苑年木焚く
 初詣の景と思いますが、神苑に「拍手の響く」の描写は目新しさに欠ける感じがします。
添削句 = 杜の闇深き神苑年木焚く



原句= 冬灯湾岸低く縁取りて
 <低く> がこの句の場合 効いているかな?と、思いました。例えば・・・以下の仕立て方もあるかと 思います。
添削句=湾岸を縁取る灯師走入り(寒の入)



原句= 木漏れ日のあたる祠に鏡餅
 日のあたる とは言いますが・・・・・木漏れ日は どうなんでしょう。鏡餅をもっと写生をして・・・・・
添削句=木漏れ日の祠に小さき鏡餅
 













(28 年12分より)



原句=散つてなほ匂ひを放つ樟落葉
 合評会で、<樟落葉>は夏の季語とのことでした。<匂う落葉>で検索すると<桂の葉〉>が出てきました。さらに<散る>と<落>の意味が重なるので<桂黄葉>として、
添削=散つてなほ桂黄葉の匂ひ立つ



原句= 菩薩ゐる玻璃戸に写る冬紅葉
 観音菩薩様でしょうか?<ゐる>は、省けそうですね。
添削句=観音堂玻璃戸に映ゆる冬紅葉



原句 = 雲間より夕日の放射寒の海
 情景のよく浮かんでくる句で「放射」が工夫された部分だと思いますが、一連の調べの中で硬い印象を受けましたので次のようにしてみました。
添削句=雲間より夕日差し込む寒の海



原句 = 風を背に衿立てて見るひつじ雲
 上五中七がハードボイルド風なのに対し、下五が牧歌的で可愛らしい感じがする点が、少々アンバランスに感じました。
添削句 = 牧の柵に凭れ見送るひつじ雲



原句 = 土まみれの軍手外すや大根引

 軍手を外すをどう外したかを描写してみると良いでしょう。

添削句=大根引軍手の土をたたき脱ぐ

 




俳句 = 山裾をしぶきあげつつ紅葉川
 清冽な空気の中で、とうとうと流れる川音と鮮やかな紅葉の色が浮かびます。<あげつつ>が、省略された言葉のようですので素直に詠んでも良いかと思います。
添削例 = 山裾にしぶきを上げて紅葉川



原句 = 冠雪の富士聳ゆ見ゆ天守閣

「聳ゆ」「見ゆ」の動詞が続きました。富士がそびえているのが言いたいのか、富士が見えたのが言いたいのか曖昧な気がしました。「冠雪の富士」は「雪の富士」とすればすっきりと同じ情景が詠めます。

添削句=天守よりはるかに望む雪の富士



原句 = 冬耕の農夫一人や散居村
 情景が見えてくる佳い句だと思います。「冬耕」と「農夫一人」が重なり、切れ字で止めているので、散居村が唐突のような気がしました。
添削句=冬耕や暮れて独りの散居村



原句 = 冬夕焼はるかにスカイツリーの灯
 「はるかに」と「灯」が登場することで一寸場面がよく分からないのですが、スカイツリーの先に冬夕焼けがあると考えてよいですね。「はるかに」を活かすなら「灯」がなくても分かると思いますので、
添削例=スカイツリー冬夕焼をはるかにし



原句= 鳰(におどり)の鳴きて水尾曳く番(つがい)かな
 鳰の写生に「鳴きて」「水尾引く」「番」と材料が多いので、1つぐらい省略してすっきりするとよいですね。
また「鳰」を「におどり」とルビをつけなければなりませんので、分かり易く仮名でどうですか。また水尾はよく使いますが、「水脈」と「水尾」のどちらがよいか調べてみて下さい。
添削例=にほどりの水脈重なれる番かな




原句=鉄瓶の余熱抱ふる霜夜かな
  〈余熱抱ふる〉面白い表現ですが実際に鉄瓶を抱えたのでしょうか?両手に包むくらいがいいのではないかと思います。  ただ「鉄瓶を両手に包む霜夜かな」では火傷してしまいそうですね。〈余熱〉は外せないので少し曖昧になりますが・・・
添削句=鉄瓶の余熱を恋ふる霜夜かな 



原句= ゆつくりと経読む朝や冬の雨
 このままでも良いのですが冬の雨をもう少し自分に引き寄せて詠んで見てはどうでしょう。
添削句=
経読むや冬の雨音聴きなが



原句 =
ぽつねんと棺みてゐる冬の晴
 擬音をは写生が安易になるので私はなるべく使うのを控えています。また「見てゐる」は傍観者の感じを受けました。誰の棺なのかがわかれば句意も深まると思います。若くして逝った人を想定して・・・。
添削句=夭折てふ棺を包む冬日差し














28 年11分より

原句=丘をなす大枯野より朝日出
 丘の枯野か、枯れて丘になったのか やや曖昧それにやや散文的。倒置で散文から韻文へ
添削句=朝日出づ丘の枯野をかがよはせ



原句=築地塀の先に秘仏や萩日和
 <先に>はまだ<築地塀>の手前に作者がいる状況だと思います。 これでもいいのですが、作者の動きを入れてみると、
添削句=築地塀をたどり秘仏へ萩日和



原句 = 菜園の日のまだ強し大根播く
 日がまだ強い「から」大根を播く と、因果関係が感じられると、理屈っぽく説明的な感じがしますので、語順を変えて解消します。
添削句 =
大根播く菜園の日のまだ強し.



原句= 野の史跡巡りや走り蕎麦
 <>で切ってあるので、「走り蕎麦」がやや唐突に感じられます。
添削例 = 武蔵野の史跡巡りて走り蕎麦



原句 = 上がりしてみせる孫天高し 
 俳句で「孫」と言い切るのは広がりがありません。作者してみたら「孫」かもしれませんが、読者にとって「孫」でも「子」でも良いですね。読み手に想像してもらいましょう。「逆上がり」をするときの様子などを詠まれたらいかがでしょうか?

添削句=ひと蹴りで逆上がりでき天高し



原句= 旅をする蝶の一日や藤袴
 強調の<や>かもしれませんが、一般的に切れ字として使いますので、藤袴が唐突な感じがしました。蝶々は1日をどうしたのかな?・・・・・旅の途中の1日を 藤袴に翅を休めている では?
添削句=旅をする蝶に一日の藤袴



原句 = 畑跡に残る晩菊野辺に帰す
 「帰す」普通に「還す、または返す」を使えば良いと思います。「畑跡に残る晩菊野に返す」あるいはもう少し香りなど詠み込んで「畑」は省略し想像に任せてみます。
添削句=淡き香の残る晩菊野に還す



原句=蟄居せし崋山の庭の薄紅葉
 
<蟄居せし>で崋山のことがよくわかりますが、説明のような気がします。<仰ぐ>という言葉で紅葉を仰ぐのと崋山を仰ぐ気持ちも込めてみました。
添削句薄紅葉仰ぐ崋山の幽居跡



原句= 有終の美を散る桜紅葉かな  
 「有終の美」とはどんな情景でしたか?写生俳句ではここを見えるように詠むのが基本です。スポットライトが当たって居るような感じを想定してみると・・・。
添削句=日を纏ひ散りゆく桜紅葉かな




原句= 落慶の稚児の輪にゐる赤とんぼ

 落慶という目出度い行事と赤とんぼとの取り合わせ良いですね。「稚児の輪にゐる」は少しわかりにくいかも知れせません。同じ発音でも「入る」とすれば蜻蛉の動きもはっきりしますね。

添削句=落慶の稚児の輪に入る赤とんぼ



原句 = 曇天の湖北の野路や泡立草

 この泡立草は「セイタカアワダチ」では詩情がありませんね。日本の泡立草は「秋のキリンソウ」ですね。一寸長い季語ですが、なんとか押し込めてみましょう。

添削例=雲重き湖北に秋のきりん草



原句= 文化の日チラシの裏に覚え書
 形としては出来ていますが、「覚え書」が何なのか具体的に分かると読者に理解されやすくなると思います。例えば私たちに引きつけて、俳句を書くなら、
添削例=文化の日チラシの裏に句を記す




原句=雨合羽早めに纏ふ秋遍路
 雨が降りそうなので早めに合羽を着たのでしょう。ただ〈早めに〉は説明的な感じがしました。 賑やかな春の遍路に比べると、秋の遍路には求道的なきびしさが感じられるようです。
添削句=雨合羽纏ひて一人秋遍路 



原句=垣間見る郁子の棚越し烏城
 烏城は岡山城のことでしょうか。美しいお城ですね。<垣間見る><棚越し>位置関係が少しわかりにくいかと思いました。また主張したいのは、烏城なので、上五にしたらいかがでしょう。<見る>は口語ですが、文語では<見ゆ>(上一段活用)となります。
添削句=
城郁子の棚より垣間見ゆ










いぶきネット句会(28 年10分より)


原句= 酒飲んで舞台へ急ぐ村芝居
 茶碗酒を呷って勢いをつける村の衆動詞を一つ減らす
添削句=茶碗酒呷り舞台へ村芝居



原句 = 烏には烏の行方秋日和
 「烏には烏の行方」が観念的で、具体的な景が浮かびません。また、秋日和という季語も、具体的なイメージに乏しいので、もっと目に見える景を詠みたいですね。
添削句 = 野仏に睦む烏や秋日和



原句 = 椋鳥の一羽がたてば皆たてり
 鳥の習性をよく観察されている句ですね。
何かをすればどうなる、という仕立て方は説明的になりがちです。情景の瞬間をとらえ、なおかつ感動を生むような俳句になるとよいですね。
添削句=椋鳥の一羽に続きみな翔てり



原句= オルガンの音が校舎に島の秋

 送り仮名の「が」は口語調になるようで私は気をつけている仮名の一つです。「校舎」は「分校」とすればイメージの広がりが可能になりますね。

添削句=分校にオルガン響く島の秋



原句= 海風の強ききび畑いくさ跡
 取り合わせも良く惹かれる句です。切れを効かせば主点が定まると思いました。  

添削句=黍の穂や海風強き戦跡




俳句5 = 秋季展地蔵に掛くる道しるべ
 
「秋期展」の評価の分かれるところですね。
例えば・・・
<菊花展地蔵に掛くる道しるべ>とすると  読み手ははっきりと景をイメージ来 るかもしれません。又は
原句=
菊花展の案内掛かる地蔵尊



 
原句 = 帯のごと棚田千枚曼珠沙華 
 「帯のごと」が「棚田千枚」と「曼珠沙華」の2つにかかるような印象を受けました。どちらの写生かをはっきりさせた方が分かり易いと思います。例えば次のようにすると、曼珠沙華が千枚田を帯のように咲いていることが分かります。
添削例=千枚田を帯のごとくに曼珠沙華



原句=良夜かな眠る嬰児の虫笑ひ
「虫笑ひ」という言葉に眠っているという意味も含まれていますので「虫笑ひ」を使うときは眠るは省いてもいいと思います。語順を入れ替え少しかえてみました。
添削句=眠りゐる赤子の笑まふ良夜かな




原句= 鳥渡る錆積りたる引込線
 動詞が二つあるので、「鳥渡る」を「雁渡し」としてはいかがでしょうか。 また、<積もりたる>は完了形なので、今も錆びているということで現在形にしたらよいと思います。
添削句 = 雁渡し錆積りゐる引込線



原句= 背山より鷹現れて旋回す
 珍しい景をご覧になりましたね。~して~するは、ともすると説明調になります。
添削句 = 背山より鷹の大きく旋回す



原句=冬瓜や受け継がれたる御番菜
 冬瓜で作った御番菜だとすると、「や」で切らない方がよいと思いました。また、「受け継がれたる」は説明のようです。ネット句会での作者の「冬瓜畑を見て家庭の味を話し合いました。」とのコメントから、
添削句=冬瓜の畑で教はる御番菜



原句 = 叩く音どれも旨そう南瓜買ふ
 先ず文語では「旨さう」の表記になります。丸ごと1個の南瓜を選ばれたのですね。旨そうは主観的(自分がそう思った)ということですから、旨いことを客観的な言葉で表したいと思いました。
添削句=叩きみてどれも良き音南瓜買ふ



原句 = 公園の除草に残す秋の草
 「秋の草」を「草の花」にしては如何でしょうか。少し華やかな感じがすると思います。除草も夏の季語で少し言葉が硬いように感じられますので
添削句=草の花残し公園掃除かな










(28 年9月分より)


 
原句 = 小坊主のつるつる頭涼新た
 面白い取り合わせで、季語が活きていますね。このままでもユーモアがあって良いと思いますが、少し格調を意識した添削としてみました。
添削句 = 学僧の青きつむりや涼新た



原句=金堂の屋根大らかに秋日和
 〈大らか〉を上五に持ってきましょう。金堂の屋根を修飾していることがはっきりして金堂の大きさ、ゆったりと構えた様子が見えてきます。
添削例=大らかな金堂の屋根秋日和




原句 = 庭先に匂ふバケツの稲の花
 子どもが学校から持ち帰った体験学習のバケツでしょうか?「こんなところにも実りの秋が」という驚きと喜びが感じられます。<匂う><稲の花>位置が離れているので、<匂うバケツ>と、とられそうですね。
添削例 = 庭先のバケツに匂ふ稲の花



原句= 裏山を沸かせて逝きし蝉時雨
 <湧かせ><逝きし>の動詞が二つあるので、どちらか一つにすると良いと思います。<蝉時雨が逝く>とは、あまり言わないかもしれません。
添削句 = 裏山に沸き立つやうに蝉時雨



原句=国旗揚げ川のぼる船水の秋
 ドナウ川やライン川はまさにこのような景だそうですが、日本でしょうか。川がありますので季語「水の秋」は水に関係したものではないほうが良いと思います。
添削句=日の丸を揚げて来る船秋高し



原句 = 鳥渡る屋根に石置く妻籠宿

「渡る」「置く」と切れ切れな感じが惜しいですね。

添削句=鳥渡る置石屋根の妻籠宿



原句= 蔦被ふ荒るる石塀守るごと

「守るごと」は読み手に感じてもらう部分でしょうね。まずは「石塀の崩れを覆ふ蔦葛」としてよりイメージできるように場所を入れてはどうでしょう。
添削句=城壁の崩れを覆ふ蔦葛




原句 = 独り居の金魚泡吐く静寂かな
 情景がよく浮かびます。ただ、金魚のことを独り居と擬人化したように読めてしまうので、助詞の「の」を「に」となされば良いですね。
添削句=独り居に金魚泡吐く静寂かな



原句 = 鳶の笛青きオリーブ齧りみる
上下入れ替えると一句に安定感が増すように思いました。
添削句=齧りみる青きオリーブ鳶の笛



原句=ひと棹の鯖ずし重し京土産

 <京土産>が説明になっているので、状況として捉えて・・・・
添削句=ひと棹の鯖ずし重し京帰り



添削句= 門前に合掌一礼秋遍路
  遍路は こういうものかもしれません。 春の季語の「遍路」とは別に、「秋遍路」ならでは・・・が詠めたら良いですが、難しいですね。
添削句=
山門へ深き一礼秋遍路



原句= 秋の声犬なき庭の闇深し
  寂しさが伝わって来ますね。愛犬が 亡くなったとお聞きしましたので・・・
<逝く>とされた方が、分かり易いですね。

添削句=犬逝きし庭の闇(奥)より秋の声
 




原句= ひらがなの躍る短冊天の川

 幼子が書いた短冊を「ひらがなが躍る」とは面白い発見ですね。子供らしさが出ていて、このままでもいいかと思いますが、位置を少し変えて、ひらがなに視点をあわせてみました。

添削句=短冊に躍るひらがな天の川



原句= 先ず褒めて僧の説法爽やかに
 最初に何を褒めて説法を始めたのが分かるとよいのですが、それを思い出すこともひとつの推敲でしょう。ただそれがよく分かりませんので、一般的なことで考えてみました。
添削例=爽やかや褒めて説法始まれり




原句 = 沖合に日の箭何本秋の湖

 情景は見えるのですが、「沖合」も湖のことでしょうし、「秋の湖」とダブル印象です。そうすると「秋の湖」を他の季語に変える方法があります。また「日の箭」は「日矢」が分かりやすいと思います。

添削例=湖に日矢の幾筋涼新た










いぶきネット句会(28 年8月分より)




原句=祇園会は宵宵ながら人の群れ
 宵々山、宵々々山もあるんですね。ただこの句は「祇園会」の説明になってしまいました。 「宵々山」ならではの様子を詠めたらいいですね。
添削例=人分けて宵々山の遠囃子



原句= アカペラの歌声響く夜の秋
 アカペラの練習に参加しておられるのでしょうか?どんな曲を歌っておられるのでしょう。 たとえば〈讃美歌〉だとしますと〈歌声〉だけより歌っておられる様子が見えてくると思いますが。
添削句=アカペラの讃美歌響く夜の秋



原句 = 滝壺に飛び込む子等の飛沫かな
 勇敢なお子さんたちですね。「飛沫かな」ですと、飛沫に焦点が集まるように思われるので、ここは子供たちの勇敢な様子を詠むと良いと思います。
添削句=飛沫立て子等滝壺に飛び込めり



原句 = 打水や一打ちごとの水の帯
 「水の帯」 とは素敵な表現を得られたと思いました。ここは「や」で切らず、一気に詠むと後半が盛り上がると思います。
添削句=打水の一打ちごとに水の帯



原句 = 選りて買ふ豚の蚊遣りや旅土産

 蚊遣り豚は、四日市の万古焼がほとんどのシェアを占めるそうですね。ここでは、ミつくろうミえのミやげのと、頭韻を踏むようにしてみました。

添削句 = 見繕ふ三重の土産の蚊遣り豚




原句 = 三味線の半拍遅れ冷奴
 なかなか風情のある句ですね。<半拍遅れ>は、三味線に詳しい方でないと理解しにくいかもしれません。三味線は楽器の名前なので、<音>を入れた方がよいかなと思います。三味線は三味とも言いますので、場所も特定してみて、
添削例 = 三味の音の流るる茶席冷奴



原句=相客と膝詰め合ひぬ花氷
 状況が今一つ分かりにくかったので、「膝を詰める」なら「座敷」かと思 いました。花氷が座敷に置かれているという設定で、
添削句=相客と膝詰む座敷花氷



原句=梅雨深し窯に散らばる陶磁片
 このままでも 良いと思いますが・・・陶磁片は、陶片でも良いですね。
添削句=陶片の散らばる窯場梅雨深し



原句 = 葉を摘めば根元に茄子の花ひとつ

 茄子の葉を摘んで日陰の花の日当たりを良くするのでしょうね。理屈になりやすい送り仮名「めば」が気になりました。

添削=葉を摘みて日に当てやりぬ茄子の花



原句= ジーパンの裾に飛びつく藪虱

 出来ている句ですがあえて言えば「藪虱」から、「飛びつく」という言葉は容易に想像出来ます。何故草虱が付いたのかの因果関係を入れればイメージの広がりが生まれますね。

添削例=句碑巡りたるジーパンに藪虱  或いは 草虱万葉巡りのジーパンに 




原句= 鵜飼果て舟縁に鵜ら声あげる
 <声あぐる>ですね。 出来ている句と思いますので、このままでも良いですが・・・。知らない人は、何故舟縁に声をあげるかな?と思うかもしれませんね?。舟縁に飛び乗って鳴く事でしょうか? 作者の思いと違うかもしれませんが・・・・
添削句=鵜飼果て鵜が舟縁に乗りて鳴く  又は =船縁に鵜の声上がり鵜飼果つ



原句= 受診者の唇かたき残暑かな
  出来ている句と思います。<固い>を、 眼前の景色として素直に写生してみると・・・・
添削句=残暑かな受診者の口一文字




原句= 盆踊り終えし鼻緒の赤き跡
「赤き跡」は「足袋に鼻緒の赤きあと」でしょうね。「盆踊り」は「踊り」で季語として確立してますので、ここでは上五に入るよう、「踊り果て」としました。
添削句=踊り果て足袋に鼻緒の赤き跡




原句 = はるか行く列車の響き熱帯夜

 「熱帯夜」のような新しい言葉は難しいですね。3句切れの印象を受けました。中7を動詞にすれば解決すると思います。
添削例=遠くより列車の響く熱帯夜



原句= 群青の海に雪崩るる花海桐
 海桐の花はかたまつて咲きますが、雪崩るほど豪華には咲かないのではと思いました。「雪崩るる」を少し押さえた表現にしてみてはいかがですか。
添削句=群青の海にかぶさる花海桐







 






いぶきネット句会(28 年7月分より)



原句 = 次々と妻に指示さる梅雨晴れ間

 微笑ましい夫婦像が見えます。添削句は少々大げさに詠んでみました。

添削句 = とめどなき妻の注文梅雨晴れ間




原句=まくなぎにまとはれくぐる朱の鳥居
 〈まくなぎ(蠛蠓)〉は、〈めまとい〉ともいい、それ自体に〈まとう〉 意が含まれていると思います。そこで、添削句=朱の鳥居くぐる蠛蠓払ひつつ




原句=薫風や門より出づる縄電車
 チャットでは 保育園の門下と・・・の話でしたが、保育園の門から道路では危ないですね。お寺の幼稚園での山門とすればイメージが具体的かと思います。 又・・・<より>がやゝ間延びするので、削って・・・
添削句=薫風や山門出づる縄電車



原句=木の間よりふはりと大き黒揚羽
 〈ふはりと大き〉は季語を修飾しています。揚羽蝶は大きくてふわりと優雅に飛びますよね。季語は修飾しなくても大丈夫です。
添削例=木の間より日差しの中へ黒揚羽


原句 = 母の絽の陽に透かし見る遠き日よ
 〈絽〉の着物にお母さんを偲んでおられるのですね。 〈絽〉だと織物のイメージですので〈絽羽織〉にしてみました。
 添削句=日に透かす絽羽織に母思ひけり



 

原句=水郷に響く棹歌蘆青し

良く写生出来ていますが「水郷」「棹唄」「葦青し」とイメージの重なる言葉が続いています。その結果、句がこじんまりとなっています。例えば「葦青し」を「雲の嶺」などとすれば句に広がりが生まれると思います。

添削句=水郷に響く棹唄雲の嶺



添削句=下山して耳に残りし蝉の声

 視点の良い句ですね。順序を整えて解りやすくしてみましょう。

添削句=蝉の声下山の耳に残りたり




俳句5 = 谷深く谷に降りくる蝉の声
 谷のリフレインが効いていないと思います。チャットの意見のように、 =山峡の・・・とされても良いですが、もう少し深く詠めないかな?とも思います。  
例えば・・・・=平家村谷に降りくる蟬の声    平家村とも平家谷とも言いますので、 
添削句=油蝉平家の谷へ声降らす 

 


原句= 羅の帯に白象京言葉
 <帯に白象>は 言いさした感じがしませんか? 
添削句=夏帯に白象の柄京言葉  



原句 = つゆの明駆け寄る犬の退院日
愛犬が入院していたのですね。少しすっきりわかるように上下入れ替えました。
添削句=退院の犬の駆け寄る梅雨の明



原句 = 午後二時の根上り松へ青大将
「午後二時」は内容として必要ではないように思いました。青大将の様子を描写なさってはいかがでしょうか。
添削句=根上りの松に絡めり青大将



原句=潮騒や夕日の中に夏座敷

いかにも波の音が聞こえてきそうな一句です。「夕日の中に」は「夕日の中の」として景を大きくしたいです。

添削句=潮騒や夕日の中の夏座敷



原句 = 牛小屋の屋根に草生す半夏生
 <草生す>は、(くさなす)と読むのでしょうか?<草生ふ>が、よく使われ言葉でわかりやすいと思います。
添削例 = 牛小屋の屋根に草生ふ半夏生





原句= 暮れなずむ天に雲居や月涼し

 「天に雲居」とありますが、「雲居」は雲のあるところですから、「天」そのもので意味がダブっていますね。「天の雲居」を簡単にして下さい。
添削例=暮れなづむ雲の切れ間の月涼し



 
原句= 故郷は海岸砂丘浜おもと
 回想句でしょうか、ただここには「ふるさと」に「海岸」「砂丘」「浜おもと」を並べて取り合わせた報告に思えました。もう少し材料を絞って、残った物で思い出して写生してみてはいかがですか。例えば、
添削例=ふるさとの砂丘の果てに浜おもと
 








(28 年6月分より)


原句 = 蝮蛇草崩るる儘の無縁仏
 蝮蛇草は蝮草の表記で良いと思います。このままですと、蝮草が崩れているのかとも取れます。崩れるままなのは、無縁仏なので、<や>で、はっきりと切れを入れてみました。
添削句 = 無縁仏崩るが儘や蝮蛇草



原句 = 見はるかす昭和は遠し麦の秋
 「昭和は遠し」からは、どうしても草田男の「明治は遠くなりにけり」の句を連想しますね。思い切って、草田男の句の本歌取りで添削してみました。
添削句 = 麦秋や昭和は遠く去り行けり




原句=楪の一樹の木暮猫ねまる
 「木暮」は「木下闇」と同じ意味の季語ですね。<一樹>が分りにくいので、
=楪の大樹の木暮猫ねまる
<楪の大樹の木暮>が説明のようになるので、明るいイメージの「緑陰」を使って、
添削句=楪の緑陰に猫ねまりたる



原句= 片蔭に白衣の親子昼餉とる
 白衣(びゃくえ?)は普通医者、看護師 親子の医師、看護師。 白い服を着た人? やや違和感がりますが、切れを入れて・・・
添削句=昼餉とる白衣の親子片かげり または 夏木陰




原句 = 振り下ろすバチの揃ふて菖蒲園
 副主宰が6月号で切れについて述べておられましたが、「揃へり」となさると良いと思います。
添削句=振り下ろす撥の揃へり菖蒲園



原句 = 廃窯へ入るや藪蚊に纏はるる
 藪蚊に纏われたので入ったのか、入ってから藪蚊に纏われたのかが分かりづらかったです。二例を考えてみました。
添削句=廃窯へ入れば藪蚊に纏はるる
     =廃窯へ入るや藪蚊に纏はれて



原句= 近江路や稲と綾なす麦の秋
  「麦の秋」は季節・気候をいう季語ですので、この句の場合は「麦」そのものを言った方がいいと思います。 稲も麦も季語ですし、季重なりが気になりますが、<綾なす>ことを言わないといけませんので、敢えて「熟れ麦」と「青田」にしてみました。
添削句=熟れ麦と青田綾なす近江かな



俳句5 = 門川に卯の花香る昼下り
 まず「卯の花」は匂わないことに注意したいと思います。童謡の「夏は来ぬ」の「卯の花の匂う垣根に」というフレーズは本来は間違っているのですが、今は「匂うがごとく咲いている」という意味だと聞いたことがあります。また「門川」「卯の花」「昼下がり」と一寸材料が多いと感じました。ここは季語と物1つでよいと思います。まず「昼下り」を活かすなら「卯の花の咲きこぼれつぐ昼下り

次に「匂ふ」のフレーズを入れたいなら、「門川に匂ふがごとく花卯木 




原句 = さざなみの風生れにけり代田水

 風とさざなみ は付きすぎの感ですから、当たり前の句になりがちです。代田」は掻きますので最初は濁っていますが、時間がたてば澄んできます。そこを詠まれたらどうでしょう。ここではそんな「代田水」の様子を写生して添削させていただきました。

添削句=細波の立ちて澄みゆく代田水




原句= 真つ直ぐに光る鉄路や青田中
 この仕立て方は、鉄路の形容(感動)が、<真つ直ぐ>と<光る>に割れています。先ず、句意をはっきりさせるには、
真つ直ぐの光る鉄路や青田中」  となりますが、分かり易く、リズムも整えて・・・・

添削句=青田中鉄路光りて真つ直ぐに



原句=足袋跡の著き棚田や早苗揺る
 
足袋跡も早苗も同じ場所ですので、<や>で切ると ゴチャゴチャしますね。感動も<著き><揺れる>と、二つに分かれます。 2句詠むことが出来ると思います。
添削句=
早苗田に父の足跡著きかな

添削句=植ゑ終ヘて早苗に山の風通ふ



原句=流鏑馬のひづめ残れり木下闇
 ひづめの「跡」が残っていたのでは? 〈流鏑馬のひづめの跡や・・・〉とすれば〈残れり〉はいらないですね。 また季語「木下闇」は適当でしょうか。再考する余地があるのでは?
添削例=流鏑馬のひづめの跡や緑さす




原句 = 渓谷の木の芽育む瀬音かな

 この句の「木の芽育む瀬音」は工夫されてところかもしれませんが、「育む瀬音」に無理があると思います。「育む」は読み手に感じてもらうところでしょうね。添削では「渓谷」「瀬音」などの同意語をまとめ「渓流」とし、木々の芽吹きに主点を置いてみました。

添削句=渓流の高鳴る朝木々芽吹く



原句= 茄子の苗寡黙な店主の津軽弁

 店主の軽弁が発見ですね。ちょっと惜しいのは中8になっていることです。添削では言葉の整理、選択をしてみました。

添削句=寡黙なる茄子苗売の津軽弁


 








(28 年5月分より)



原句=夫しまう石油ストーブ青嵐
 ネット句会で「報告のようだ」「〈青嵐〉は唐突な季語」との意見がありました。〈石油ストーブ〉は〈ストーブ〉でも分かるので、
添削句=ストーブを仕舞へる夫や花冷ゆる




原句=鳴き声に姿を探す初つばめ
 良い句ですが、「姿を探す」が気になりました。
添削句=初つばめ鳴きつる方へ目をこらす



原句 = 溪谷の岸鳴き交す匂鳥
 渓谷という言葉には「岸」も含まれていると思います。二音を省略してみました。「の」より、「に」の方が場所として特定できるでしょうか。
添削句 = 渓谷に声競ひ合ふ匂鳥



原句 = 塀越しの道にこぼるる花蜜柑
 蜜柑を庭に植えているお宅のものですね。情景はわかりますが、例えば道に を 省略して、香りや匂いもこぼれているとしては如何でしょうか。
添削句=塀越しに香りもこぼれ花蜜柑



原句 = 白シャツの爺の速歩や草野球
 草野球で、お爺さんが歩いているように見えたのですね。白シャツが季語として効いているかどうかと思いました。草野球には広がりのある季語が良いのではないでしょうか。
添削句=若葉風爺早足の草野球



原句= 梅を干す老人施設のベランダに
 <老人施設のベランダ>に梅が干してあるという景色は見えますが、人が感じられるようにしたいですので、<介護士>をいれてみました。
添削句=腕まくりして介護士の梅を干す



原句= つちふるや造り酒屋の古看板

 よくできた句だと思いますが、見慣れた句のような気がしました。仕立て方に新鮮味が欠けるようですね。どこがいけないとかではないので、添削は難しいのですが、「つちふる」と「古看板」が付き過ぎのような感じです。「古看板」の様子を写生されたらいかがでしょうか?

添削句= 霾りて色失なへり金看板



原句= 新緑に刃先かざしぬ研物師

「新緑」と「研物師」との取り合わせがいいですね。「研物師」は「研師」と同じですので、ここでは「研師かな」と切りましょうか。

添削句=新緑に刃先かざせる研師かな




原句=耕耘機村に高鳴る黄金週間

 「耕耘機」も季語ですから「黄金週間」は使わずに添削しましょう。また三句切れになっていますから、これも直しましょう。今はゴールデンウィークに家族総出で田植えを終わらせるところも多いようです。 黄金週間を連休に置き換えてみました。
添削例=連休の村に高鳴る耕耘機



原句= 地蔵守る媼のせなか緑さす
 <守る>は、世話をすることでもありますので、もう少し焦点を絞ってはいかがでしょうか?
添削句= 緑さす地蔵を拝む婆の背



原句= 郭公のこだま峠の六地蔵
 句の感動が 2つに分かれていると思います。郭公か地蔵か どちらかをもう少し深く詠まれると良いと 思いました。
添削句=郭公や峠に寂びし六地蔵
    = 郭公のこだま沁み入る六地蔵



原句 = 雨上がり薄紅敷ける花並木

 「花並木」と具体的に詠むのも良いですが、単に「桜」とした方がむしろ読者の想像力が広がるかもしれません。

添削句 = 雨去りて薄紅敷ける桜かな




原句= 木漏れ日や揃ひて揺るる藤の房
 木洩れ日に藤が揺れているのですから、「木洩れ日や」と「や」で切るのはおかしいですね。本来は「木洩れ日に」と続くのでしょう。一寸詠みにくいので、上下をひっくり返し、「木洩れ日」を「日の斑」に直して、
添削例=藤の房揺れて日の斑のこぼれけり



原句=見はるかす花また花の峡の里
 「峡」も「里」も同じような田舎の村と思えますので、ダブり表現のように思えました。ここは具体的な固有名詞が似合うように思えました。具体的な固有名詞が思い浮かびませんので、一例として
添削例=高遠で花また花を一望に
 



原句 = 泡吹かす蟹に噛まれし悲鳴揚げ
 言おうとしていることが多すぎるようです。動詞の多様も緩い句になっている要因でしょうか。三句切れにもなっているようです。蟹も夏の季語ですがここは参考として「磯遊び」という春の季語を使ってみました。
添削句=蟹採りの子等の悲鳴や磯遊び



原句= 石鹸玉吹きつつ母を待つ子かな
 一句が情景の説明に終わっているように感じました。また「母を待つ」があれば「子」省けるでしょうね。
どんな様子なのか目に見えるような写生があればと思います。
添削句=シャボン玉屋根まで飛ばし母を待つ











いぶきネット句会(28 年4月分より)



原句=太りたる銀杏の芽や雨夜来
 一般的に<ぎんなん>はイチョウの実を連想するので<銀杏(いちょう)の芽>と読ませる方がよいと思います。<太りたる>は少しオーバーな気がします。調べも良くして、
添削句=銀杏の芽夜来の雨に解れたり
    =銀杏の芽夜来の雨に膨らめり



原句=朧夜や宴果て帰路のちどり足
 いい酒ですが、危ない?ですね。<宴果て>と<帰路>とややかぶるかな?<帰路>は省けますね。
添削句=朧夜や宴の果てのちどり足



原句=
一島をぐるりと見晴らし山笑ふ
 まずは中8になっているの破調を直し「見晴らす」と「ぐるり」の言葉のだぶりを解消させたいですね。添削例では作者の立ち位置を明確にして一句のイメージがはっきりさせてみました。参考にしてみてください。
添削句=高みより見晴らす島や山笑ふ



原句= 飼犬にボール投げやる日永の子
「飼い犬」は「愛犬」とすれば気持ちが籠りますね。また添削例では「投げやる」は「ボール遊びや」として本人も楽しんでいる場面を想定してみてはどうでしょうか。

添削句=愛犬とボール遊びや日永の子



原句 = 木仏彫り春に微笑む顔となる
 円空仏のあたたかな微笑を思い出します。「微笑む」と「顔」は言葉が重なっていると思います。<春に微笑む>が、もっと具体的になると良いです。
添削句 = 微笑みの仏彫りをり春の昼



原句= 紙風船ひとつ叩いて孫は逃ぐ
 「ひとつ」は、いろいろ解釈出来ますね。「孫」も、幼児・園児・小学生等 考える事が出来ます。 

添削句=紙風船叩きつぶして児が逃ぐる



原句=城壁の裾に真白き鼓草
 このままでも 良いかもしれません。城壁は、いろいろな所にありますね。事実と違うかもしれませんが、
もう少し焦点を絞って、「城垣」にすると、景色がイメージしやすいかもしれません。
添削句=城垣の裾に真白き鼓草



原句 = 鳥雲に別れの挨拶せぬままに
 季語が良いと思いました。突然のお別れがあったのでしょうか。中八音の調べを整えて「挨拶」を「言葉」としました。
添削句=鳥曇に別れの言葉述べぬまま



原句 = 春雨に赤松の幹艶めけり
 良い感覚で写生されていると思いました。ただ「に」が入ると経過の説明のように感じられますし、取り合わせの句として、ここは「や」で切り、「艶めける」とする方が良いと思いました。
添削句=春雨や赤松の幹艶めける



原句 = 風邪の子に吉野葛溶く母がゐて
 リズムの流れのよい句です。ただ下五「母がゐて」が感覚的な感じがします。ここでは素直にそのままを詠まれたらいかがでしょうか。中七と下五を入れ替えてみました。
添削句=風邪の子に母の溶きやる吉野葛



原句 = 公園にミモザ咲きたり日曜日
 休日の、のんびり晴れ晴れとした気分が伝わる句ですね。朝の様子にすると、これから一日が始まるわくわく感も出ると思います。
添削句 = 日曜の朝の公園花ミモザ



原句=酒樽の傍の賑はひ花万朶
  花の下、人々の楽しげな様子が描かれていますね。ただ、酒樽の「傍」よりも酒樽を「囲む」としたほうが より一層賑わいを表現出来るのではないでしょうか。さらに賑わいと言わずに賑わいを表現できたらと思いました。
酒樽を囲む賑はひ花万朶  
添削句=肩越しに覗く酒樽花万朶




原句=
酌み交はし久闊詫びる花の下
 伊吹嶺俳句では旧かな使いにしますので「詫びる」は「詫ぶる」ですね。<酌み交はし><詫びる>という動詞二つの並列が気になりました。切れを入れるため語順を入れ替えて・・・
添削句=久闊を詫びて酌みたり花の下 



原句=釣人の頬撫づる風春名のみ
 「春名のみ」は「春は名のみ」の早春賦の一節を言いたかったのでしょうか。その試みもよかったと思いますが、「春名のみ」では詰まりすぎのような印象でした。はっきりと「春は名のみ」を詠み込んでみてはいかがですか。
添削例=釣り人に春は名のみの風撫づる



原句=誕生日に届く鉢植チューリップ
 誕生日にチューリップが届くだけで十分詩情がありますし、「鉢植」はなくても句意は損ねません。リズム感を考えてみましょう。
添削例=チューリップ届く朝(あした)や誕生日
   ただ「朝」がよいか、「朝」をいろいろ考えてみて下さい。










いぶきネット句会(28 年3月分より)



原句 = 雛の客かしこまり居る男孫

 可愛い様子が目に浮かぶようですが、男孫はやや窮屈な表現ですね。自分のお孫さんとしても、男の子と詠み、かしこまった様子を具体的にすると良いと思います。
添削句=膝揃へ正座の男の子雛の間



原句 = 神苑のぬくもりにゐて梅見かな
 良い感覚ですが「ぬくもりにゐて」がやや抽象的な印象ですね。
添削句=神苑の陽だまりにゐて梅見かな




原句 = 枝先の先の先まで枝垂梅

リフレインによって「枝先」を強調しています。ただ三度続けるのは如何でしょうか?「枝先の先まで」くらいにして、中七、下五を充実させるのも良いでしょう。そこで「枝垂梅」の様子を詠まれたらいかがでしょうか。ここでは「梅真白」としてみました。
添削句=枝先の先まで枝垂れ梅真白



原句 = 炭団坂一直線に恋の猫

 うっかりとやってしまいますが上五下五が名詞仕立ての俳句は、煙管俳句などと言って調べの上からも句意の曖昧さからも避けたい作句法です。添削例では中七を具体的にして調べを整えました

添削句=恋猫の一気に登る炭団坂




原句= 青饅や箸先嘗める手酌酒
 原句の「嘗める」は 文語では「嘗むる」となりますね。切れ字の「や」は外して、箸と青ぬたは続けた方がよく解ると思います。
添削句=
青饅の箸先を嘗め手酌酒
 箸と言えば先はイメージ出来ますので・・・以下でも良いかと思います。
添削句=青饅の箸嘗めながら手酌酒



俳句2 = 百態の仕草の雛の吊るされて
 <百態>に< 仕草>は含まれるのでは? 原句は、「百態の吊し雛」で言えてしまいますね。
添削句=海風に揺る百態の吊し雛



原 句=軍刀を入るる下駄箱春愁
  <軍刀を入るる下駄箱>というのが特殊でしたので初めて読んだ時は、わかりませんでした。 政府要人の来客が多かったので軍刀入が靴箱に備え付けてあったのですね。 この句は語法上問題はないと思いますが、感動があまり伝わってきませんでした。 語順を入れ替えて、切れを入れてみました。
添削句=下駄箱に軍刀入や春愁



原句 = 夜半亭の墓所に散り花春の雪
 多分赤い椿でしょう。 季重なりにならないよう花にしましたか花だとさくらになって矢張り季重なりになりますね。花ははずして墓所と春の雪の句にしてはいかがでしょう。私は、夜半亭が蕪村の師匠とは知りませんでしたまた一つ勉強になりました ありがとうございました。添削句=夜半亭の墓所を覆へり春の雪



原句 =
畦を塗る農夫に遠き日の親爺
 情景と想いが伝わりますね。言葉を選択・整理することでより句が引き締まると思います。
添削句 = 畦塗りの農夫に遠き父の影




原句= 日を返す葉影の闇に藪椿
 日の当たる葉の裏は「闇」というのは一寸オーバーだと思います。ここは葉の裏という表現だけでよいのではないですか。
添削例=日を返す葉陰にあまた藪椿



原句=ものの芽のまつすぐ上を向いてをり
 木の芽など「ものの芽」は一般に上を向いています。上を向いているだけでは、「ものの芽」の説明になってしまいます。上を向くだけでなく、さらに具体的な写生を考えてみて下さい。

添削例=ものの芽の上向く空の青さかな




原句 = 風光るえくぼも同じ双子かな
 可愛い景ですね。季語も良いと思います。<えくぼ>は、<ゑくぼ>と表記します。「風光る」で切れますので、下五の<かな>で切れが二つになります。
添削句 = 良く笑ふ双子のゑくぼ風光る



原句=梅真白太平洋の青さかな
 上五の「梅真白」で軽い切れがあり、下五の「かな」は強い切字です。   一句のなかに切れが二つあると句が二分してしまいます。 「どこまでも」で太平洋の雄大さを表現しました。
添削句=どこまでも青き海なり梅真白




原句=春光や天使の刺繍天蓋に
 大変きれいなイメージの句で、このままでもよいのですが、〈入れ替え〉の方法を使うと調べがスムーズになります。季語も「春光」を踏まえて、「春日影」としたらどうでしょうか。
添削句=天蓋に天使の刺繍春日影










いぶきネット句会(28 年2月分より)



原句= リズム良きどんでんかんや鍛冶始

 良い句と思いますが「どんでんかん」でリズムの良さは含まれていますね。省略した5音で鍛治始めの様子を写生してみてください。

添削句=鍛治始どんてんかんと打ち合へり




原句 = 山腹に描くシユプール深雪晴
 シュプールと深雪晴が季語です。シュプールと言えば雪という必要はありませんので、別の表現で晴れていることを言うと良いと思います。また、「山腹(さんぷく)に描く」ですと、作者はスキーをしている誰かを見ている感じがしますが、「山肌(やまはだ)に刻む」とすると、作者自身が滑っている感じがして、より臨場感が増すと思います。
添削句 = 山肌に刻むシュプール光る嶺



原句=リストバンド切って退院冬の晴 
 病院で使う<リストバンド>とは、手術などで患者を間違えないように、名前などを記して手首に巻くバンドのこと。<切つて>は、ストレートなので、言い回しを柔らかくして、
添削句=リストバンド外し退院冬の晴
添削句=リストバンド解き退院や冬の晴




原句 = 庭の木の葉擦れの音や冬籠
 このままでも良いのですが、冬籠りを前に持って来て 全体に冬籠りの味わいが伝わるといいと思います。原句では、音が<や>で強調されていて、冬籠りが少し付け足しのようにも取れます。
添削句 = 冬籠庭木の葉擦れ聴きながら




原句=大鷹の気配一斉鳥飛べり
 この句は具体的な鳥が見えれば、情景がよく見えたと思います。また飛ぶのは当たり前でこの句の場合は逃げたことが分かる表現だけでよかったと思います。
添削例=大鷹の気配に雀散り散りに



原句= 節分や鬼に一服茶を点てり
 切れ字の「や」に注意しましょう。「や」は大きな断絶の時に使います。中7以降も節分の鬼のことを詠んでいますので、上5は「節分の」ではないかと思います。また「点てり」とは言いません。「点つ」は下2段活用であるに対し、「り」は4段活用の已然形にしかつながりません。両方を考えて、
添削例=節分の鬼に一服茶を点つる
 




原句 = 風神の愛づるか詫助揺れ止まず
 風が強いの風神が愛でてるのでしょうか。

添削句=風神や侘助一ト日揺れ止まず



原句=筒で聞く水琴窟や春きざす
 耳を竹筒に押し当てて聞く水琴窟の音色を楽しまれたのだと思います。ご自分がされたように<筒で聞く>と素直に詠まれていますが、やはり説明的のように思います。そこでもう少し大きく捉えて
添削句=春めくや水琴窟に耳寄せて



 
原句= 濠下の船着き場跡や雪の川
 丁寧に写生をされている作者の思いが 伝わって来ますが・・・・
場所2つ(濠と川)が気になりました。場所が分かれて使われていると 尚 散漫な句になりますね。 <下><場>は 省いても意味は通じます。船着き場の雪の様子は どうでしたか?
添削句
外濠の船着き場跡雪積もる
    外濠の船着き跡や雪積もる



原句= 風花やひときわ上がる子等の声
 <ひときわ>は<ひときは>ですね。辞書には、「ひときわ美しい」「ひときわ目立つ」という形容詞を続ける使い方がしてありました。
添削句=
風花へひときは高き子等の声 



原句 = 虎河豚の重なり合ふて水槽の隅
 先ず「合ふて」は「ウ音便」により「合うて」を用いることが多いです。 字余りを下五音におさめるため以下の様にしてみました。
添削句=虎河豚の重なり合うて水槽に
   
 または 水槽の隅を上五に置きますと  
     =水槽の隅に虎河豚重なれり



原句=冬ざれや馴染む鍋ほど傷みたる
 「馴染む鍋ほど・・・」は少し主観がはいっているのでは?
せっかく馴染んだ鍋が傷んでしまってがっかりした、その気持ちを句に込めたかったのではないですか?
添削句=馴染みたる鍋の傷みや冬ざるる



原句= 太鼓の音だんだん早く鷽替ふる

「太鼓の音」と「だんだん早く」の副詞使いが少し気になります。「太鼓」は音がつきものなので、省略できると思います。

添削句=鷽替の太鼓いよいよ高まれり













いぶきネット句会(28 年1月分より)




原句 = 麦の芽の風になびける青さかな
 麦の芽」は冬の季語、「青麦」は春の季語です。麦の芽はもともと青いものですので、<青さ>は省いても良いかと思います。
添削句 = やはらかき風に靡ける麦芽かな



原句 = 唐橋に雫こぼして冬の雨
 雨はほぼ雫(雨滴)とおなじことなので被ってますね嫋々と冬の雨の降る唐橋が写生されると抒情のある佳い句になりますね。橋に降るでなく 焦点を絞れば雫も生きてくるのでは

添削句=唐橋の高欄冬の雨しずく

 



原句=晴着着て買ふ甘栗や初詣

 句意としては分かりますし形も出来ていますが、動詞が続くので分けてすっきりとしましょう。

添削句=晴着着て甘栗買へり初詣



原句 =降誕祭横顔美しき弥撒ベール

 上五に「降誕祭」がありますから「ベール」だけで分ると思います。横顔に睫毛の長さを詠んでみてはいかがでしょう。

添削句=降誕祭ベールの隠す長睫毛




原句= 神苑の砂礫に縋る冬の蜂
  元気なく痩せ細っている「冬の蜂」にはあなたが感じられたように縋っているイメージがありますね。<縋る>という言葉は季語に語らせ、ご覧になった実景を詠まれるといいと思います。 読む人が縋っているようだと感じてくれるはずです。
添削句=神苑の砂礫に這へり冬の蜂       
添削句= 神苑の砂礫を歩く冬の蜂



原句 = 年甲斐も無くて十年日記買ふ
 ご年齢を存じ上げませんが、いくつになられても十年日記を買うのに年甲斐が無いということは無いと思います。背広も新調する位の心意気で行きましょう。
添削句 = 新調の背広で十年日記買ふ



原句= 去年今年街のみ空にテレビ塔
 難しい季語へのトライ、良いですね。この句にはテレビ塔がありますから容易に想像の付く「街の」は省けますね。省いた分で写生をしてみましょう。 
添削句=テレビ塔点るみ空や去年今年 



原句=追ひ付けばまた先を行く寒雀
 普通、雀は非常に臆病で追いつく前に逃げてしまいます。実際の雀の生態を見て、雀との微妙な距離感が出るとよいですね。
添削例=近づけばその先を行く寒雀



原句=山眠る山懐の百観音
 山の麓に百観音があるのでしょうね。この句、「山眠る」と「山懐」の2個所に山がダブっています。これを避けるだけでよくなると思います。
添削例=懐に観音抱き山眠



原句=贈られしサイズの小さき半コート
 息子さんからのプレゼントだそうですね。でしたらサイズのことは言わなくてもよいのでは。作者の嬉しかった気持ちを句に込めてみては?
添削句=当ててみる子が見立てたる半コート



原句 = 参道に破魔矢の鈴の響き合ふ
 年らしい情景が見えてくる佳い句だと思います。ただ、「参道」は「破魔矢」で解る情景ですので、省けますね。またひびき合っているのは「鈴と鈴」でしょうか? 鈴が響き合う、のも少し無理があるように思います。「鈴の音の澄む」として、神苑の清々しさを表現されたらいかがでしょうか。

添削句=賜りし破魔矢の鈴の音澄めり



原句= 地震の地の表札洗ふ寒の水
 心に沁みて来るような無常感が漂う佳い句ですが、「地震の地の表札」が大きい景のなかの小さいことを詠まれているようで、一読理解しにくいです。「地震の地」の「地」は省略して、「地震の跡」としてみました。
添削句=寒水に表札洗ふ地震の跡



原句= お互いに安否気遣ふ初電話
 <安否気遣う>は 初電話でなくても ありそうな事と思います。新年の季語の初電話ならではの、明るい内容が良いですね。作者の思いと違うかもしれませんが…・例えば
添削句=
息災を先ずは述べ合ふ初電話
添削句=
まず声の若さを称ふ初電話



原句=
筆を持つ手の痺れたり年賀状
 「年賀状」が、唐突ですね。 賀状書く手が痺れたのではないでしょうか?<書く手がしびれた>事に 詩があるかどうか 迷うところですが…
添削句=
夜の更けて賀状書く手の痺れたり

















いぶきネット句会(27年12月分より)



原句 = 大原の坂道暗く石蕗咲けり
 大原は町から離れ、坂が多い事も浮かび、良い描写だと思いました。「暗く」ですと「石蕗の花」が暗いとも読み取れるように思います。暗い坂道の傍らで石蕗の花が明るかったと思うので
添削句=大原の暗き坂道石蕗咲けり



原句 = 骨董屋を覗き込むなり懐手
 面白い情景ですね。骨董店で何か具体的なものを覗いたとしては如何でしょうか。
添削句=懐手骨董店の壺覗く



原句 = 土間冷えや女中部屋へと掛け梯子
 <土間冷え>は??. 女中部屋が音数多くて苦心なさったでしょう.
梯子は土間からですから、土間を省略できませんか。 俳句は引き算とよく言われます。
添削句=底冷えや女中部屋への掛け梯子



原句 = 冬ざるる固閉づ島の芝居小屋
 <閉づ>が上二段活用なので <閉づる>とならないと三段に切れます。どの位の島か分かりませんが三段切れ解消のために・・・
添削句=冬ざるる閉ぢし小島の芝居小屋



原句= 冬座敷鴨居に掛かる血判状
 上5から中7への調べが詰まっていますね。それは上5下5の名詞が原因かと思われます。
添削句=血判状掛かる鴨居や冬座敷



原句= 峠路の小さき御堂木の実落
 峠のお堂には何が祀ってあるのかわかるといいですね。
添削句=木の実落つ峠に小さき地蔵堂



原句= 紅葉見る人びつしりや橋の上
「紅葉狩り」という季語がありますからそれを使ってみましょう。
また人に対して「びっしり」という言葉が合わない気がしました。添削例は京都での嘱目ということを踏まえて。
添削句=紅葉狩る人で賑はう渡月橋
 


原句= 雪吊りの庭師声かけ縄下ろす
 何なにをしてどうした、という説明俳句だと思います。「声かけ縄下ろす」が問題点ですね。「縄下ろす「は「縄飛ばす」とも言いますので、「雪吊り」にかかるようにして、「庭師の声」に焦点を絞ってみました。
添削句=縄飛ばす雪吊りの声響きけり



原句 = 秋の暮鞍馬の宿の灯り濃し
 リズムを少し良くしたいですね。下五の「灯り濃し」は「紙燭明り」として、「鞍馬の宿」の奥ゆかしさを表現してみました。「鞍馬の宿」は「鞍馬宿」で分ると思います。
添削句=秋の暮紙燭明りの鞍馬宿



原句=渦をなし高みゆく百合鴎かな
 感動が<渦>と<高み>と2つありますので、<渦>を1句の中で 効かせると 尚良いと思いました。
添削句=百合鴎橋越ゆるとき渦なせる



原句=追ひ焚きの一度上げたる寒さかな
 最初「追ひ焚き」が分かりませんでした。何故「一度」なのかも分かりませんでした。あとで風呂の追い焚きのことだと分かりました。その風呂の追い焚きであることを分かって貰うためには、具体的な風呂を出した方がよいと思いました。
添削句=追ひ焚きの一度上げたる柚子湯かな




原句=小走りに道を横切る落葉かな
 「小走り」も「横切る」も落葉の擬人化ですね。擬人化の動詞が2つあると、冗長になると思いました。1つを他の言葉で置きかえてみてはいかがですか。
添削句=次々と道に吹かるる落葉かな



 
原句 = 初雪に児らだんだんと反り返る
 微笑ましい句ですね。意味的に上五は中七下五とつながっていますので、原句のように一句一章で仕立てて何の問題もありませんが、この句の場合は敢えて上五を「や」で切ることにより、初雪に気付いた瞬間の驚きや感動も伝わるようになると思います。
添削句 = 初雪や児らだんだんと反り返る.



原句 = 歩き来て小さき小さき冬いちご
 「歩き来て」とありますが、周りの景が見えてきません。思いがけず冬苺を見つけた瞬間の感動が伝わると良いですね。
添削句 = 道の辺の灯点るやふな冬苺



原句 = 敦盛の海煙らせて冬の雨
 青葉の笛で有名な平敦盛の最後の場面が思い浮かびます。中七で敦盛を悼む心が感じられます。このままでも良いのですが、季語を上五に持ってくると大きな景となって、余韻が出ると思います。
添削句 = 冬の雨敦盛の海煙らせて



原句= 夕間暮れ干し大根の白き村
 美しい景ですね。詩情があって良いと思います。<白き村>だと村中が白いように見えます。場所ははずして、干し大根に焦点をしぼりました。干大根は<ほしだいこ>と読みます。
添削句 =干大根白さ際立つ夕間暮れ



原句= 文机に頬杖つけば一葉忌
 文机が良いですね。気になった所は、<つけば>の<ば>です。頬杖をつけば一葉忌が来た・・・のでしょうか? 葉忌と、気が付いた・・・・のでしょうか?
忌の句を歳時記で 読んでいると…「老残の鶏頭伏しぬ嵐雪忌  波郷」がありまので参考にしてみました。
添削句=文机に頬杖つきぬ一葉忌
















いぶきネット句会(27年11月分より)



原句=秋惜しむ籠に草花溢れさせ
 秋の風情が出ていて、出来ていると思いますが、思いをご自身のご家族等に引き寄せてみてはいかがでしょうか。
添削句=母恋ふや籠に秋草溢れさせ



原句 = 刈田原鎮守は遠く森の中
 句意は伝わりますが、「刈田原」には既に広いイメージがあり「遠く」を入れなくてもよいのではないかと思いました。一句の中に 朝夕などの時間帯を入れると 読み手に情景がよりはっきり伝わると思います。
添削句=刈田原鎮守の森へ朝日さす




原句 = 自転車の鍵なくしたる暮の秋
 「暮の秋」は、秋の終わりの頃という意味で、数日~数週間というような比較的大きな時間を感じさせます。自転車の鍵を失くしたのは一日の中の特定の時間でしょうから、季語は秋の夕暮れという意味の「秋の暮」の方が良いと思いました。
 また、「鍵なくしたる」だと、すでに終わってしまった事柄になりますので、「鍵探しをる」と、現在進行形にした方が句がリアルになり、秋の暮らしい少々切羽詰まった気持ちも感じられると思います。
添削句 = 自転車の鍵探しをる秋の暮



 
原句 = 秋袷若きら多き二年坂
 京都の二年坂には着物を着た若者たちが大勢行きかっているとのこと。よい光景をごらんになりましたね。中七の「若きら多き」がぎくしゃくします。「若者多き」でもいいと思いますが、具体的に男性か女性かを詠まれた方が良いと思います。
添削句 = 二年坂男ざかりの秋袷



原句= 緋袴にスマホちらつく神の留守
 現代俳句の象徴でしょうか? 最近はよく句の中で使われていますね。「スマホ」はやはり「スマートフォン」と詠まれた方がいいと思いますが、いかがなものでしょうか。「スマホ」の略語が一般的かな?「ちらつく」は「緋袴」に似合わないですね。
添削句 = 緋袴にスマホ覗かせ神の留守  又は スマートフォン緋袴に差し神の留守 



原句=朝夕の日課の散歩草の花
 日課としている朝夕の散歩道にも 秋の花が咲き、おしみじみ秋になったと感じられた。<朝夕の日課>という説明がいるのでしょうか。
添削句=屈見ては草の花摘む散歩道 又は、伊吹嶺に真向かふ散歩草の花



原句 = 枯蓮を抜けきて風の粗さかな
 風も枯蓮を抜けると粗く感じますね。<抜けきて> か <抜け来し>でしょうか?

添削句=枯蓮を抜け来し風の粗さかな



原句 = 天平の石笛の音や蚯蚓鳴く

 石笛の音を生かためには音ではない季語が良いと思います。ここでは「秋気澄む」を使ってみました。
添削句=天平の石笛の音や秋気澄む



原句 = 眠たがる母起こしゐる秋の宵

   お母様への思いををこめて、「眠たがるは」「まどろめる」に「起こしいる」は「声かく」としてみました。

添削句=まどろめる母に声掛く秋の宵



 

原句= 鉄鎖手繰りて登る秋の山

 鎖場を登る緊張感や恐怖感などを考えると「秋の山」という季語は合っているでしょうか。

添削句=冷やかや岩場に手繰る太鎖




原句= 彫り深き峠の碑文字秋の風
 出来ていて このままでも良いと思いますが…碑の姿が 鮮明にイメージ出来ると尚良いですね。峠の名前が書いてあるのでしょうか? 句碑かもしれませんね。

=文字著き峠の句碑や秋の風  
 添削句= 彫り深き峠の句碑や秋の風



原句= 山茶花や国宝展の帰り道
 <帰り道>が少し口語文のようです。また上五の花の季語は、何をもって来ても良いので上五で切ってしまうと、季語が動くでしょうか。
添削句=国宝展出で山茶花の散り継げり



原句 = 鉈彫りの羅漢微笑む小春かな
 <鉈彫りの羅漢>がわかりにくいので、円空仏であれば、具体的に名前を入れてもいいと思います。
添削句 = 小春かな円空仏の笑み深き



原句 = 風強し湖の向こうに秋落暉
 秋の抒情に対し、上五がちょっと強い感じがしました。秋の風を表す季語に「金風」というのがありますので、それを使った添削としてみました。
添削句 = 金風の湖を染めたる落暉かな



原句= 鶏頭花艶々として枯れにけり
 「艶々として」と「枯れにけり」が逆の印象を与えると思いました。現実として枯れ色に艶を感じたのであれば、その逆の印象を対比して詠む方法があると思います。
添削句=鶏頭花艶持つままに枯れゐたり



 
原句=遠来の子らに地元の今年米
 気持ちの籠もった句ですね。ただ「地元の」に一寸引っかかりましたが、地元とは作者の住んでいる地産の米と解釈するのが普通ですが、思い切って作者のふるさとして強調する方法もあると思いました。
添削句=遠来の子にふるさとの今年米
 



 












いぶきネット句会(27年10月分より)




 

原句== 半眼の阿弥陀如来や秋入日

 如来さまと秋の入日の句ですが「や」と切らずに入日と繋がれば如来さまに入日が当たっているようになり「半眼」が生きてくるように思います。まぶしくて半眼に在すかのように・・・。

添削句=半眼の阿弥陀如来へ秋入日

あるいは=半眼の如来へ秋の入日濃し



 

原句== 小振りなる秋のなすびの色の濃し

 茄子の写生が「小ぶり」と「色の濃し」と二つあります。焦点を絞って言わんとすることをはっきりさせましょう。また「色の濃し」もはっきりと色を示したほうが良いでしょうね。

添削句=朝採の秋のなすびの藍深し



 

原句= 新米を送るといふ声はずみをり

 思いのこもった句で惹かれましたが中8が惜しいですね。「という声」の口語を「てふ声」と文語にして、中7に納めましょう。

添削句=新米を送るてふ声弾みをり

或いは=新米を送ると母の声弾む



 
原句=畑に降る音なき雨や昼ちちろ
 出来ている句とも思いますが、雨に<降る>は 省いても良いですね。<畑>は、どんな畑か 読み手に情景が浮かぶと良いと思います。桑畑・菜畑・庭畑・寺畑等考えられます。
添削句=桑畑に音無き雨や昼ちちろ



 
原句= 三世代を莚に集め運動会
 <集め>に主観を感じます。眼前の景色をそのまま詠まれても良いと思います。
添削句=三世代が莚に座り運動会
リズムを整えて=運動会筵に座る三世代


 

原句 = 分け分けの熱きコロッケ天高し
 秋空の下、二人で分けて食べるコロッケは、さぞ美味しいことでしょうね。<分け分けの>が方言だとは知りませんでした。方言は知っている人には、味わい深いものですが、多くの人に共有してもらうために、普通の言葉でも良いですね。
添削句 = 分かち合ふ熱きコロッケ天高し



原句=
剥落の阿吽の仁王しむ身かな
 <しむ身>には、少し無理がありますね。季語は歳時記に載っている表記だけにしましょう。仁王像は大抵の場合、阿吽像ですので、省けるかと思います。このままですと、仁王がしむ身になってしまいますので、季語を上五に持ってきました。
添削句 =身にしむや剥落多き仁王像



原句 = 秋陽燦矢狭間多き烏城

 「秋陽燦」の表現が少し難しいですね。簡単にして誰もが共感される言葉使いのほうが好まれます。「矢狭間」は「やはざま」と読めば、中七で収まりますが、一般的には「やざま」と読むと思いますが・・・・。勉強不足なのでその辺がよくわかりませんが、ネット検索では「やざま」で出てくるようですね。「矢狭間の多き」とすれば解消できますね。

添削句=秋の日や矢狭間の多き烏城

 




 

原句 = 遠く住む子との写メール望の月

 新しい句材ですね。「写メール」「スマホ」も現代俳句の象徴のようです。ただこの句の場合、「写メール」と「望の月」との関連性が見えてきません。「望月」を写メールで遠くにお住いのお子さんに送れたよ、と言う理解でよろしいでしょうか。そうなると「遠くに住む」ことはあまり意味がないような気がします。季語を「月今宵」にしてみました。

添削句=嫁せし子の写メール受くる月今宵 




原句 = 白萩や城主の墓碑の巴紋
 雰囲気の感じられる句ですね。誰の墓碑かよりも、どのような様子の墓碑かを詠む方が、より具体的になると思います。
添削句 = 白萩や墓碑に掠れし巴紋



原句 = 真向かへる伊吹の山にひつじ雲
 爽やかな句ですね。もう少し視線を上に向けた方が、空高いところにある羊雲がよりはっきり感じられると思います。
添削句 = 振り仰ぐ伊吹の嶺や羊雲



原句=厨窓少し開けやり秋刀魚焼く
 「厨窓少し開けやり」は報告の域を出ていない感じで惜しい。様子が見えるように写生して…。
添削句=青煙窓より逃がし秋刀魚焼く



 
原句=住職の法話中断月愛でる
 「愛でる」は読み手に感じてもらうところかとおもいます。
また「法話」は住職のお話ですから「住職」は省けますね。
添削句=望月に中断したる法話かな 
 



原句 = 湯煙のあがる山間登高す
 出来ていますが「登高」と「山間」に、やや重複感が感じられると思います。ここは「高きへ登る」を用いて一気に仕立てる方法もあると思います。
添削句=湯煙のあがる高きへ登りけり



原句 = 大根蒔く発芽八割と言ふ種
 発芽率などが袋に書いてありますが、種蒔をしたときの土や日や空気感などを表現する方が良いと思いました。
添削句=雨あとの土の湿りや大根蒔く



原句= スクラムのやう蕊絡みたる曼珠沙華
 曼珠沙華がスクラムを組んでいるようだという発想は面白いですね。ただこの句の上7が気になりました。定型内に収めれば、それに越したことはありません。従って上下をひっくり返して、
添削句=曼珠沙華スクラムのごと蕊絡む



原句= 赤とんぼ分校跡に碑がひとつ
 「碑がひとつ」に具体性があればよいと思います。合評会では学校の創立記念碑だと言うことでしたので、次のように具体化してみました。
添削句=赤とんぼ分校跡に創立碑











いぶきネット句会(27年9月分より)



原句 = どつさりと秋茄子貰ひ御裾分け
 貰う、お裾分け、どちらかの事に絞っても良いと思いました。沢山の茄子の中からよい物をお裾分けに差し上げたとしてみてはいかがでしょうか。
添削句=艶のよき秋茄子選びお裾分け 



原句 = 砂浜を走る少女の白き靴
 季語は「白靴」の例句が多いこともありますし、白靴を上五にして、少女の動きを下五にすると 躍動感が出るのではないでしょうか。
添削句=白靴の少女浜辺へ駈け出せり



原句=結果せぬ西瓜の蔓の伸び放題
 <結果せぬ>が 固いですね。<実の成らぬ・・>切れが欲しい。
添削句=実の成らぬ西瓜や蔓の伸び放題



原句=椅子並べベランダで見る大花火
 ベランダからとは 羨ましい。椅子を並べただけでは、一歩突っ込みが足りない。独り居か、夫ととか、帰省の子、孫・・・など。具体的にして、臨場感が出るように写生出来ると良いです。<椅子ならべ><見る>は省略できます。
添削句=ベランダに子らと喚声大花火


原句= 川霧の晴れて鷺群る浅瀬かな

 材料の多さが気になりました。原句は時間の経過が感じられます。添削句は一瞬を切り取って・・・。
添削句=川霧の中より現るる鷺の群
 



原句= 街路樹の高みより降る虫の声
 <高み>と<降る>は、どちらかが省けますね。
添削句=虫の音の降るビル街の並木道



原句= 身に入むやサーカス熊の立ち歩き
 <サーカス熊>が、こなれていない表現ですね。リズムを整えて・・・
添削句=身に入むやサーカスの熊立ち歩く



原句 = 駕籠吊れる長き廊下やつくつくし

 「駕籠を吊っている廊下」「長い廊下」と廊下の写生が二つあります。添削例では「長き」を省き駕籠の写生をして見ました。

添削句=長柄駕籠掛かる廊下やつくつくし




原句 = 踊り手の項に花の髪飾り
 「踊り手」が、それほど強いインパクトの季感のある季語ではないため、「花の髪飾り」だと、花見の席で桜の花を髪に挿した人が踊っている景とも捉えられてしまいます。髪飾りをしているのは女性でしょうから、「踊り子」とした方が、より具体的な景が見えて良いのではないでしょうか。
添削句 = 踊り子の項に白き花飾り



原句 = 迎火や仏の父へ吟醸酒
 「仏の」とは言わなくても、それとわかりますね。
添削句 = 迎火や父に供ふる吟醸酒



原句 = 地に臥して動かぬ蝉や鳥渡る
 地に落ちて動かない蝉を見るのは、心が痛みますね。蝉は夏の季語、鳥渡るは秋の季語です。季重なりの場合、一方を物としてとらえることもできますが、その場合も同季であることが必要だと思います。添削句 = 地に臥して動かぬままや秋の蝉



俳句2 = 蔵元の五尺の和釜ちちろ鳴く
 何の蔵元でしょうか?  風情の感じられる句だと思います。<の>と<に>の違いですが、<に>にすると、おや、こんなところに、という発見が感じられます。<の>が重なるのも解消できると思います。
添削句 = 蔵元に五尺の和釜ちちろ鳴く




原句= 藍浴衣夫亡きあとの仕付け解く
 悲しみが伝わって切ないですね。 <夫亡きあと>の表現が、やや説明の様に思います。何の為に 今から仕付けを解かれるのかな?と 考えてしまいます。 先ず 眼前の写生をされては。
添削句=亡き夫の仕付けのままの藍浴衣



原句 = いつになく子らの声して墓洗ふ

この句は少し難解ですね。いつもは静かな墓地も、お盆の前に墓を洗う子供たちの声で賑やかでしたよ、と解釈してよろしいでしょうか。

「いつになく」は説明ですので省きました。

添削句=父祖の墓洗ふ子どもら賑やかに

 








原句= 稜線はうすみずいろの秋の空
 この句は感性がよかったと思いますが、「うすみずいろ」は「稜線はうすみずいろ」なのか、「うすみずいろの秋の空」のどちらでしょうか。上5の「は」と中7の「の」があるためどちらか分かりません。
仮に上5の写生とすると、「稜線はうすみず色や秋の空」とすれば稜線を写生したこととなり、「秋の空」との取り合わせとしてよく分かると思います。



原句= 山の影うつす四万十川昼の月
 この句は情景がよく見え、よかったと思いますが、視点が「四万十川」の地上と「昼の月」の空と分かれていますので、視点を合わせる意味で、「昼の月」の季語を何か「四万十川」に合うものを探してみてはいかがですか。
添削例=山の影うつす四万十川さはやかに
 














(27年8月分より)



原句 = 噴水の止んで暫しの黙(しじま)かな
 発想と着眼点が良いと思いました。ただ「しじま」とルビをふるより、「静寂」又は「しじま」で良いのではないでしょうか。また「止みて」の方が、濁音が少なくなると思いました。
添削句=噴水の止みて暫しの静寂かな



原句 = 海霧迫る崖に根を張る若き松
 迫力のある情景でよく描写なさっていると思います。「若き松」を「若松」と出来ればと思いましたが、春の季語になるので避けられたのかと思います。 一例ですが 「若き」を省き
添削句=懸崖に根を張る松や海霧迫る



 

原句=お祓いを受けて炎天宮木伐る

「炎天」はおかしな所にはまり込んでいる印象でした。順序を変えてみればよいかと思います。またお祓いを受けているのは昼であることから、次の句でどうでしょうか。

添削句=炎昼やお祓ひ受けて宮木伐る



 

原句=睡蓮の花や風止む庭の昼

この句を読んで、次の問題があると思いました。

①「睡蓮」と言えば、「花」は不要だと思いました。

②「庭の昼」では睡蓮が庭に咲いているように思えました。「池」でよいと思います。

  そして睡蓮は主に午前中に咲きますので、昼と言わなくてもよいと思いました。

以上を踏まえて風が止んでいるところから静けさを感じましたので、次のように考えて見ました。

添削句=風止みて睡蓮の池静まれり

 



原句 = 係り決め小学生のキャンプ村
いよいよキャンプの始まりですね。
子どもたちの期待感を入れてみました。
添削句 = 係り決め子等散り散りにキャンプ村



俳句 = 牽牛花日影へ鉢を置き換ふる
<>を使うと説明になりがちなので、取ってみました。
添削句 = 牽牛花日影へと鉢置き換ふる




原句 = 衆目の中切り分くる西瓜かな
 <衆目の中>を、どうかしたいですね
添削句=衆目を集め切り分く大西瓜




原句=火口めき湧くブルーベリージャムを煮る
 上五と中八 ・ 中八と下五と、二ヵ所も 句跨りがあって 調べを崩している。 湧くと沸く ・ 沸くと煮るが被さっている。
添削句=鍋に沸くブルーべりージャム火口めく



原句 = 鋼材の触れあう音や暑き町

 太い鋼材が運ばれ、建築現場で下されている時の情景でしょうか。「暑き町」が効いています。中七の「触れあふ音」が少しやさしいような気がします。鋼材の固いイメージを句にされたらいかがでしょうか。たとえば「ぶつかる音」とかでは大げさでしょうか。

添削句=鋼材のぶつかる音や暑き町  



原句 = 裏口へ風を通すや夏灯

 どのような情景を詠まれたかよくわかりません。「夏ともし」と読めば夏の灯が風を通しているように解釈できますが、ここでは季語を副季語の「燈凉し」として、事柄を説明するのではなく、場所と物をもう少しはっきりさせたいところですね。

添削句=背戸口へ抜けゆく風や燈の凉し




原句= 足もとに鯉泳ぐ径涼新た
 <鯉泳ぐ径>で、径に鯉が泳いでいるとも解釈出来そうです。足元に音がするなら、分かるのですが・・・・・
添削句=足元に鯉跳ぬる音涼新た
 



 
原句= 風鈴や鍛冶屋名残りの軒先に
 基本的に、切字の<や>は、前後の意味を切る働きをします。<鍛冶屋名残りの>は、<昔鍛冶屋の>と言う言い方を 以前に教わった事がありますが いかがでしょうか?
添削句=貝風鈴(鉄風鈴)昔鍛冶屋の軒先に



原句 = 羅を着て手弱女の清々し
 「羅」と言うだけで、清々しい優美な女性が想像されますので、この句もは「季語の説明」という感じになっています。ご自分の感覚で、「ハッ」とすることを探し出しましょう。
添削句 = 羅を着て皴の手の清々



原句 = 青田濃し伊吹の嶺に雲湧けり
 気持ちの良い句ですね。上五と下五に切れがあるので、句の焦点が分散します。上五を切らずに中七につなげて、全体を一つの景にまとめましょう。
添削句 = 青田濃く伊吹の嶺に雲湧けり



原句 = 甚平で外湯巡りの草津かな

 外湯めぐりで容易に温泉地は想像できますね。「草津かな」は写生に徹して・・・。

添削句=甚平や外湯巡りの下駄の音



原句= ゆるやかにヨット傾げり近江富士

 ヨットが傾げば、ヨット上の作者の目には傾ぐ近江富士が映るのでは。その一瞬を切り取れば類想の無い一句が生まれると思いました。

添削句=近江富士傾げてヨット旋回す












いぶきネット句会(27年7月分より)


原句 = 白無垢の花嫁まぶし五月晴
 白無垢と花嫁、眩しと五月晴にイメージの重複を感じました。
添削句 = 白無垢を纏ふ娘や五月晴



原句 = 梅雨闇の燭に拝すや伎芸天
 闇だから燭という点が、少々説明的に感じました。「梅雨寒」で薄暗さは十分感じられると思います。
添削句 = 梅雨寒や燭もて拝す伎芸天



原句 = 草を引く上る朝日に背を向けて
 上る朝日、沈む夕日 に、上る・沈む は冗語
添削句=照りつける朝日を背に草を引く




原句 = 縦横に青田を走る車かな
 情景は分かりますが 車が走っているのは「青田道」でしょうから次のように考えました。
添削句=縦横に車行き交ふ青田道



原句 = 今は無き古本屋街梅雨に入る
 神田の古書街を想像しました。このままでも分かりますが、今そこに何があるかを述べても良いと思いました。
添削句=マンションとなりし古書街梅雨に入る



原句= 木端仏の慈愛の笑みや半夏生
 仏様と言えば、<慈愛>も含まれているのではないでしょうか?
添削句=半夏生微かに笑まふ木端仏



原句= 薫風や五百羅漢の丈五寸
  皆 同じように五寸だったこと言った方がよいかな?とも思いましたので、 それを 強調してもよいかと。 <羅漢皆> と言えば 五百羅漢をイメージ出来ると思います。
添削句=羅漢皆五寸の丈や風薫る



原句=篤と鳴き夏鶯の去りにけり
 「篤と鳴き」がよく分かりません。辞書を見ると、「念を入れて」とありましたが、思う存分鳴いたという意味に近いのでしょうか。
添削例=存分に鳴いて老鶯遠くなり



原句=青葉木菟堤の緑深まりぬ
「青葉木菟」というと夜のイメージがあるのですが、「緑深まりぬ」は昼のイメージを感じました。現実に昼間の情景であれば、これでよいと思いますが、夜のイメージで考えて見ました。
添削例=青葉木菟堤の緑闇に溶け
 



原句 = 厨子わづか開きて弥陀や夕涼し
 中七が少し言葉が詰まった感じがしました。弥陀と厨子を繋ぐと解りやすくなるのでは。
添削句=弥陀の厨子僅かに開き夕涼し



原句= 友逝けり卯の花腐しの日選び
 友達の逝ってしまったという事柄に季語が巧く納まっています。 惜しいのは「日選び」ですね。 この説明が惜しい。
添削句=逝く友を送る卯の花腐しかな



原句=帰漁まで孫と戯れ風死せり
 「風死せり」の季語が、孫と戯れている様子に合わないような気がします。ここは簡単に季語を「夕凪や」とかで上五にもってきたらいかがでしょうか。また「孫と戯れ」は具体性がないので、何をして戯れていたのかわかりません。息子の船を孫と待っていたと読みましたので、「待つ」としてみました、
添削句=夕凪や孫と待ちゐる帰漁船



原句 = 深梅雨や鍋にくるりとスパゲティー
 日常の生活のなかから、捉えた情景ですね。中七、下五は納得できるのですが、季語「深梅雨」が効いてないような気がします。ここではもっと身近な季語ではどうでしょうか。
添削句=夕薄暑鍋にくるりとスパゲッティ




原句 = 黄金虫尻突き上げて蕊もぐる
 <尻突き上げて>が写生でありながら、ユーモラスですね。<蕊もぐる>は、コガネムシが蕊へと潜っていくという意味ですと、少し言葉足らずでしょうか。蕊がもぐるようにも取れます。
添削句 = 黄金虫尻突き上げて蕊に入る



原句 = 列をなす鮎釣りの竿陽に光る
 鮎解禁で太公望が沢山いたのですね。きらきら光る川と、じっと動かぬ釣り人の景が見えます。<陽に><光る>では、言葉の意味が重なるでしょうか?
添削句 = 陽を弾く鮎釣りの竿列なせり














(27年6月分より)



原句 = 緑青の屋根の聖堂風薫る
 緑青<屋根<聖堂という視線の動きを逆にして、屋根の緑青の色に意識を集中したいです。緑青が視覚に訴えるものなので、季語も視覚を感じるものにしたいと思いました。
添削句 = 聖堂の屋根は緑青風光る



原句 = 叢の目に飛び込みし蛇苺
 「目に飛び込みし」に、蛇苺を見つけた時の印象が表れていますね。やや主観的ですので、抑えた表現としてみました。
添削句 = 草むらに一つ灯りし蛇苺



原句 = 夏つばめ池塘に姿映しつつ
 爽やかな句ですね。<映しつつ>ですと、少し時間の経過が感じられれます。俳句は瞬間を詠むのが良いとされますので、
添削句 = 夏つばめ池塘に影をひるがへし



原句 = 尾を上に庭石に垂る蛇の衣
 珍しいものをご覧になりましたね。<尾を上に>というと、<ああ、さかさまになっているんだな>と一度考えなくてはなりません。ストレートに<さかさま>と行った方が良いでしょうか。<垂る>は下二段活用の終止形なので、三段切れっぽいですね。連体形は<垂るる>となります。
添削句 = 庭石に逆さに垂るる蛇の衣



原句 = つやつやの茄子に包丁入れにけり
刃を入れた方は作者だと思いますが、ここで奥様に登場していただいてはいかがでしょうか。
添削句=つやつやの茄子に刃を入れ妻若し



原句 = 息止めて八丁蜻蛉を屈み見る
 「息止めて」「屈み見る」に八丁蜻蛉を発見した心躍る思いが伝わります。ここでは「を」は省いて良いと思います。
添削句=息止めて八丁蜻蛉屈み見る



 
原句=風薫るわれにそつくり羅漢様
 面白い着眼ですが、「われにそつくり」が一寸口語形のような印象を受けます。ここは擬態語でなく、普通の写生でどうでしょうか。
添削句=風薰る我によく似る羅漢様



原句=煙出し土間に日差しの涼しかり
 涼しいのは日差しのことか、句全体の雰囲気から涼しさを感じたのか一寸分かりづらく思いました。「日差しの涼しかり」とありますので、日差しが涼しいと読めてしまいます。ここは切れを入れるとよくなると思います。
添削句=涼しさや土間に日矢さす煙出し



原句 = 裏戸閉ず雨の宵闇初ほたる

 このままですと、三句切れになります。順番を入れ替えることにより解消できることがよくあります。「雨の宵闇」はいいすぎかな?と思います。「雨の闇」と「螢」で宵のイメージは湧きますね。

添削句=螢火や裏戸を閉ざす雨の闇



原句= 采の目の豆腐の崩れ梅雨に入る

 感覚の鋭い類想のない句と感心しました。 しかし中七と下五のつながりが「豆腐が崩れて梅雨に入る」と詠まれがちですね。季語を「梅雨寒し」として、崩れてしまった時の作者の思いが伝わるとよいと思います。

添削句=采の目の豆腐崩るる梅雨寒し



 
原句= 揺ぎなく咲く一輪の花南瓜
 「揺るぎなく」は説明の言葉ですね。南瓜の花の様子を写生して見ましょう。
添削句=花首を擡げて咲けり花南瓜



原句 = 一列の田植女揃ひ後退り
 花田植での属目ですね。良く写生してありますが「一列」「揃ひ」など同意語が惜しい感じがしました。
添削句=早乙女の菅笠揃へ後ずさり
 



原句 = 穴太衆積みの石垣花は葉に
 <あのうしゅうづみ>の音数が多く描写の音数が足りなくなってしまう。また石垣は重複表現になっているので省略できる。坂本の町での石垣での感動ですね。季語も歴史が詠みこまれていいですね
苔むせる穴太衆積花は葉に  としても良いかと思いますが、作者が見える句として・・・・・以下でもよいかと。
添削句=苔むせる野面積撫づ花は葉に




原句= 四畳半ほどの棚田に夏つばめ
 <に>で 燕がどうしたのかな?降りたのかすれすれに飛んだのかと 迷います。<や>にされて、「夏つばめ」が 棚田全体に関わるようにされては いかがでしょうか。
添削句=四畳半ほどの棚田や夏つばめ



原句=古寺の紫陽花満ちて崖をなす
 出来ていて、このままでも良いかとも思いますが…・

<崖をなす>が眼目ですね。崖をなすほどですから、 紫陽花は咲き満ちていると 思いますので、<満ちて>は 省けますね。
添削句=古寺の背戸の紫陽花崖をなす









いぶきネット句会(27年5月分より)


原句 = 淡海の霞を分くる汽笛かな
 中七がなかなかユニークな表現ですね。俳句では<>使うと、えてして報告調になりがちなのでなるべく<>使わないで、作ってみましょう。(全てが悪いというわけではありません。)
添削句== 淡海の霞分けゆく汽笛の音




原句 = まどろめる母の枕辺牡丹の香
 優しさの溢れる句ですね。お母様が休んでいらっしゃるお部屋に大輪の美しい牡丹が活けてあって、その香りが漂っている美しい景だと思います。俳句は主語は自分なので、作者が母の傍でまどろんでいるようにも取れます。
添削句 = 牡丹の香まどろむ母の枕辺に



原句=四万十川に五百匹もの鯉のぼり
 数字を使って何か素材の変わった句を詠もうとする意欲が見え、いいですね。「四万十川」で大きい景が見えます。あえて「五百匹もの」と言わなくて「五百の」で眼前の景色は分ると思います。
添削句=四万十川に渡す五百の鯉のぼり




原句 = 山びこの響く五月の吉野山
 大景で爽やかですが、やや散文調ですのでどこかに切れがあると良いと思います。
添削句=吉野路にひびく山びこ五月来ぬ



原句 = 二十五の椿の散華並べあり
 法然院は椿の名所だそうで、そこの行事と知りました。二十五菩薩を象徴して椿を散華するようですね。実景と違うかもしれませんが 参考になさって下さい。
添削句=二十五の菩薩に散華紅椿



原句= 軒下に屋号の旗や蕨餅
 宿場町での光景でしょうか。出来ていると思いますが、<屋号の旗>がやや説明的と思います。
添削句=蕨餅買ふ軒先に藍の旗



原句= 潮の香や屋台囃の音近し
  季語は、<祭囃> としたほうが、分かり易いですね。もう少し 潮と音を関わらせても良いかと・・・・・・
添削句=潮風に祭囃子の乗り来たる



原句 = 七年振り本尊拝す薄暑光
 やや三段切れっぽいですね。<七年振り>が説明かな善光寺>とはっきりさせるか、あるいは七年振りを強調して「七年振りの御開帳」と。詩情のある景として、次のようにされても良いかと・・・・
添削句=緑さす本尊拝す善光寺



原句= 花冷えに襟立ててゐる終電車
 良くわかります。・・・・が「花冷えに襟立ててゐる」という因果関係がちょっと気になりました。送り仮名の「に」のせいでしょうか。ここは読み手に感じて貰う所でしょうね。また「襟立ててゐる終電車」の襟をたてているのは作者なのですが、終電車がとの迷いが少しありました。その二点を踏まえて添削例は・・・・。
添削句=襟立てて終電車待つ花の冷



原句= 浮巣より嘴出してをり鳰の雛
 写生がしっかり出来た句ですが浮巣、嘴、鳰、雛と材料の多さが気になりました。きっとこの<におの雛>は餌を運んでくれる親鳥が待ちきれないのでしょうね。それが読み手に伝わるようにして見ましょう。
添削句=餌を待つ雛は浮巣に嘴出して



原句= 湯上りの一杯至福夜の秋
 「湯上りの一杯」というとお酒ですね。やはり具体的に何の一杯かを登場させた方が共感が持てると思います。また「夜の秋」はまだ早いので、今の季語にしたいところです。
添削句=湯上りの冷酒一杯親しめり または 湯上りの冷酒ふふみてくつろげり など



原句= 熱の子に一匙づつの飴湯かな
 思いやりが伝わってくる句です。ただ下5を「飴湯かな」と強い切れにすると、飴湯を強調した句になります。全体的に子供に対する気持ちを柔らかい表現を考えて見てはいかがですか。
添削句=:熱の子に飴湯一匙づつ飲ます



原句 = 鉄筋に変りし校舎花吹雪
 鉄筋となったのは建物である校舎ですので正確な描写だと思いますが、建物も含めて「母校」とした方が、より想いが深まると思います。下五は「花の雨」「花は葉に」なども良いですが、原句の「花吹雪」も作者の気持ちが感じられますので、添削句ではそのままとさせて戴きました。
添削句 = 鉄筋となりし母校や花吹雪



原句 =   白雲の湧き立つ峰や夏来たる
 特選で戴きました。ストレートで勢いのある佳句と思います。上五を「雲白く」とすると、雲の白さ・明るさがより際立ち、躍動感が増すと思います。
添削句 = 雲白く湧き立つ峰や夏来たる






いぶきネット句会(27年4月分より)



原句= 納めたる絵馬に張り付く桜かな
 一般的に桜は普通まだ散っていない状態で、散っている状態は落花とか花びらと言いますね。従って桜でなく、落花か花びらで考えた方が普通かと思います。
添削句=納めたる絵馬に花びら張りつけり



原句 = 補助輪の取れし自転車下萌ゆる
 以前、「補助輪の取れし自転車赤とんぼ」という句を作ったことがありましたので、この句を見てちょっと驚きました。十分出来ている句と思いますが、もう少し躍動感のある季語を持って来ると、元気に自転車をこぐ子供の姿まで見えてくると思います。
添削句 = 補助輪の取れし自転車風光る



原句 = うす曇りの色をしてをり菫草
 面白い着眼点ですね。比喩がちょっとストレートすぎる感じがしますので、実際に曇っている景と菫を合わせて添削してみました。
添削句 = との曇る野辺の隅なる菫草




原句 =法面に絆の文字や芝桜
 よく見る景色ですから言わんとしている事はわかりましたが、中七が「や」で切れているので芝桜が付け足しのようになっています。まずは「法面に絆の文字の芝桜」とし、中七をもう一工夫して「絆と読める」としてはどうでしょうか。
添削句=法面に絆と読める芝桜



原句= 幾度も道間違える四月馬鹿
 <馬鹿>が出て来ると、ストレートで、付き過ぎの季語に思えます。もう少し距離感があっても良いかな?
「エイプリルフール」でも良いかもしれませんが、気怠さを出して…・花の昼 くらいでも良いかと思います。
添削句=幾度も道間違える花の昼 




原句= 父譲りの縄の結びや垣手入れ
 思いの伝わる句と思いますが、リズムをもう少し良く出来ないかな?と思いました。
添削句=垣手入れ縄の結びは父譲り



原句=山裾に片栗叢や濃紫
 片栗が窮屈な感じがします。山裾は平凡ですから、斜面(なぞへ)でも良いですね。
添削句=片栗の群るるなぞへや濃紫



原句 = 古本に栞見つくや蓮華草
古本を手に取ってみたら、どなたかが栞にしていた蓮華草を見つけられたのですね。<見つくや>が少し固い表現のような気がします。
添削句 = 古本に栞となりし蓮華草



原句 = 母囲み記念写真や桜二分
 ご長寿の記念写真でしょうか? 家族が沢山集まられたことでしょう。おめでたいですね。桜二分というのは、ちょうどそのときに二分咲きだったということでしょうが、二分というと少しさびしい感じがするので、限定しなくてもいいかなと思います。
添削句 =母囲み記念写真や花の下




原句=肩車せがむ次男や花の昼
 次男が効いていないと思います。肩車をどうしてせがむのでしょうか?
添削句=花嗅ぐと子にせがまれて肩車



 

原句 = 遠ざかるバックミラーの桜かな

面白い発想の、類想のない句ですね。ただバックミラーの中の「桜」は季語としては弱い感じです。よい感性でできている句ですので、「桜」に焦点を置いて仕立て直してみました。

添削句 = 山桜バックミラーに遠ざかる



原句 = 子も離れかすがいたるや犬の春

 チャットでも意見が出ましたが、「犬の春」は季語として無理ですので、季語を「春」とだけにして、切れを「子離れの春」のあとに入れてみました。「子離れ」のあとに「子犬」が作者の気持ちを慰めてくれれば、と思いました。

添削句 = 子離れの春や子犬をかすがひに

 











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