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2024年7月号 俳日和(78)
 
  連作の楽しみ

                              河原地英武

 伊吹嶺賞の応募締切は7月末日である(当日消印有効)。応募しようか迷っている人、もう断念した人、そして始めからその気のない人も、今一度考え直してほしい。1ヶ月あれば何とかなる。わたし自身、本誌に15句載せるのがノルマで、毎月「1人伊吹嶺賞」をやっている気分だが、そのつもりになればできるものだ。

 伊吹嶺会員(会費納入者)であればだれでも参加できる。入会後間もない人や俳句初心者も大歓迎である。ここ数年の応募者数の低迷を主宰として心配している。応募作の多寡は結社の勢いのバロメーターの一つだと感じているからである。それはともかく、ある程度経験を積んだ実作者としても、せっかく連作に挑戦できるよいチャンスなのに、それをふいにしてしまうのは勿体ないと思うのだ。一つの表題のもとに20句まとめる経験は、自分の作句力を1段も2段も高めてくれるだろう。俳句という新たな相貌や可能性にも気づかせてくれるはずである。

 とはいえ、20句揃えるのはたしかに容易でない。確たる目標をもち、集中的に吟行すれば、一気呵成に仕上げることも可能であろう。あるいは、過去の未発表句を見直す手もある。わたしの場合、とりあえず思いついた句は何でも句帳に書き留め、あとでパソコンに打ち込んでおく。伊吹嶺誌に発表するのはその一部で、多くは「いまだ熟さず」と判断し、眠らせてある。それを時折読み返しては、手を入れ、仕立て直すと意外にいい作品に変貌する。いわば俳句のリサイクルである。皆さんにも勧めたい。

 それらの「リサイクル句」は、作られた時期はまちまちであっても、配列次第で、全体を貫く統一感をかもすこともある。自ずからテーマが見えてきて、まとまりのある独自の作品世界が浮かび上がるのだ。それも連作ならではの俳句の楽しみである。