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2025年10月号
俳日和(93)
俳句の勉強法
河原地英武
俳句と語学の学び方は似ている。才能ではない。費やす時間に正比例する。中高6年間も英語を勉強しているのに、さっぱり話せないなどというけれど、語学の勉強は声に出さなくては意味がない。会話をする相手がいなければ、テキストの音読だけで十分だ。6年間勉強したといっても、その内、音読した時間をトータルすれば1ヶ月にも満たないのではないか。それでうまく話せるようになるはずがない。毎日欠かさず15分音読していれば、3ヶ月後には誰でも英語が口をついて出てくるはずだ。
俳句も同じことである。句歴3年といっても、毎月、締切の間際にちょこちょこっと5句作っていることを繰り返しているだけだとすれば、正味、句歴は1ヶ月未満である。たとえば毎日15分でも、季語を入れて五七五となるものを(俳句と呼べるほどきちっとしたものでなくてもかまわない)1つか2つ作り続けていただきたい。それを一日も欠かさず、3ヶ月続ければ、おのずと俳句の呼吸が身につくだろう。
あと、音読が大事だという点でも俳句は語学に似ている。自分が作った句を大きな声で読み上げてほしい。リズム感を養うことが肝心だ。毎月「伊吹嶺」誌に掲載されている句も、ぜひ音読することを勧めたい。つかえたり読めなかったりした言葉があれば辞書で調べ、すらすら読めるようにすること。それを1年間続ければ、俳句に必要な語彙(季語を含め)をほぼ自分のものにすることができる。すべてが難しければ、顧問と主宰と同人、そして同じ句会の仲間の句だけでも音読してみよう。勉強法はこれに尽きる。
ついでながら、前書に関する質問をある方からいただいたので、ここに記しておきたい。
前書は自転車の補助輪だと思ってほしい。ないに越したことはない。新聞や俳句総合誌の投句欄でも、前書の付いた入選句はほぼ皆無のはず。付けてはいけないとは言わないが、必要最低限にとどめていただきたい。