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2024年2月号 俳日和(73)
 
  実作のためのガイド

                             河原地英武

 このたび『やすし俳句教室 実作への手引』とその姉妹編である『やすし俳句教室Ⅱ 一筋の赤い糸』を一書にまとめ、『実作への手引(合本)』として発刊する運びとなった。両書ともすでに品切れで、せっかく注文の希望が寄せられても、それにお応えできずにいたが、これで安心して新会員の皆さんにも推奨できる。

 目下、校正作業の段階だが、これを機に、改めて全編に目を通した。そして気づいたことがある。わたしが日頃句会で述べていることはすべてここに書かれているという事実だ。たとえば「俳句は何かの説明ではない。説明を避けるには、動詞などの用言を極力使わないことが肝心だ」と持論のようにして説いているが、それも栗田先生から学んだことだったのである。

 俳句の入門書はこれ1冊で十分である。そう断言できる理由は2つある。一つは、何冊も類書を読んだところで畳の上の水練と同じで、俳句の腕前が上がるわけではないからだ。これと決めた1冊を教科書として読み込んだら、あとは実践あるのみ。実作に励んでほしい。もう一つは、俳句にはいろいろな主張や理念があって、入門書段階であれこれ迷っていては先に進めなくなってしまうからである。

 われわれは即物具象の俳句を目指しているが、それと異なる立場の人たちもたくさんいる。どれが正しいということではない。俳句を山にたとえるなら、登頂のためのルートがいくつもあるのと同じことである。そしてこの多様性が俳句を豊かなものにしているのだろう。ただし、ルートに迷っていると、いつまでも麓の堂々巡りに陥ってしまう。即物具象の道は難所が多いけれど、そこから見える景色も格別だ。栗田先生の本を頼り甲斐のあるガイドとして、ともに前進しようではないか。